授業を変え、生徒を変えた二つの改革…片山学園

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 富山県唯一の中高一貫校である片山学園中学校・高等学校(富山市)は、今年度から全学年、全教科でアクティブラーニングを導入し、特に道徳の授業にはリーダーシップ教育プログラム「リーダー・イン・ミー」を取り入れた。二つの改革が始まって半年、早くも成果が形になってきたという。授業を変え、生徒たちを変えた取り組みの詳細について、望月尚志校長に聞いた。

アクティブラーニングを全学で導入

寮長であり弓道部の顧問でもある望月校長
寮長であり弓道部の顧問でもある望月校長

 2020年度から始まる新しい大学入試に向けて、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」というアクティブラーニングに注目が集まっている。多くの中学・高校が、授業にどのように取り入れていくか工夫を凝らしている。

 片山学園では、今年度から全学年、全教科にアクティブラーニングを取り入れた。具体的な授業の取り組みについて同校は、「2016年教育改革推進!! AL授業実践レポート」として、学校サイトに一部を公開している。

 例えば使い切りカイロを題材に、「化学変化と熱」について考察する理科の授業を見ると、生徒同士が実験の知識を確認し合い、解説していたほか、本番の実験でも生徒が方法を考え、結果を考察し報告書にまとめるなど、アクティブラーニングの多彩な要素が繰り広げられている。

 また、アクティブラーニングの導入とともに同校が開始したのは、すべての授業で生徒たちに「リフレクションシート」を記入させることだ。生徒は授業終了の約5分前に、自分の取り組み姿勢や達成度を項目別にチェックしてこのシートに記入し、授業を振り返る。

 授業時間のうち5分をリフレクションシート記入に充てることで何が得られるのか。望月校長は、「生徒たちが授業を受け止める姿勢が変わりました。この授業で何を獲得できたのか、意識するようになったからでしょう」と、その意味と効果を説明する。

先生同士教え合って授業を変える

6年間を見通し、中高の英語教員が一緒に行うミーティング
6年間を見通し、中高の英語教員が一緒に行うミーティング

 こうしたアクティブラーニングの授業を行うために、中学・高校の先生たちは、教科ごとに「授業デザイン」のミーティングを行っている。「授業デザイン」とは班別学習やディベート、プレゼンテーションを、授業のどのタイミングで、何のために、どのように取り入れるかをあらかじめ組み立てていくことだ。

 たとえば、生徒たちにタブレットを使わせ、動画で記録、発表させるなど、多様な手法で効果的に授業を進めるには、十分な準備が必要だ。このために先生たちのミーティングは、放課後を利用する程度ではなく、週に1~2回、一定の時間を割いて集中して行われる。

 「個々の先生がスキルとして確立してきた指導方法や授業の組み立て方などを共有します。その中に、アクティブラーニングを具体的にどう取り入れ、生かしていくかを教え合い、意見を出し合って、教員としての能力を高めるのです」と望月校長はミーティングのねらいを話した。

授業が変わり、生徒たちの笑顔が増えた

 授業が変わるとともに変わってきたものがある。教室での笑顔と活気だ。考え、教え合う演習の機会を増やした結果、どの子も学びに積極的な姿勢を見せるようになった。

 「先生の指導方法の効果もありますが、グループで教え合う時、男子生徒がいい格好をしたいために念入りに予習してくることも見られます。やらされている、やらねばならないという意識でなく、自ら進んで楽しんで学んでいる。そんな授業になっていると実感しています」と望月校長はうれしそうに語った。

 もちろん定期テスト前には知識の定着を促すために、まとめプリントによる授業も行っている。詰め込みだけでもアクティブラーニングだけでもない、新しく変わる大学入試を見据えた学びのバランスに、しっかり目が配られている。

道徳の授業からスタートする1週間

すべての授業で記入するリフレクションシート
すべての授業で記入するリフレクションシート

 もう一つ、今年度から新たに導入したリーダーシップ教育プログラムがある。「リーダー・イン・ミー」だ。米国の経営コンサルタント、スティーブン・R・コヴィーが提唱した「7つの習慣」を基に、学校向けに開発された。全国の中学に先駆けての導入だという。

 中学1~3年の道徳の授業でこのプログラムを取り入れている。物事の肯定的な見方や、自分の心をコントロールする仕方を身につけるには具体的にどうしたらいいかを、ワークブックやグループでのポスター発表で視覚化するなどしているという。

 この道徳の授業は月曜の1時限目に設定されている。中学生は1週間を道徳の授業からスタートすることになるわけだ。「1週間のはじまりを気持ち良くスタートさせ、毎時間の授業にリフレクションシートで達成感を確認する。その繰り返しで、この半年で生徒たちは頼もしく成長しました」と望月校長は手ごたえを語った。

学校行事や部活動でも変化が

探究活動の発表会。プレゼンテーションの機会を多く設けている
探究活動の発表会。プレゼンテーションの機会を多く設けている

 アクティブラーニングは授業だけでなく、学校行事の準備や部活動でも導入している。その成果は早くも形になって表れている。

 中学1年で行う金沢旅行では、生徒らが自分たちでルールを作り、行動した。旅行中には、外国人旅行者に英語で声をかけ、日本の紹介をするなど積極的な姿も見られたという。

 また部活動では、吹奏楽部が10、11月に開かれたコンテストで全国大会に出場した。弓道部や陸上部なども、この夏に全国大会に出場し、今までにない実績を残している。

 弓道部の顧問でもある望月校長によると、弓を引く姿を生徒らが互いにタブレットで録画し、姿勢をチェックしているという。望月校長は「教えられて直すのでなく、自分自身で気づき、正しい姿勢をイメージで理解し、姿勢を修正しています」と話す。自ら考え、行動するあり方が、生徒たちに根付いている証拠だろう。

スピーチコンテストや短期留学で充実の英語教育

 変わる大学入試で忘れてならないのが英語教育だ。同校では、ネイティブによるチームティーチングを行い、スピーチコンテストへの参加も積極的に促している。「自分の成績に満足できない生徒には、英語を突破口に自信をつけていってほしい」と望月校長は語る。

 夏休みなどの長期休暇を利用した短期留学も行っており、2015年からはイギリスのイートン校に、16年からはスイス・ローザンヌのナショナルスクールに生徒を送り出している。カナダ、オーストラリアの学校との交換留学も準備中だ。

 生徒が主体的に動き出せるよう、次々と工夫を繰り出している学校だと感じた。

 (文と写真:水崎真智子 写真提供:片山学園中学校)

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300504 0 片山学園中学校 2016/12/23 05:20:00 2016/12/23 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20161222-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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