図書室を活用した授業で文字や本に慣れ親しむ…実践学園

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 実践学園中学・高等学校(東京都中野区)は、2014年に図書室を「読書・調べ学習室」と改称し、学習機能を強化した。さらに昨年の夏、可動式の机を導入し、グループワークなどに活用できるようリニューアルした。5月中旬、読書・調べ学習室で行われた中1の国語の授業の様子をリポートする。 

文章から情報をつかみ取る力をつける

 同校は6年前、週5時間ある国語の授業のうち1時間を「読書科」とした。活字離れの進む生徒たちが文章に慣れることに重点を置いたのが始まりだと、国語科の永田有佳教諭は説明する。

国語科の永田有佳教諭
国語科の永田有佳教諭

 「本に触れていない子が増え、文章を読むのが苦手な生徒が多いです。また、ゲームやテレビ・映画など映像から情報を得ることに慣れているので、文字だけ読んでも頭の中でイメージを描くことができない。教科書を開いても最初の導入部で挫折してしまうんです」

 文章を読む力は、他のすべての教科に不可欠だ。英語を日本語に訳したり、試験問題をきちんと理解したりする上でも欠かせない基礎力となる。

音声、画像に集中しながら物語を読む

リニューアルして学習機能を強化した「読書・調べ学習室」
リニューアルして学習機能を強化した「読書・調べ学習室」

 昨年7月に読書・調べ学習室をリニューアル、生徒たちがより本に親しめるよう、国語の授業を行っている。1回目の授業では、読書・調べ学習室の本がどういった分類で並んでいるかをレクチャー。2回目は本のタイトルを隠し、数ページの画像だけでどういった内容の本か推測して分類棚から探すという作業が行われた。1学期は読書・調べ学習室の使い方に慣れ、文章を読むことに親しんでいくのが目標だという。

 今学期3回目となるこの日、23人の生徒が読書・調べ学習室に集まった。

 「今日は、実写版の映画が公開になったばかりのピーターラビットの本を読んでいきます」。永田教諭が授業のテーマを発表し、作者ビアトリクス・ポターは、イギリス湖水地方の豊かな自然の中で、植物や動物を育てながら作品を書いていたことなどを紹介した。

「ピーターラビットのおはなし」の読み聞かせ
「ピーターラビットのおはなし」の読み聞かせ

 次に、永田教諭が「ピーターラビットのおはなし」の読み聞かせを行った。読んでいる箇所の挿絵のイラストがスライドに映し出されていく。生徒たちは先生とスライドに注目しながら、かなり集中して耳を傾けているようだ。生徒たちの手元に本やテキストなどはなく、メモを取る生徒もいない。

間違いを怖がらず、活発に発言

 一冊丸ごと読み聞かせが終わると、生徒たちにプリントが配られた。本の内容に関する17の設問があり、空欄の穴埋めをするクイズ形式になっている。

本の内容に関する設問はクイズ形式になっている
本の内容に関する設問はクイズ形式になっている

 「周りの人と相談しないで、まずは自分の記憶だけで答えを書いてください」と永田教諭。生徒たちは、ときに「あれ? なんだっけ?」と首をかしげながら解答を記入していく。その後、先生が質問を読み上げながら答え合わせをした。

 「ピーターにきょうだいが3人いましたね。名前を書けましたか?」「2人は分かったけど、もう1人が分からない。名前が難しい!」

 「ピーターのお父さんは事故に遭って何にされた?」「パイ!」。先生の問いかけに、生徒たちは口々に答えていく。

 「ピーターが入り込んだのは誰の畑?」「マクレガーさんです」「まくれがわさん、って聞こえた! 日本人かと思った」という珍答も飛び出した。間違っていてもどんどん発言する生徒の表情には、とても楽しんでいる様子がうかがえた。

 答え合わせが終わると、生徒たちは中央の広いスペースに集められ、本の全ページの見開きをコピーしたプリントが1枚ずつ配られた。

 「自分が持っているプリントを見て、ストーリーの順番に並んでみましょう」と永田教諭。生徒たちは、「これは最後の方かな」「ピーターがくしゃみしたところを持っている人!」「ネズミが出てくるのはネコの前だっけ?」とコミュニケーションを取りながら輪になった。次に、並んだ順に自分のパートを音読した。惜しいことに、1か所だけ2人の順番が逆だったが、他の生徒たちが即座に指摘して並び直した。

 最後に、全員席に戻り、最初に配られたプリントに今日の感想を書いて授業の振り返りを行った。永田教諭がピーターラビットの他のシリーズ本や英語版の本も紹介し、授業は終了となった。

 生徒たちに授業の感想を聞くと、「国語なのに、記憶力がとても大事だと思った」「いつもはホワイトボードの板書を頼りにしているけど、今回はそれがないので、先生の話を集中して聞くようにしました」と、普段の授業との違いを実感しているようだ。さらに、「文章を読む時、言葉や表現にもっと気を付けていきたいと思いました」「ノートを取る時は、どこが話の重要なポイントか考えてメモを取るようにしたいです」など、これからの学習に対する前向きな意見もあった。

 今回は本の挿絵という画像も活用したが、次回はさらに長文を音声と文字だけで触れ、あらすじをまとめるという学習にステップアップする。

 「最終的には文字だけで文章を読み、短い言葉で本の紹介をするPop(ポップ)を作ります。それには、本の内容を説明し過ぎず、ポイントだけを抜き出す力が必要になります」と永田教諭。

読書・調べ学習室に慣れ、本に触れる機会を増やす

 授業に使う本の選定や資料の作成には、司書の町田りんさんとの連携も欠かせないという。

 「週に3回くらいは打ち合わせをして、本のセレクトや授業の進め方について相談します。生徒が書いた感想やポップなどもチェックしてもらい、次に生かすようにしています」と永田教諭。

 こうして身に付けた読む力、資料の探し方や適切な使い方、情報のつかみ方は、中3~高1で取り組む研究論文を書く際の土台となる。

 しかし、何よりも「本を嫌いにならないでほしい」と永田教諭は訴える。

 「読書・調べ学習室に慣れ親しむことで、普段、本をあまり読まないような子も、本を手に取る機会が増えているようです。文章に触れることで、知識が広がります。また、授業の中で自由に意見を交わすことで、お互いのいろんな考えを知ることもできます。そういう体験を通して、本を読む楽しさをもっと知ってもらいたいですね」

(文・写真:石井りえ、一部写真:実践学園中学・高等学校提供)

 実践学園中学・高等学校について、詳しく知りたい方はこちら

26695 0 実践学園中学・高等学校 2018/06/20 05:20:00 2018/06/20 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180615-OYT8I50051-T.jpg?type=thumbnail

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