生きる力を培う自由な課外活動「FLYERS」…日出学園

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 日出学園中学校・高等学校(千葉県市川市)は3年前から、全校生徒がさまざまなイベントに自由に参加できる課外活動「FLYERS(フライヤーズ)」を始めた。学校説明会での案内係に始まり、企業と連携したキャリア教育のイベント運営、テレビ番組や音楽ビデオの撮影サポートと、その活動の幅は広がっている。単なるボランティア活動と一味違った活動ぶりを、指導する先生と生徒たちに紹介してもらった。

イベント参加の呼びかけに数十人単位が集まる

FLYERSを見守ってきた佐々木奈菜先生
FLYERSを見守ってきた佐々木奈菜先生

 「何かイベントが決まると、FLYERSに登録している生徒たちに、メールやSNSで呼びかけます。中学1年から高校3年まで百数十人の生徒が登録していて、数十人単位の生徒をボランティアとして集めることが可能です」と佐々木奈菜先生は話した。

 FLYERSは、生徒会のメンバーが入試広報部の説明会を手伝うという形で始まり、3年前に本格的な自由参加型の課外活動へと発展した。昨年まで入試広報部に所属していた佐々木先生は生徒たちの成長をじかに見守ってきた。

 「学校のことを一番よく知っているのは生徒たち。説明会にやってきた見学者の方々を生徒が案内するというやり方がとても評判がよく、生徒からも『楽しそう』『自分もやってみたい』という声が上がっていたので、必要なときに希望者をボランティアとして集める仕組みを作ることになったのです」

 学校生活の中には、生徒の自主的な参加があって初めて円滑に進む、さまざまなイベントがある。例えば、企業が日出学園を訪問してキャリア教育を行った際に、FLYERSの生徒たちが企画会議の段階から参加し、自分たちの声を当日の進行に反映させ、運営をサポートしたことがある。

 テレビ局から「学校を舞台に撮影を行いたい」という申し出があった際も、学校からFLYERSのネットワークに声をかけ、手伝いが可能な生徒が一斉に集まった。校内でプロのミュージシャンによるプロモーションビデオの撮影が行われたときは、「学園祭らしい背景が必要だ」という撮影プランに応じて、生徒たちが即興で飾り付けを行い、美術担当者さながらの活躍を見せている。

自分で考え、解決する力を育てる活動

FLYERSの活動に携わっている皆川真由子先生
FLYERSの活動に携わっている皆川真由子先生

 「生徒たちにとって、クラスとも部活とも違う、ゆるやかなつながりになっているのがいいようです。先輩、後輩と堅苦しく考える必要はないのですが、中学生は高校生を見ながら、チームとしてどのように活動をしていけばよいのか学んでいます」と、入試広報部で現在、FLYERSの活動に携わっている皆川真由子先生は見ている。

 FLYERSの中に特定のリーダーはおらず、イベントごとに中心となる生徒を決めて、運営方法を話し合う。終了後には反省会が開かれ、「ここは、もっとこうすればよかった」「今度は、こうすればうまくいくのでは」という意見が活発に交わされるそうだ。

 皆川先生はFLYERSについて「単なるボランティアではなく、これからの社会で必要とされる、自分で考える力・問題を解決する力を育てる活動」ととらえている。ちなみに、FLYERSには英語で「チラシ」のほか、米国で「社会的成功を目指しつつも楽しさを愛する若者」といった意味があり、生徒たちが自分で考えて付けた名称だそうだ。

自分にとっての「もう一つの居場所」

校内をロケ地とするプロのビデオ撮影を手伝う
校内をロケ地とするプロのビデオ撮影を手伝う

 FLYERSの活動によく参加している5人の生徒たちに、きっかけや活動の意義について話してもらった。

 山本(やまもと)弥幸(みさき)さん(高2)は中学生の時に、学校説明会でFLYERSのことを知ったという。「入学前から興味を持っていました。部活に参加していないので、ここが私にとって学校の中でクラスとは違う、もう一つの居場所になっています」と話す。

 FLYERSの活動を通して、教室では学べないものを学んだ生徒もいる。波多野(はたの)鈴夏(れな)さん(高2)は「この活動で企業の人と話をしているうちに、アイデアをまとめてそれを人に伝えることの楽しさを覚えました。これからもFLYERSで、人と協力しながら仕事を進めていく方法を学びたいと思います」という。矢田(やだ)友里(ゆり)さん(高2)は「プロモーションビデオの撮影の手伝いをすることで、プロの方々の仕事の舞台裏を見ることができました。ただ楽しい、面白いというだけでなく、物事の見方が変わりました」とのことだ。岩橋(いわはし)稜乃(いつの)さん(高2)は「人の話を聞き、自分の意見を言うコミュニケーション作業の大切さを学びました。さまざまな人と出会い、知識・教養も広がったと思います。地域政策や都市政策の仕事に興味があり、将来それに生かすことができたらいいです」と将来へ夢を膨らませる。

 呼びかけを受けてからイベントに参加する今のスタイルを変えていきたいという意見もある。杉浦(すぎうら)未咲(みさき)さん(中1)は「さまざまな活動に参加し、そのときどきで自分に求められる役割が異なるのだということが分かりました。今のFLYERSの活動場所は基本的に校内ですが、そのうち介護施設などに出かけて、違う世代の方々とお話しすることができれば、と思っています」

学校紹介の動画を自分たちで制作する
学校紹介の動画を自分たちで制作する

 5人の話を聞いている間にも、「他の学校のボランティアグループに、一緒に活動したいと声をかけてみてはどうか」「企業から依頼されて動くのではなく、自分たちでアイデアをまとめ、それに協力してくれるよう、企業に働きかけてみたい」など、次々と新しい発想が生まれ、先生たちも驚きの表情を見せていた。

 「おっとりしていて、背中を押してあげないと何も始められない中高生が多い中、FLYERSの参加者は、人から指示を受けなくても、自分の考えで行動を起こすことができます。近い将来、今ある仕事の半分以上は人工知能(AI)がこなすようになり、今の子供たちは、現在存在しない職業に就かなければならないという説がありますが、失敗を恐れず、自分から新しいものを見つける『生きる力』を、FLYERSの活動を通して培ってほしいですね」と佐々木先生、皆川先生とも期待を寄せていた。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:日出学園中学校・高等学校)

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48153 0 日出学園中学校・高等学校 2018/11/07 05:20:00 2018/11/07 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181106-OYT8I50084-T.jpg?type=thumbnail

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