男子校からの新校長「賢い女性を」…京華女子

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 京華女子中学・高等学校(東京都文京区)は今年度、新校長として、男子校の京華中学・高等学校から塩谷耕先生を迎えた。学園創立120周年の節目の年に塩谷校長が目指すのは、建学の精神「英才教育」に基づく「賢い女性の育成」だ。目標実現への具体的な方策を聞いた。

学力向上を中心とした三つの教育ビジョン

教育方針を語る塩谷耕校長
教育方針を語る塩谷耕校長

 「32年間、男子校で教壇に立ってきたので、女子中学・高等学校への赴任という話は、驚き以外の何物でもありませんでした。果たして思春期の女子たちを前に校長が務まるのかという不安はありましたが、蓋を開けてみてびっくり。素直で、少々うるさいくらい明るくて、でも、やるときにはきちっとやる頑張り屋さんで、女子校のイメージがガラッと変わりました」

 塩谷校長の前職は、男子校である京華中学・高等学校の校長。そのルーツは1897年に創立した京華尋常中学校だ。今年は創立120周年の節目にあたる。新校長に就任した塩谷先生は、「賢い女性の育成」を理念として掲げ、さらにこれを「心を育てる」「国際感覚をみがく」「学力を高める」の三つの柱に分けて教育に臨むビジョンを打ち出した。

 「心を育てる」の面では、箏曲、茶道、華道といった伝統文化の修習によって礼儀や感性を磨き、人前に立ってスピーチする弁論大会などで主体性や表現力を養う全人教育プログラムEHD(Education For Human Development)を実施している。また、クラブ活動を通して、目標に向かってひたむきに努力することや最後まであきらめない精神力を養っており、マーチングバンド部が全国大会で3年連続金賞を獲得するなどの実績も上げている。

礼儀や感性を磨く箏曲の授業
礼儀や感性を磨く箏曲の授業

 「国際感覚をみがく」の面では、中学1年生でネイティブの講師が同行して英語だけで過ごす2泊3日の八ヶ岳イングリッシュキャンプを実施するほか、中学2年生から高校生まで参加できるオーストラリア夏季海外研修、中学3年生のカナダ修学旅行など、各学年で外国文化に触れられるイベントを用意している。

 「『心を育てる』と『国際感覚をみがく』という二つの柱はこれからもブラッシュアップしていきますが、私が何よりも注力しているのが『学力を高める』です。男子は好きなことを突き詰めたり、仲間に負けたくないという競争心で勉強に励んだりするものですが、女子は競争によって勉学に励むというよりは、学校が『ここまでは頑張ってみよう』と提示すると、それに応えようと一生懸命になるという傾向があるようです。まずは、ここまでと提示する幅を広げたいと考えています」

放課後特別講習とフォローアップゼミ

英語だけで過ごすイングリッシュキャンプ
英語だけで過ごすイングリッシュキャンプ

 「学力を高める」取り組みで、即効性を期待しているのが予備校の講師による放課後特別講習の拡張。予備校に通わずとも、学校の授業や講習だけで志望校に合格できるようにとスタートした人気のプログラムだ。今年、東京大学に現役合格したのは、この講習に魅力を感じて入学してきた生徒だという。

 高校1年生は60分の講義だが、3年生は90分で、週に3日、英語、国語、数学を受講する。また、昨年までは、国公立大学や難関私立大学を目指す特進クラスの中でも上位成績者向けに講習を開いていたが、今年から中位成績者向けの講習も開講した。今後はさらに、習熟度別の講習を増やしていきたいという。

 底上げを図るという意味では、定期試験の成績が振るわなかった生徒を対象にした「フォローアップゼミ」も今年スタートした。補習というと試験後に短期間だけ行われるイメージだが、このゼミは一時的な成績アップを図るものではない。たとえば、中間試験が思わしくなかった生徒は、次の期末試験まで継続的に補習を受けることになる。

 「アクティブラーニング型の授業も積極的に取り入れていきます。そのために学園教職員研究委員会を設置し、京華学園を構成する京華中学・高等学校、京華商業高等学校、そして京華女子中学・高等学校の3校間で互いの授業を見学、評価する研修を行うなど、教員研修にも力を入れています」

最後まで生徒に寄り添う姿勢

気品ある校舎
気品ある校舎

 「学力向上に努める一方で、忘れてはならないことがある」と塩谷校長は続ける。「学校が終わってから、生徒がうつむいて帰るようにはしたくないんですよ。勉強漬けで疲れ切るのではなく、頑張りきって笑顔で校舎を後にしてほしい。そのために必要なのは心の支えになること。これは京華学園が得意とするところでもあります」

 「思春期は繊細な時期ですから、普段は明るく朗らかでも、受験の不安にさいなまれたり、友人とのトラブルで落ち込んでしまったりすることが少なくありません。そんな生徒をフォローする、それも教師の役目。実際、担任に相談しながら、ときには涙をポロポロ流す生徒もいますが、やがて明るさを取り戻すものです。生徒たちが求めているのは、アドバイスではなく、話を聞いてもらえる安心感なんです」

 京華女子では、普段から教師と生徒の距離が近く、職員室で教師と話し込む生徒の姿は珍しくないという。「どんなことがあっても、最後まで生徒の心に寄り添わなければなりません。これは一教育者として、私が一番大切にしてきたことでもあります」

 同校には、同じ信念を持った教師が少なくないという。「ぜひとも学校説明会やオープンキャンパスでは、伸び伸びと学生生活を謳歌(おうか)する生徒の姿を見てください」。学校選びでは、生徒の様子を見ることが大切だと言われる。塩谷先生と同様、蓋を開けたら、抱いていたイメージが変わるかもしれない。

(文と写真:森祐一 一部写真:京華女子中学・高等学校提供)

206185 0 京華女子中学・高等学校 2017/09/26 05:20:00 2017/09/26 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20170919-OYT8I50108-T.jpg?type=thumbnail

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