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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    観光か環境か、それが問題だ

     読売新聞朝刊教育面の第2、第5水曜日で「ニュースde道徳」を掲載しています。11日朝刊では、富士山の登山者増加と環境保護の両立についてのニュースを取りあげています。「自然愛護」がテーマです。

     観光地などをめぐって、以下のようなニュースもありました。

    水の都に人の波 イタリアで議論

    • 観光客があふれるベネチアの街
      観光客があふれるベネチアの街

     世界遺産の登録数の多い観光立国イタリアで、観光地への来訪者数を制限すべきだとの議論が持ち上がっている。観光客の増加で、自然環境や景観への影響が深刻化しつつあるほか、地元住民から生活環境の悪化を訴える声も出ている。

     ベネチア市統計局によると、同市中心部を2014年に訪れた観光客は約260万人と、04年と比べて5割増に。市中心部は観光客であふれかえり、細い路地では立ち往生することもしばしば。映画館は観光客向けの店に変わり、通勤の足の水上バスは観光客ばかりで乗れない。

     自然環境への影響も問題視されている。ユネスコはベネチアについて、「天然の砂州が消滅し、干潟が地盤沈下して危機にさらされている」としている。

     16年のベネチア県の観光収入は前年比15%増の約30億ユーロ(約3580億円)。伊国内の世界遺産の保護活動を行う団体は、「観光客は地元経済に必要だが、世界遺産に指定された本来のベネチアの街並みも守らなければならない」と語っている。

    哲学の木を倒し、農業を守れ

    • かつて美瑛町の農地に立っていた哲学の木
      かつて美瑛町の農地に立っていた哲学の木

     北海道美瑛町の丘にある農地に立つ、通称「哲学の木」は2016年、土地の所有者によって倒された。私有地に足を踏み入れる観光客が相次ぎ、農作業に支障が出ていることなどから撤去したという。

     「哲学の木」は高さ約30メートルのポプラで、傾いて立つ姿が思索にふける人間に見えると、観光スポットの一つとなっていた。所有者家族の男性は「切りたくて切ったわけではない。もう、そっとしておいてほしい」と話している。所有者の知人は、「所有者側も『観光客が美瑛町に来てくれるなら』と我慢してきた。美瑛の美しい景観は地元の農業があればこそ。観光と両立させ、気持ち良く農業ができる環境を整えるきっかけにすべきだ」と話した。

     

    首都高を埋め、日本橋を明るく

     東京・日本橋周辺の景観を改善するため、国土交通省は、日本橋の上を走る首都高速道路の地下化に取り組む。国と東京都、首都高速道路会社などが協力し、2020年に開催される東京五輪・パラリンピック終了後に着工する。

     日本橋は江戸時代の街道の起点。初代の橋は江戸幕府が開府した1603年に架けられ、20代目となる現在の橋は全長49メートル、幅27メートルの石造アーチ橋。1911年の開通で、国の重要文化財に指定されている。

     64年に開催された東京五輪に備えて首都高が緊急的に整備された際には、手間のかかる用地買収をさけるために川の上などが利用された。

     地元からは「もう一度、明るい日本橋を見たい」「橋の上に青空を取り戻し、水辺をいかした観光の中心にしたい」との声が出ている。

    2018年07月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun