異文化の多様性体験へ 豪州へターム留学…東京純心

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 東京純心女子中学校・高等学校(東京都八王子市)は、実践的な独自の英語学習プログラムを進めている。30年の伝統がある校内英語スピーチコンテストなどに加えて、2017年度からオーストラリアへの3か月間のターム(学期)留学を導入した。その狙いなどについて英語の担当教師に聞くとともに、留学を体験した生徒2人にインタビューした。

4技能をバランス良くステップアップ

英語教育と留学について語る英語科の星島三智子教諭
英語教育と留学について語る英語科の星島三智子教諭

 東京純心は1963年の創立以来、キリスト教に基づいた人間教育を基本に据えてきた。英語科の星島三智子教諭は、同校の英語教育について「本校の教育方針を踏まえ、世界の人々と良い関係を結び、より良い社会を築く技能として身に付けさせたい」と語る。

 中学では「英語は実技科目」として、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能をバランス良くトレーニングしている。中1、中2は英語を好きになることを重視し、中3年以降は学んだ英語を実際に使う機会を増やしていくという。

「イングリッシュキャンプ」ワークショップで劇を演じる中2生
「イングリッシュキャンプ」ワークショップで劇を演じる中2生

 中2の夏休みには、山梨・河口湖畔で英語だけで生活する2泊3日の「イングリッシュキャンプ」が行われる。ネイティブの講師とゲームをしたり、英語劇などに取り組んだりして、英語を使う楽しさを体感する。プレゼンテーションやスピーチの練習も行い、その後の学習のステップにしている。

 中学入学後、生徒たちは毎年、約30年の歴史がある同校の英語スピーチコンテストに参加する。中1はチームに分かれての絵本の朗読、中2になると、1人で課題文の暗唱に取り組む。昨年度の課題文には、米国の公民権運動指導者キング牧師の歴史的演説「I have a dream(私には夢がある)」などが選ばれた。中3は自分でオリジナルの英文を書き、スピーチを発表する。

「英語スピーチコンテスト」で絵本を朗読する中1生
「英語スピーチコンテスト」で絵本を朗読する中1生

 スピーチコンテストには高校1、2年も参加する。高1で行う課題文の暗唱では、ノーベル平和賞を受賞したパキスタンの少女マララ・ユスフザイさんの国連演説など、さらにレベルアップした長文に挑戦する。高2は英語学習の集大成として、幅広いテーマで英語らしい表現も駆使したスピーチに挑む。このコンテストで英作文やスピーキングのスキルを高め、外部の大会に出場する生徒もいるという。

ターム留学1期生、「とにかく口に出せばいい」

 中学から高校に進むと、「英語を英語の語順のまま理解する」ことを目標に、少人数の習熟度別授業で、一人一人の英語力を丁寧に鍛えていく。

 異文化体験にもチャレンジしてもらおうと、高1の希望者は夏休み、オーストラリアでの2週間の英語研修に参加できる。ホームステイをしながら、姉妹校であるシドニー郊外のキャロライン・チザム・カレッジ校で授業を受ける。2018年の夏はゴールドコーストのコースも新設され、2グループに分かれての研修を行った。できるだけ英語だけの生活環境に身を置けるように、ホームステイは1家庭に生徒1人ずつ泊まるのが原則という。

 さらに、2017年度から新たに導入したのが、オーストラリアへの3か月間の「ターム留学」制度。高1の希望者の中から、校内選抜された生徒を3学期の1~3月に派遣する。現地のホームステイ先からキャロライン・チザム・カレッジ校に通い、地元の生徒たちと一緒に通常の授業を受けるという本格的プログラムだ。

 このターム留学1期生として参加し、現在高2の長谷川智子さんは「募集の話を聞いたとき、『絶対行かなきゃ』と直感しました」と話す。入学当初、英語の成績は「下から数えた方が早かった」そうだが、少しずつ力を付け、派遣生を決める英語プレゼンテーションの校内選抜試験を突破したという。

 現地の授業は、教師から教わるより、自分の考えを発表するほうが中心で、「日本と全然違う」と驚いたという。また、各教科共通のテーマが設けられるのも新鮮に感じた。留学時は「ベトナム戦争」をテーマに、社会科では意見発表を行い、英語の時間には戦争当時に米国で歌われた歌詞を学んだという。

 印象に残ったのは「Photo(フォト)」という授業。「野菜」「果物」など題材を決めて、ネットで写真を探し、組み合わせて「自分の顔」を作るプログラムだ。長谷川さんは菓子を素材に製作したという。「先生が日本のお菓子好きで、ジャガイモのスナック菓子を使ったら、などと話しかけてくれました」と、楽しそうに振り返る。

 留学を体験し、長谷川さんは英語との向き合い方が大きく変わったという。「以前は英語を話すとき、文法や単語を気にしてつまずいていましたが、実際は単語だけでも少しは通じるし、相手は理解しようという姿勢で待ってくれるので、『とにかく口に出せばいい』と思うようになりました。リスニングも楽しくなり、ポッドキャストの英語番組などで耳を鍛えるようにしています」と話す。

「察してもらう」ではなく「はっきり伝える」

 芦野未理さんは夏休みの英語研修に続いて、3学期のターム留学にも参加し、オーストラリアでの生活を再び体験した。留学の希望を出す際、英語研修時のホストファミリーに、SNSで報告したところ、「『またうちにステイすればいいわ』と言われ、まだ留学が決まらないうちに『ベッドを用意した』というので驚きました」と話す。

 2度目のホームステイなので、その家族とは最初から打ち解け、彼らの友人のバースデーパーティーに加わったり、同年代のホストシスターのダンス練習を見に行ったりするなど、現地の日常生活を十分味わうことができたという。

「ターム留学」で行われた農業実習
「ターム留学」で行われた農業実習

 外国人とのコミュニケーションで、強く印象に残ったことがある。夏休みの英語研修のとき、スポンジケーキに似た同国の名物デザート菓子「ラミントン」をホストファミリーに振る舞われた。実はあまり口に合わなかったが、「気に入った」と聞かれ、つい「Yes」と言ったために、何度も食べる羽目になった。

 今回の留学の際、芦野さんは「2週間なら我慢できるけれど、3か月は無理」と、思いきってホストファミリーに「実は飽きてしまった」と伝えたところ、「あら、そうなの」とあっさり受け入れてくれた。「日本人のように察することがない反面、言葉ではっきり伝えれば、わだかまりなく理解してくれる」と、文化の違いを実感したという。

多様な文化的背景持つ現地校との出合い

 キャロライン・チザム・カレッジ校は、東京純心と同じカトリック系女子校だ。当初は海外研修先の一つだったが、校風が似ていることや、現地の教師が日本に関心を持っていることから交流が深まり、2017年に姉妹校になった。ターム留学期間中の3学期には、先方からの交換留学生も受け入れ、授業料を相殺して留学費用を抑える工夫もしているという。

 「オーストラリアは移民の国で、多様な文化的背景を持つ人々と交流できるのも、本校の教育方針に合っています」と星島教諭は話す。キャロライン校の校歌に、「diversity(多様性)」という言葉が何度も出てくるのが象徴的だという。「生徒たちには、外国人と話すだけでなく、さまざまな立場や考え方の人たちを受け入れ、尊重する人間に育ってほしい。そうした意味で良い学校と出合えました」と語る。

 ターム留学を体験した生徒たちに、将来の希望や夢を聞いてみた。芦野さんは「ぜひ大学でも留学したい。いろんな英語の環境を経験したいので、他の国がいいかな。交換留学できる国も意識して、受験する大学の情報を集めています」と将来の抱負を語った。

 また、長谷川さんは「東京オリンピックのボランティアに参加して、海外の人と話してみたい。将来は小学校の先生になり、子供たちに自分の経験を伝えたい」と夢を語る。多様な文化を体験した生徒たちが、グローバル時代に向かって大きく羽ばたこうとしている。

(文・写真:上田大朗 一部写真:東京純心女子中学校・高等学校提供)

 東京純心女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

59747 0 東京純心女子中学校・高等学校 2019/01/07 15:00:00 2019/01/07 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190107-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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