独自プログラムで「多様なスキルを磨く英語教育」…成城学園

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 成城学園(東京都世田谷区)は今年度、「多様なスキルを磨く英語教育」を目指し、幼稚園から大学までの「成城学園英語一貫教育プログラム」をスタートさせた。中学校高等学校では英語4技能をバランスよく発達させるため、オックスフォード大学出版の教科書やeラーニングの積極活用を図っている。その新しい取り組みの内容と手応えを聞いた。

新校舎の「グローバルゾーン」で世界を身近に

 成城学園は昨年、創立100周年を迎え、今年度から次の1世紀に向けて新たな教育改革をスタートさせた。「国際教育」は「理数系教育」「情操・教養教育」と並ぶ改革の三本柱の一つであり、独自の「成城学園英語一貫教育プログラム」によって「国際教育」の目標実現を図っている。

グローバルゾーンでは、英語のほかフランス語やドイツ語の授業も行われる
グローバルゾーンでは、英語のほかフランス語やドイツ語の授業も行われる

 学園の中学校高等学校では、語学教育の場として新校舎に「グローバルゾーン」というエリアを設けた。エリアは六つの教室からなり、「アジア」「アフリカ」「ヨーロッパ」などと6大陸を象徴する名前が付けられている。それぞれの教室はガラスを多用した開放的な空間で、少人数授業に適した机配置だけでなく、プロジェクターや電子黒板も設置されている。

 取材に訪れた9月25日は、この「グローバルゾーン」で中2の英語の授業が行われていた。

 

 「What do you think something high calorie?(カロリーの高いものは何だと思いますか)」

 「I think cheese!(チーズだと思います)」

 

 授業はオールイングリッシュで、教師の質問に対し、17人の生徒たちは口々に英語で回答していく。使用している教科書はオックスフォード大学出版の「Get Ahead2」で、その中のユニット7「What‘s cooking?」がこの日のテーマだった。豆腐、イカ、マンゴーなど12の食品を分類したり、その特徴を話し合ったりしていく。どの生徒も積極的に英語を話し、間違えたら恥ずかしいという様子は見られない。

中2の英語の授業では、誰もが恥ずかしがらずに、活発に英語を話す
中2の英語の授業では、誰もが恥ずかしがらずに、活発に英語を話す

 入試広報部長の網干守教諭は、「英語4技能すべてを伸ばすことを念頭に置いています。受験のためや偏差値を上げるための英語ではありませんから、従来のようにリーディング中心にせず、スピーキングにも力を入れます。また、上から押さえつける教育ではないので、授業中に内容に関して相談し合うことも歓迎しています」と説明する。教室内に自由な雰囲気があり、英語で発言しやすいのは、そのためだ。

 グローバルゾーンの壁には、模造紙に書かれた生徒たちの留学報告が数多く並び、オーストラリア、アメリカ、カナダなどでの体験が写真入りで報告されていた。また、ネイティブの教師も常駐していて、気軽に英語を話せるほか、多読ルームには英語の本が(そろ)っていて自由に読むことができる。世界を身近に感じられる環境が整っているのだ。

 同校も、昨年までは英語の授業に検定教科書だけを使っていたが、今年から全学年でオックスフォード大学出版の教科書も採用した。中学生は「Get Ahead」、高校生が「Q:Skills for Success」。英語4技能の向上を目指すとともに、21世紀型スキルである批判的思考力や、周囲と協働して問題解決する力を養うことを目的とした教科書だという。グローバルな価値観や社会的責任に焦点を当てたトピックスが多く、グループワークやペアワークの学習を促す教材になっている。

 英語科の飯島怜教諭は、「最初は生徒も新しい教科書に戸惑いがありました。しかし、文法ベースではなく目的ベースの学びになっているので、コミュニケーション能力が高まり、授業が活性化しました」と話す。


eラーニングでリスニングとスピーキングを強化

「新しい教科書で授業が活性化しました」と話す飯島教諭
「新しい教科書で授業が活性化しました」と話す飯島教諭

 もう一つの新たな取り組みは、生徒全員に配布したiPadをeラーニングに活用していることだ。これによって生徒は、自宅や通学中にオンラインまたはオフラインでリスニングやスピーキングの練習ができる。

 「スピーキングやリスニングの学習はこれまでCDを聞くしか方法がなく、リーディングに比べて圧倒的に学習量が少ない状態でした。それを補強する必要がありましたが、1コマ授業を増やすより、生徒が自発的に毎日15分学習することの効果を期待したのです」と飯島教諭は導入の理由を話す。

 初の取り組みであることから昨年は、中1で試験的に導入し、活用方法や学力の評価方法を整えてきた。例えば、まとめて課題をやろうとしていたある男子生徒に対し、飯島教諭は「1日10分でもいいから、毎日コツコツやることに意味があり、まとめてやると効果がない」と指導したり、通学時間の長い生徒には、その時間を利用して学習するよう伝えたりするなど細かく活用方法を指示していったという。

 中3の岸ななみさんは、「私は書いて覚えるタイプだったので、最初はiPadにとまどいがありました。しかし、携帯ができてどこでも学習できるので、今のほうがより気軽に学習できるようになりました」と話す。岸さんはこの学習でリスニングが上達したため、夏にオーストラリア短期留学へ行ったときは、相手の話がよく分かり、力が付いているのを実感したという。

 中3の古市綺羅君も、「部活動が忙しいので、毎日習慣的に学習するのが苦手でした。しかし、iPadは持ち歩けるので、通学時間などに利用したら、毎日学習できるようになりました」と話す。好きなアメリカ映画も字幕なしで理解できるようになり、夏にオーストラリア短期留学に行ったときには、現地の先生にスピーキングが上手だとほめられたという。今では英検2級レベルの学習に励んでいる。

高校のeラーニングは広い学習レベルを設定

 高校生向けのeラーニングはさらに工夫が必要だった。高校から入学した生徒は、ネイティブの教師の授業を経験していない生徒が多く、特にリスニングで差が大きかったためだ。「高校では英語力の差が開き、一部の生徒には難しく、一部の生徒には簡単すぎ、同一教材で学習する難しさに突き当たりました」と英語科の本間理沙教諭は振り返る。

 そこで、今年は英語力を測るプレイスメントテスト(振り分け試験)を最初に受けて、自分に合った学習レベルで学ぶように変更したという。英語の国際標準規格CEFR(セファール)に対応させて、学習レベルにも幅を持たせたので、帰国生でも十分に満足できるハイレベルの学びができるという。

 高1の伊澤恵さんは、「毎日1時間ほどiPadで学んでいます。通学時間にリスニングをし、家ではお風呂に入りながらスピーキングをしています。スコアが出るので、モチベーションが上がります」と話す。発音がよくなり、成績も上がったという。また、CEFRに対応しているので、英語力の証明になるところも気に入っている。「英検も準1級を近いうちに取得できるように努力しています。将来は英語を使って人を助ける仕事がしたいです」と目を輝かせていた。

「国際社会で生きていくための英語を目指しています」と話す本間教諭
「国際社会で生きていくための英語を目指しています」と話す本間教諭

 本間教諭は、「生活音の多いリビングより雑音の少ないお風呂などの場所が、iPadの音声認識には適しています。発音も矯正できて、よりきれいな発音になります。それぞれの生徒が自分に合った学習法を模索し、取り組んでいるのです」と説明する。「本校では、国際社会で生きていくための英語、伝わる英語の育成を目指しています。英語は手段です。それを使って何を表現するか、何を伝えるかが大切です。中高6年間は人としての豊かさを育んでいく時期です。本校では社会的知識と科学的知識を持った人間的に魅力ある生徒を育てています。英語はそれを世界に発信するチャンスだと思っています」

 (文・写真:小山美香)

 成城学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

55192 0 成城学園中学校高等学校 2019/01/07 05:20:00 2019/01/07 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181220-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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