OGが語る「個性を生かし、夢を実現できる学校」…女子美付

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 女子美術大学付属高等学校・中学校(東京都杉並区)で学ぶのは、美術に関する知識や技術だけではない。同校は生徒一人一人が思い描く夢や、なりたい自分を実現するための力を磨くキャリア教育に力を入れている。母校で教育実習中の卒業生2人に、中高時代の学校生活やキャリア教育の様子、これからの展望などについて話を聞いた。

作品づくりを通して互いに認め合う女子美生

母校で教育実習中の卒業生、後藤夢乃さん(左)と木南玲さん
母校で教育実習中の卒業生、後藤夢乃さん(左)と木南玲さん

 母校で教育実習中の卒業生、後藤夢乃さんは女子美術大学芸術学部の4年生だ。母方の祖父が画家という家庭に育ち、幼い頃から家にこもって絵を描くのが好きだったという。

 「小学生の時に、母の勧めで女子美の文化祭を見に行ったんです。とても和気あいあいとした雰囲気で、ここなら伸び伸びと学校生活が送れそうだと直感しました」

 中学と高校では管弦楽部に所属し、高2の時には部長を務めた。「部長として(つら)いことはたくさんありましたね。特に文化祭の学芸会に参加するための書類を提出し忘れ、演奏できなくなったのは辛かったです。でも、それを乗り越えたおかげで、今はとてもタフになったと思います。あの時のことを思えば、大抵のことは大丈夫です」と笑顔を見せる。

 高校の時、油絵の画家でもある女子美大の教授の授業に強い感銘を受け、同じ道に進みたいと思った。「その先生に憧れて、こういう人に学びたいと思ったんです。また油絵を描いた時に、自分の色彩感覚が他の人と違うなと感じたことも、洋画を選んだ理由ですね」

 もう一人の教育実習生、木南玲さんは同校を卒業し、現在は東京芸術大学美術学部の4年生だ。最初に美術と出会ったのは、近所のお絵かき教室だったという。大好きな絵を中学でも続けたいと考え、同校に入った。ただ、中学の時には、既に外部受験を目指す決意を固めていたという。

 「ほとんどの人が女子美大に進みますが、両親や祖母に『芸大を受けてみたら』と勧められて。この守られた環境から殻を破って外に出てみたいという気持ちが強かったですね。日本で一番絵の上手な人たちが集まる大学で、一番上手に描けるようになりたい、という思いが原動力になりました」

 木南さんは、自分の性格について「ポジティブで明るい」と話すが、とにかく負けず嫌いな面もあり、中高時代には絵が思うように描けなくて泣いたこともあった。

 「学科の勉強と絵の研鑽(けんさん)の板挟みで、思いどおりに伸び伸びと描けなくなった時がいちばん辛かった。そんな時も、友だちと過ごす時間や、熱心に指導してくれた女子美の先生たちが心の支えになりました」

 2人とも一番心に残っている在校中の思い出は「運動会」だという。毎年、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で開催される運動会は、体育と美術が融合した、女子美ならではの催しだという。特に応援合戦は名物で、手作りの衣装や振り付けのパフォーマンスは見ものだ。

 木南さんは高3の時に衣装係を務めた。「準備には親の手も借り、家族を巻き込んで大騒ぎでしたが、終わった後は達成感がいっぱいでした。女子美生はどんな行事にも全力投球です。だからすごく盛り上がります」と熱く語った。

 後藤さんも、「中学の時は、先輩の姿に圧倒されました。私たちもいつかあんなふうにできるのかな、と。女子美生はみんな先輩愛が強いんですよ。だから憧れの先輩がいると、目標にして頑張れるんです」と、当時を思いだすかのように目を輝かせた。

 彼女たちも、今や後輩たちの憧れの存在だろう。進路部主任の中村幸喜教諭は、母校を訪れる卒業生たちの姿を見て、「大学で制作した作品を見ると、そのクオリティーの高さに驚かされます。業界や素材などについてもしっかり勉強しています。インターンシップやアルバイトなどで自分が希望する仕事をどんどん体験し、そこで自分をアピールできるパワーも大きいです。社会との接点をしっかり持っている学生が多いと感じますね」と感心する。「ただ、その土台は中高時代に培われているんです」とも。

 「本校の生徒は物怖(ものお)じせず、自分から行動できる子が多い。作品づくりを通してお互いに認め合う中で、『自分を出していいんだ』とどこかで気付きます。それが女子美らしさだと思います」

将来の夢や目標を見据えた実践的な授業

進路部の中村幸喜教諭
進路部の中村幸喜教諭
夏休みの体験講座
夏休みの体験講座

 同校からの進学の90%は美術系大学だ。そのうち約75%が女子美大への進学となる。しかし、画家やアーティスト、バッグデザイナー、有名キャラクターの生みの親、企業の広報、書物の修補など卒業生たちの活躍の場は幅広い。このため、同校の授業は、単なる進学指導ではなく、生徒それぞれが夢や目標を実現できるように授業を組み立てている。

 「授業は将来に直結する内容に重点をおいています。例えば、中1では陶芸、高校では金属やテキスタイルといったものづくりを学ぶことで、プロダクト系の仕事へつなげています。また、お菓子のパッケージをデザインする授業などもありますね」と中村教諭は説明する。

 また、生徒に第一線の現場を知ってもらうために、女子美大の教授による授業や、大学のアトリエ訪問や体験授業といった特別プログラムを行っている。女子美大の講義を高校の時に履修し、単位を取得できる「科目等履修」という制度もある。

 この制度で日本や東洋の美術史を受講した後藤さんは「女子美大の先生の授業では、本物の芸術に触れることができましたし、時間にゆとりがある高校の間に、大学で学ぶ知識を得られたことはとてもプラスになりました」と振り返る。

 木南さんも、「夏休みの体験講座などに参加したことで、自分の興味がぐんと広がりました。高校よりも授業時間が長いことや、自分でカリキュラムを組み立てなければならないことなど、高校と大学の違いも前もって体験できました」と話す。

「美術を志す人を支え、未来につなげたい」

クオリティーの高い文化祭ポスター作品の投票展示
クオリティーの高い文化祭ポスター作品の投票展示

 木南さんは将来の夢についてこう語る。「作家をしながら美術を教えることができれば理想ですね。今、学校の美術の時間は少なくなっています。だからこそ今の私たちのように、次の世代で美術を守ってくれる人を育てたい。ずっと先の未来まで美術を残していくことに貢献したいですね」

 後藤さんは「女子美大では、学生の制作を支援するパリ賞・ベルリン賞・ミラノ賞という制度があります。受賞すると現地に研究員として派遣されるので、この賞に応募してみたい」と話す。「現地でアート活動をしながら、洋画のルーツを知ることは意義があると思っています。また、自分が悩んでいる時に支えてくれた女子美の先生のように、美術を目指す人をサポートする立場になりたいです」

 全力で好きなことに打ち込みながら、とがった個性を生かし、自分の進む道を開く。そんなOGたちの姿勢も、同校の大切な伝統の一部になっているようだ。

 (文・写真:石井りえ 一部写真:女子美術大学付属高等学校・中学校提供)

 女子美術大学付属高等学校・中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

51275 0 女子美術大学付属高等学校・中学校 2018/11/30 05:20:00 2018/11/30 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181128-OYT8I50042-T.jpg?type=thumbnail

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