「面倒見の良さ」が生むチャレンジ力…昭和秀英

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 昭和学院秀英中学校・高等学校(千葉市)は近年、難関大学への合格実績を着実に伸ばしている。学年担当教員全体でそれぞれの生徒をバックアップし、ともに進路を考えていく「面倒見の良さ」がその背景にあるという。指導担当の教員と、同校の若手教員として戻ってきた卒業生に進学指導の実際を聞いた。

難関大に挑戦する生徒が増えている

進路指導部の飴田孝儀教諭
進路指導部の飴田孝儀教諭

 昭和秀英の進学実績は、じりじりと上昇する傾向を見せている。国公立大への現役合格者数を見ると、2016、17年度は64人だったが、18年度は東大合格4人を含む、71人と伸びを見せている。また、18年度は慶応大学への現役合格者が昨年度比50%増の60人を数えた。

 「最近は難関大にチャレンジする生徒が増えています。講習などの出席率も上がり、最近はほとんど欠席者がいないようです。学校の実績に対して生徒が信頼感を抱き、積極的に上を目指す気持ちにつながっているのではないでしょうか」と進路指導部の飴田孝儀教諭は分析する。

 どういう進路指導がこの好成績をもたらしているのか。飴田教諭は、「特に変わった方法は取っていません」としながらも、「指導のきめ細かさはあるでしょう。予備校の担当の方などには『面倒見の良い学校ですね』と言われます」と話す。

「進路講演会」は生徒の志望傾向を踏まえ、さまざまな職業の社会人を招いている
「進路講演会」は生徒の志望傾向を踏まえ、さまざまな職業の社会人を招いている

 「面倒見といっても、すべて世話を焼くわけではなく、生徒自身が進路を考え、選び、決めるための力を育てるということです。つまり、将来の選択肢をできるだけ多く示し、進路を決める際の考え方をアドバイスする。高2までには目標を見定めて自分で進めるよう指導し、目標へ向けた学習をバックアップします。進路指導担当だけではなく、学年担当教員全員で事に当たります」

 重視していることの一つが、生徒一人一人の意向や適性の把握だ。中学1年から高校3年まですべての学年において、6月と11月の年2回、生徒全員を対象に個人面談を行っている。

 「通常は1人あたり15分から20分。科目選択や文・理選択の際は、さらに時間を取ってじっくり話します。必要に応じて、1年に3、4回行う場合もあります」

 将来を考える機会も早い時期から設ける。中学校では「職業インタビュー」を行っており、企業などを訪ね、社会で活躍する人々に話を聞く。聞いた話をまとめる作業の中で、レポートの書き方も学ぶ。

卒業生に大学生活や勉強法などについて話をしてもらう「進路座談会」
卒業生に大学生活や勉強法などについて話をしてもらう「進路座談会」

 中3からは、大学や社会で活躍中の卒業生を学校に招いて、「進路講演会」や「進路座談会」を開いている。「社会人の方を招く講演会は、生徒の志望傾向を踏まえ、さまざまな職業の方にお願いしています。また、大学在学中の卒業生4、5人を招き、各人1教室に分かれて大学生活や勉強法などについて話をしてもらう座談会も、随時行っています」

 また、高校では東大や早大、千葉大の教授、講師を招いて模擬授業を行ってもらい、大学での学問の捉え方や授業の雰囲気を知って、進路への意識をさらに高める機会としている。

生徒からの質問には随時、時間の許す限り

 志望を実現するための学力強化も丁寧に行う。授業内容の着実な習得を図り、始業前と放課後に行う「補習」と、志望校別の入試対策を中心として夏休み、冬休みに行う「講習」で、難関校にも挑戦できる学力を目指す。

 このほか、同校の進路指導の特徴として飴田教諭が強調したのは、個別の生徒の疑問や相談に随時、応えられる体制だ。

 「本校では、中高6年間、教員が持ち上がりで同じ生徒たちを担当するため、生徒と教員の距離が非常に近く、生徒がよく職員室に質問や相談に来ます。授業の合間は10分間しかないので、放課後や朝7時ごろに顔を出す生徒もいます。もちろん、各教員も時間の許す限り応えます」

 職員室前の廊下には机が置かれ、壁には大きなホワイトボードが設置してある。生徒からの質問に対して、半ば授業のような形でじっくり対応することも少なくないという。数学を担当する飴田教諭は、時折、ホワイトボードに難問を書き、「エレガントな解答を求む」と、生徒の熱意を刺激する工夫も行っているそうだ。

 また、図書館は午後8時まで開館していて、部活が終了する午後6時以降も、生徒の勉強をサポートしている。

母校教員となった2人の学校時代

母校の教員となった山田教諭(左)と服藤教諭
母校の教員となった山田教諭(左)と服藤教諭

 大学卒業後、母校の昭和秀英に勤めて3年目という若手教員2人に話を聞いた。2人とも、教員の道に進んだのは同校の環境や恩師の影響が強いという。

 東京理科大学理学部で液晶素材の研究に取り組んでいたという服藤慎教諭は現在、高2の化学を担当している。

 「もともと理科好きでしたが、高2のときに習った化学の先生の授業が非常に分かりやすく、意欲につながりました。少し苦手だった電気分解の単元も、試験前の臨時補習でだんだん難度を上げて段階的に教えてくれたので克服できたことを覚えています」

 大学進学については、当時の担任から「自分がやりたいことを基準にすると良い」というアドバイスを受け、参考になったという。「何につけ、聞きに行けばその場での答えを超えてフォローしてくれるのでありがたかったですね」

 部活では6年間、柔道部を続けた。その活動も大きなプラスになっている。

 「少人数だったせいか、一人一人コツコツ続けることが大切と考えられていました。生徒同士の仲も良く、先輩が優しく指導してくれたのも部活を続けられた一因です。今は『継続力』が自分のモットーです。生徒にも『継続すれば結果はついてくるし、後悔することはない』と話しています」

 服藤教諭と中1、高1で同クラスだったという山田真誠教諭は、北海道大学で日本の中古文学を学んだ。現在は高1の国語を担当している。

 「中学生の頃はやんちゃで生意気な子供だったんですが、担任の先生はそうした自分をよく分かってくれて、『頭ごなしに怒るのではなく。自分が悪いことをしている』と受け入れられるタイミングを選んで叱ってくれました」

 「進路に関わることなど、自分が考えたことに対して学校では『駄目』とか『こうしなさい』とか言われたことが、ほとんどありません。こちらが受け入れやすい形で、選択肢を提案してくれるのがありがたかったです」

 部活は野球部に所属していた。監督からも大きな影響を受けたという。「グラウンドではとにかく厳しい先生でした。しかし、普段の学校生活の中で、ユーモアのある温かな人柄を知り、監督としてあえて厳しくしていたのだと分かりました。そして、その優しさの中にも温かさがある姿に憧れるようになりました」

 進路についても、担任に感謝する気持ちが大きい。「実は東大を目指していたんです。今考えると力が全く足りなかった。でも、先生は『無理だ』ではなく『頑張ろう』と言ってくれて、発奮できました。結局、合格することはできませんでしたが、最後まで前向きに挑戦することができたというのは、今でも自分の財産となっています」

 2人の先生の話からも、同校が生徒一人一人の意向や適性を把握し、授業や学校生活のすべてを通じて、きめ細かなサポートをしていることがうかがえる。近年の好調な進学実績も、熱意と自主性を引き出す息の長い取り組みの結実と言えそうだ。

(文・写真:上田大朗 一部写真:昭和学院秀英中学校・高等学校提供)

 昭和学院秀英中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

402525 0 昭和学院秀英中学校・高等学校 2019/01/25 05:20:00 2019/01/31 10:28:43 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190123-OYT8I50036-T.jpg?type=thumbnail

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