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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    世界に誇る文化遺産、ニッポンでは今…

     読売新聞朝刊教育面の第2、第5水曜日で「ニュースde道徳」を掲載しています。14日朝刊では、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の評価機関が無形文化遺産への登録を勧告した男鹿(おが)のナマハゲ(秋田県)など年中行事10件からなる「来訪神(らいほうしん) 仮面・仮装の神々」を取りあげています。無形文化遺産や世界文化遺産に関連する以下のようなニュースもあります。

    人口と記憶、へき地でも維持を

    • 頭ヶ島天主堂では、清掃の担い手の高齢化が進む
      頭ヶ島天主堂では、清掃の担い手の高齢化が進む

     2018年、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本県)を構成する資産になっている集落で、過疎化が深刻になっています。

     構成資産は、長崎市中心部にある大浦天主堂以外、全てが過疎地にあります。関係する各市町によると、今年5、6月時点で、八つの集落の人口は計1527人。2年間で約100人も減り、奈留島の江上集落(長崎県五島市)は5人、天草の●津集落(熊本県天草市)は52人だけになっています。野崎島の集落跡(長崎県小値賀町)は、01年に最後の住民が島を離れました。

     「潜伏キリシタンの多くは、信仰を続けるため離島やへき地に入植したから」と「キリシタン博物館」(長崎市)では解説します。今も禁教期の痕跡が残るのは開発が進んでいない地域で、経済的に厳しい状況にあります。

     ユネスコの諮問機関・イコモスは今年5月に行った登録勧告で、課題として「人口減少及びそれによる記憶の喪失」を挙げました。長崎県との協議の中でも「資産を維持する地域住民が必要」と対策を求めています。キリシタン博物館では「維持できない資産が出てくるのは時間の問題。地元だけでなく、国が本腰を入れて保全に乗り出すべきだ」と訴えます。

     文化庁記念物課は「国内の世界文化遺産で、ここまで離島が多いケースはなかった。地域の住民を交え、将来について早急に対策を考える必要がある」としています。

     ※●は「崎」の異体字で、つくりの上の方が「立」

    神宿る島、立ち入るべからず

    • 沖ノ島。手前は(左から)小屋島、御門柱、天狗岩
      沖ノ島。手前は(左から)小屋島、御門柱、天狗岩

     古代祭祀(さいし)跡があり、出土した多くの奉献品が国宝に指定された「海の正倉院」と呼ばれる沖ノ島(福岡県宗像市)は、2017年に登録された世界文化遺産「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の中核となる資産です。

     ただ、沖ノ島や、ともに世界遺産に登録された岩礁の周辺海域は以前から好漁場として知られ、上陸する釣り客も少なくなかったようです。沖ノ島を所有する宗像大社(宗像市)は上陸を禁止しています。

     登録を決めたユネスコの世界遺産委員会の決議では、「違法な上陸及び船舶の接近の増加が懸念される点について考慮すること」と注文が付きました。宗像大社では、「後世に伝えるための保全活動はこれからが正念場だ」と強調しています。

    和食の美味、オリパラで発信

    • 和食は近年、トップ外交にも一役。2014年、安倍首相は当時のオバマ米大統領を銀座のすし店でもてなした
      和食は近年、トップ外交にも一役。2014年、安倍首相は当時のオバマ米大統領を銀座のすし店でもてなした

     和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて5年になります。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、訪日客などに広く日本の食をアピールしようとする動きが加速してきました。

     一般社団法人「和食文化国民会議」は11月、経済団体や企業でつくる「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」と連携し、「和食の日」(11月24日)に合わせ、加盟企業の本社や工場の食堂で和食メニューを出してもらう活動を展開します。サバ缶と野菜のみそ汁など、家庭で手軽に作れるレシピも配布し、機運を盛り上げたいとしています。

     和食文化国民会議は、和食文化の保護と次世代への継承のため、中心となって活動している団体で、2015年2月に設立されました。11月24日を「いい日本食」と読ませて和食の日に決めました。全国の小中学校や保育所に、和食献立の給食を呼びかける企画では、17年には参加が6500校を超え、160万人近い子どもたちが地域ごとの和食を食べました。

     農林水産省の担当者は、「今年から本格的に、東京五輪開催に向け、日本の食を国内外にアピールしていく。海外では和食人気が拡大しているが、家庭では敬遠されがち。身近で手軽な和食を提案するなど、その良さを伝えたい」と話しています。

    2018年11月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun