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若者の自殺が増える傾向にある夏休み明けを前に、悩み、傷つき、苦しんだ著名人たちが、しんどい思いを抱える「君」へメッセージを送る。
#しんどい君へ…(8)アイドルグループ「仮面女子」 猪狩ともかさん(27)

夢だったアイドルの入り口に立ちながら、下半身不随の大けがを負った猪狩ともかさん。車いすでの生活は不安が大きかったが、自分の「思い」をノートに書き込んだりして、多くの人に夢を与えるアイドルの活動を続けている。今年6月には、来年開催される東京パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた東京都の懇談会メンバーにも選ばれた。猪狩さんは、「どんなに深刻なことも、時がたてばどうでもよくなることもある。嫌なこと、悲しいことは絶対にため込まないで」とメッセージを送る。
昨年4月、ダンスレッスンに向かおうと、東京都文京区にある湯島聖堂近くを歩いていたところ、強風で倒れてきた大きな看板の下敷きになりました。病院に救急搬送され、手術を受けました。術後、医師から「脊髄損傷です」と言われました。でも、ピンとこず、いずれ脚の感覚は元通りになるんだと勝手に思いこんでいました。

入院中、家族が見舞いに来てくれたのですが、どうも会話がかみ合わないのです。私は治る前提で話をしているのに、家族は車いす生活を念頭に話をしてきます。「もしかしたら治らないのでは」。そう感じ、手術から約10日後、母に確認しました。母は、私が傷つかないようにどう伝えようかと考えていたのでした。 家族と話をしているときは、とにかくリハビリを頑張ろうと、自分を奮い立たせることができたのですが、一人になったとき、「これからの人生はどうなるんだろう」とすごく落ち込みました。リハビリも当初は、車いすに5秒も乗っていられませんでした。ずっと横になっていたせいで、起きあがると貧血状態になり気持ち悪くなってしまったのです。
抑えていた感情を吐き出し、気持ちをコントロールした
小学生の頃からアイドルに憧れていました。専門学校で管理栄養士の資格を取りましたが、芸能界に飛び込みました。約3年の下積みを経て、ホッケー用マスクがトレードマークの女性アイドルグループ「仮面女子」の一員になりました。ようやくアイドルとしてスタートラインに立てた感じで、東京・秋葉原でほぼ毎日、ステージに立ちました。事故が起きたのは、それから1年後でした。 事務所の方は「車いすでもライブに出てほしい」と言ってくれましたが、アイドルは歌って踊れるのが当たり前。不安が募りました。入院中、こうした不安や、自分を励ます言葉、復帰したらやりたいことなどを毎日ノートに書きました。しばらくは抑えていた自分の感情も家族の前で吐き出すようにしました。それで、自分の気持ちをコントロールしていました。

車いす生活を送ることで、気づいたこともあります。トイレで困ったことをブログに書いたら反響がありました。私が発信することで、少しでも人々の意識が変わるなら意義があると思うので、続けていこうと思っています。 一方で、ネット上には、「車いす生活にならなかったら、これほど注目されていない」と書かれることもあります。それを否定するつもりはありません。でも、さすがに気持ちが
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