日本代表の気概を持つ人物を育てる国際コース…清風

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 清風中学校・高等学校(大阪市)は2018年度、「国際コース」を開設して1期生2人を迎えた。募集定員はわずか5人のコースで、留学前に日本の文化、歴史を学び、中学3年生の7月から21か月間、欧米の提携校に留学するという。この国際コースの特徴と目指す教育について平岡弘章副校長に聞いた。

高い学力を養いつつ日本文化と歴史を学ぶ

――国際コースの特徴を教えてください。

海外提携校を開拓してきた平岡弘章副校長(左)と国際コース特別顧問の江藤裕之先生(右)
海外提携校を開拓してきた平岡弘章副校長(左)と国際コース特別顧問の江藤裕之先生(右)

 中高一貫6年の間に、英語で日本を語ることのできる真の国際人を目指すコースです。募集定員は5人なので、通常授業は東京大学・京都大学・国公立大学医学部への合格を目指す「理3・6か年コース」の最上位クラスで受けます。違いは、土曜日に国際コースのみの特別授業を設けていることと、英語のネイティブスピーカーによる授業を日本人の先生による授業に替えている点です。

 中学3年次に、7月から2か月間、留学先の語学学校で学び、続いて秋の新学期から19か月間、提携校で学びます。帰国するのは高校2年の4月です。留学中に足りなかった教科を補う特別カリキュラムで大学受験に備えるとともに、ネイティブの先生が担任に加わり、留学で磨いた英語力の維持に努めます。

 

――土曜日の特別授業では何を学ぶのでしょうか。

校内の茶室でお点前を体験し、茶道を学ぶ国際コースの生徒
校内の茶室でお点前を体験し、茶道を学ぶ国際コースの生徒

 特別授業は日本文化の体得を目的にしたカリキュラムです。茶道、武道、座禅などを体験し、高野山、法隆寺、伊勢神宮での修養行事を通じて仏教や神道の基礎的教養を学びます。1期生は、本校のスーパーバイザーで、表千家の生形創(うぶかたそう)先生の授業を受けました。その生徒が「茶道には全て手順があり、意味があります」と話すのを聞き、その成長を実感しました。

 英語の授業をネイティブの教師ではなく、日本人教師が指導するのは、日本にいる間に英語の基礎をしっかり作るためです。現地に行けば24時間英語漬けの生活です。留学までの期間に、土台となる文法の授業を日本人教師が丁寧に行います。

「英語をうまくしゃべりたいだけの日本人はつまらない」

――日本の文化や歴史を学ぶことが、留学準備になぜ必要なのでしょう。

 私は英語教師を10年ほど続ける中で、日本の教育に行き詰まりを感じました。そこで、英語教育を今後どのような方向に進めていくかを探るためにアメリカへ視察に出たのです。

 1998年から1年間、ワシントンにあるジョージタウン大学付属語学学校に留学し、「English as a Foreign Language(EFL)」を学びました。言語学の博士号を持つ教授に指導を受けた際、授業で日本のことを聞かれるのですが、私は「自分が勤める学校の英語教育を良くしたいと思い、留学している」と答えると、その後、質問されなくなったのです。ところが自国のことを必死に話すアフリカからの留学生には、語彙(ごい)も表現も拙く、分かりにくい英語にもかかわらず、教授は丁寧に耳を傾け、しかもたびたび声をかけていました。当時の私は自国に関する知識が十分でなく、国を代表しているという意識もなかったことに気付きました。ドロ縄式ですが日本について調べ、発言することで授業を切り抜けました。

 この体験から、留学準備とは、英語を流暢(りゅうちょう)に話す能力を磨くことより、むしろ自国に関する知識と理解を深めることだと確信しました。最近も、このことを深く実感する出来事がありました。

 それは、国際コースの生徒の留学先となる提携校を探すため、海外の30余りの学校を訪ねたとき、全ての学校に「どうして御校は日本人の生徒を受け入れるのですか」と質問したのですが、ほとんどの学校が「アジアの日本の生徒と交流することで自校の生徒が成長できるから」と答えました。文化の違い、考え方の違いに触れることで多様性が広がる。しかも英語が流暢でない留学生への対応すら、生徒が成長するチャンスと捉えていたのでした。

 本校が留学の提携をしている学校は現在6校です。どの学校も、英語をうまくしゃべりたいだけの日本人が来ても自校の生徒の成長につながらない、つまらないと考えているのだと感じました。国際コースで日本文化の特別授業を行う理由は、ここにあります。

意欲あふれる受験生の挑戦を待っています

――募集人員がわずか5人なのは、どうしてですか。

留学先としての直接提携のために海外校と議論を重ねる
留学先としての直接提携のために海外校と議論を重ねる

 妥協なくカリキュラムを設計すると大人数では難しいからです。学校経営という面から見れば不合理でしょう。それでもあえて5人でいいと決断しました。提携校探しのためにイギリスに行ったとき、ロンドン大学で「長州FIVE」と呼ばれる5人の留学生の活躍をたたえる顕彰碑を見ました。江戸末期に伊藤博文をはじめとした5人の日本人がロンドンで学んで帰国し、明治維新後の日本の基礎を作ったことは、知識として知ってはいたのですが、実際に顕彰碑を目にし、ちょうど国際コースを作り上げる途中だった私は志を新たにしました。日本の未来を変える気概を持つ日本人を育てる。5人でいい、しっかり育てようと決めたのです。

 コース設計は、特別顧問の東北大学大学院国際文化研究科の江藤裕之教授に助力をあおいでいます。ジョージタウン大学付属語学学校で学んでいたとき、江藤先生は上智大学大学院の博士課程を修了してジョージタウン大学の大学院で学んでいました。その縁で、当時から、私たちは日本の英語教育について意見を交換してきました。

 留学の意味について江藤先生は「孤独の中で内省し、それまで当たり前だった日本を相対化して考える機会」と話します。私も全く同感です。お客様気分や観光気分ではなく、生徒にはしっかり学んでもらいます。

 21か月間の留学費用を肩代わりし、将来、社会人になってから返済すればよい特別奨学生制度も準備中です。これも5人という少人数だから清風学園が支援できることです。

 

――国際コースの入試方法などについて教えてください。

 学力は「理3コース」の中でも最も難度が高いプレミアムクラスレベルの選考となります。しっかり勉強して備えてほしいです。試験科目は、国語、算数、理科の3科目ですが、英検準2級以上か「TOEFL iBT」テストで35点以上の資格取得者は、出願時に申請した場合、入学試験の得点に加点します。受験生と保護者同席の個別面接も行います。21か月に及ぶ留学をやり抜く意欲と、保護者の国際コースへの理解を確認させていただきます。学校と親が同じ方向を見ながら一緒に生徒をサポートするためです。

 理3プレミアムクラス及び国際コースの合格者の中から成績上位者を特別給費生として認定しています。品行・成績不良などにより、資格を取り消されない限り、在学中の授業料を全額給費するものです。このような支援も用意し、意欲あふれる受験生の挑戦を待っています。

 (文:水崎真智子 写真提供:清風中学校・高等学校)

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62892 0 清風中学校・高等学校 2019/01/18 16:51:00 2019/01/18 16:51:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190118-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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