キンタロー。さん、八方ふさがり「あきらめないで」…STOP自殺 #しんどい君へ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 昨年、自殺した未成年者は777人と4年連続で増加した。若者が抱える悩みとしては、若くして親の介護などに追われる「ヤングケアラー」の問題も近年は指摘される。20代で父親の介護を担い、中学時代にはいじめも受け、「行き場のない絶望」を感じたというお笑い芸人のキンタロー。さん。しんどい思いを抱える君に、今伝えたいこととは。

小中高といじめを受けた景井ひなさん「好きなことに逃げてもいいよ」…STOP自殺 #しんどい君へ

#しんどい君へ…お笑い芸人 キンタロー。さん(39)

キンタロー。さん
キンタロー。さん

うつ病の父に付き添い

 愛知県の実家はもともとビジネス旅館をしていましたが、私が小学校に上がる頃、テナントビルに建て替えられました。テナント業はビルからテナントが出て行けば大金が動くのですが、心配性の父にとって、それは精神的に耐えがたいものでした。テナントが出て行ってしまうことがきっかけとなり、うつ病を発症してしまいました。

 テナントが出てうつ病を繰り返すたび、子供の私から見ても分かるほど気分が落ち込んでしまい、家族全員が心配していました。薬の副作用でコミュニケーションを取ることさえ難しい時もあるなど、症状はビルの経営状態によって良くなったり、再発したりしました。

 父と向き合い、介護をするようになったのは、母が体調を崩して急死してしまった26歳の頃です。関西でダンス講師をしていたのですが、仕事を辞め、実家のテナント業を引き継ぐことになりました。経営が悪化していたのと、母を亡くして失意のどん底にいた父には、とても耐えられない状況だったからです。

 父の代わりに会社経営をしながらの介護はとても大変でした。5歳年下の妹と家事を交代でやりながら父の病院に車で通院したり、いい病院がないか、ネットで探して遠くまで行ったりしました。

 うつ病だから仕方がないと頭では分かっていても、父からとても傷つく言葉を言われたこともありました。このままでは私と妹が働けないし、精神的にも負荷がかかりすぎてしまうため、デイケアサービスを利用しました。

 ある時、デイケアでささいなトラブルがあり、そのことが原因で父は翌日から引き受けてもらえなくなってしまいました。何とかしようと行政の窓口に相談をしましたが、状況を理解してもらえず、社会に取り残されたような恐ろしさを感じました。振り返ってみると、いまでいう「ヤングケアラー」だったのかなと思います。でも、その時は自分が当事者だったことに気づかず、状況を良くしたいと必死でした。

優しい言葉、忘れない

 救われた出会いもありました。父が通う病院の看護師の一人の方が、とても親身になって心から相談に乗ってくれました。その方は「若いのに大変だったね」と声をかけてくれ、アドバイスをもらい、父をみてもらえる施設を一緒に探しました。こんなにも相手に寄り添ってくれる人もいるのだと、心から感謝しました。心細かった私は救われ、しばらくして父を受け入れてくれるところも見つかりました。

 私が34歳の時に父は亡くなりました。生前、芸人としてテレビに出ている私を見て、施設の人たちに自慢していたそうです。そして、面会するたびに、「何にも心配いらないからね。全力で頑張って」と優しい言葉をかけてくれたことが忘れられません。

あきらめず、相談し続けて

学校に居場所がないと感じていた時もあった
学校に居場所がないと感じていた時もあった

 私は中学生時代にいじめられる経験をしました。夏休み明けに仲良しグループから突然、無視されるようになりました。先生も間に入ってくれ、私の言動が原因だと聞かされて謝ったのですが、受け入れてもらえず、二度と仲間には入れてくれませんでした。

 「また相手に嫌がられるんじゃないか」。そう思うと自分を出せず、新しい友達も作ることができない。親には「学校に行きたくない」とは伝えていましたが、落胆させたくなくて、理由は明かせませんでした。でも、学校で何かあったことは気づいていたと思います。学校へ行くように親から言われても「頭が痛い」「しんどい」とウソをついて休みがちになり、2学期だけで欠席日数が24日になったこともありました。

 心配して、家族が車で送ってくれるようになったのですが、しばらくすると今度は男子の一人に目をつけられ、靴やロッカーに画びょうを入れられました。学校に私の居場所はなく、当時は学校やクラスが全てだったので、そこからあぶれてしまった者、というレッテルを貼られた思いをしてどん底でした。

 でも、自宅でお笑い番組などを見て笑ったり、好きな絵をひたすら描いたりする時間、親の支えがあったから、生きることができました。いじめがなくなったのは、高校に進学してからです。中学時代は学校を休みがちで、友達が作れないことも気になって、勉強に集中できなかった負い目がありました。でも、高校1年生の時にカナダへのホームステイのプログラムに思い切って参加したことで、コミュニケーション力をつけることができたし、視野も広がりました。

しんどい時も「あきらめずに周りの人に相談してほしい」と呼びかけるキンタロー。さん
しんどい時も「あきらめずに周りの人に相談してほしい」と呼びかけるキンタロー。さん

 私は生きてきたなかで「行き場のない絶望」を感じたこともありました。でも、どうしようもなくなって、八方ふさがりの状態であっても、死ぬことは絶対に選ばないでほしい。時には逃げたっていい。生きていれば、何とかなると信じています。しんどい時に自分の中だけで抱え込んでしまうと、先に進めなくなってしまう。あきらめずに周りの人に相談してほしい。返ってきたアドバイスが自分の心に響かなくても、相談をし続けてほしい。そうすれば、いつか親身になって手を差し伸べ、助けてくれる人に出会えると思います。

  キンタロー。  2012年にお笑い芸人としてデビューし、元AKB48の前田敦子さん、光浦靖子さんなどのものまねでブレイク。17年には社交ダンス競技の世界大会で7位に入賞した。

スクラップは会員限定です

使い方
「教育・受験・就活」の最新記事一覧
2308099 0 インタビュー 2021/08/24 05:00:00 2021/08/24 08:14:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210823-OYT1I50085-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)