ICT教育の導入で学力が大幅アップ…広尾学園

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 広尾学園中学校・高等学校(東京都港区)はICT教育を積極的に推進している。iPadなどの情報端末を授業や資料作成・発表などに活用、大学合格者数が上昇するなど、その教育効果は着実に上がっている。情報端末を使った公開授業の模様をリポートする。

タブレットやノートPCを幅広く活用

本科コース中学1年生の社会科の授業では、同校の15秒CMの作成を行っていた
本科コース中学1年生の社会科の授業では、同校の15秒CMの作成を行っていた

 広尾学園は、1918年(大正7年)に順心女学校として開校。2007年(平成19年)に共学校となり、広尾学園へと校名を変えた。同時にICT教育を進め、現在では全校体制で授業に情報通信機器・端末を導入している。ICTとは「Information and Communication Technology」の略。日本語では「情報通信技術」となる。

 同校ではコースによって異なる種類の端末を使用している。本科コースではタブレット端末のiPadを、医進・サイエンスコースではノートパソコンのChromebook(クロームブック)を、インターナショナルコースではノートパソコンのMacBook(マックブック)を活用した授業が行われている。端末は各家庭で購入し、設定は学校が一括で行っており、自由にアプリなどを追加することはできない。

iPadなどの情報端末は参考書、辞書であり、クラスメートや教師との情報共有ツールでもある
iPadなどの情報端末は参考書、辞書であり、クラスメートや教師との情報共有ツールでもある

 2015年12月に開催された公開授業では、実際に情報端末を利用した授業が行われていた。本科コース中学1年の社会では、「広尾学園のCMを作ろう」というテーマで、iPadを使って15秒の動画CM作成にチャレンジ。素材となる動画や静止画はすべて生徒が自分のiPadで撮影したもので、編集作業もiPadを使う。4人1組で絵コンテ作成から始め、最後に発表を行う。

 この授業の狙いは、自分の学校を観察し、どの部分をアピールポイントにするかを見極め、どうやって伝えていくかを学ぶことだ。最後の発表で生徒は「広尾学園を保護者の方に知ってもらうために作りました」「広尾学園の受験を考えている小学生に向けて作りました」と、CMの狙いを明確にしていたのが印象的だった。

医進・サイエンスコースは生徒全員がChromebookを所有
医進・サイエンスコースは生徒全員がChromebookを所有

 中学1年の理科では、天気図についての授業でiPadを使用。天気図を調べたり、語源を調べたりするために利用していた。

 このほか、英語の授業では問題の解答に、保健体育の授業では発表のための資料作りなどにiPadが活用されていた。

 「医進・サイエンスコース」の授業も見学した。中学1年生が3グループに分かれ、それぞれの研究成果を発表していた。

 生徒はChromebookを、授業での情報収集や不明点の検索、研究成果の資料作成・発表などに活用している。しかし、これらの端末を使うことが目的ではない。iPadやChromebookはあくまでも効率よく学習するための補助ツールという位置付けだ。

メリット・デメリットは?

授業中の使用はもちろん、プレゼン資料の作成や研究発表にも情報端末を使用
授業中の使用はもちろん、プレゼン資料の作成や研究発表にも情報端末を使用

 この日は、公開授業のあとにディスカッションが行われた。まずは生徒代表によるディスカッション。ここでは主に、iPadやChromebookを使う上でのメリット、デメリットが語られた。

 メリットとして挙げられたのは、情報の共有が簡単になったこと。クラスごとにホームページがあり、そこに連絡事項などが掲載されており、スケジュールの把握も簡単になったという。また、わからないことをすぐに調べられる点も便利だと感じているようだ。

 一方、問題点として学習と関係のないコンテンツを見ている生徒の存在や、逆に自宅でiPadやChromebookを使っていると、家族に遊んでいると勘違いされてしまうことが挙げられた。

公開授業後には、生徒によるパネルディスカッションが行われた
公開授業後には、生徒によるパネルディスカッションが行われた

 次に教師によるパネルディスカッションが行われた。ここでは主に、情報端末の使い方などについて議論された。

 同校では、生徒が夏休みの計画表をネット上で書き込みができる表計算ツール「Googleスプレッドシート」に記入し、それを教師が閲覧したり定期試験の結果記入をスプレッドシート上で行ったりすることで、1年間の学習の経過を振り返ることができているという。

 授業だけではなく、学校生活を営む上でも情報端末は大いに活用されているというわけだ。

デジタル時代の教育システム

「生徒の未来を優先してICT教育を導入しました」と語る金子暁教諭
「生徒の未来を優先してICT教育を導入しました」と語る金子暁教諭

 現在、一人ひとりに情報端末を所持させるシステムを導入している中学校は数少ない。しかし現在の小中学生は、生まれたころからデジタル機器に囲まれて生きている。紙とペンでの学習が不要とは思わない。しかし、このデジタル時代において、デジタル機器を使わない教育というのは、逆に不自然だろう。同校では、ここ数年で大学合格者数が大幅にアップ。ICT教育の効果は着実に表れている。

 同校の金子暁教諭は「これまでは教師の都合が優先されていました。しかし、生徒の未来を優先してICT教育を導入しました」と語る。

 同校の授業は、そう遠くない未来の教育現場と言え、将来は当たり前の授業風景となっているに違いない。

 (文と写真・三浦一紀)

 広尾学園中学校・高等学校のホームページはこちら

298373 0 広尾学園中学校・高等学校 2016/01/12 05:40:00 2016/01/12 05:40:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20160108-OYT8I50089-T.jpg?type=thumbnail

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