海外語学研修で英語を人生の友に…高輪

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 「高く・大きく・豊かに・深く」を教育方針としている高輪中学校・高等学校(東京都港区)は、自然体験学習・農工芸体験学習・西日本探訪など多彩な体験学習プログラムを実践している。中でも生徒たちが楽しみにしているのが「生きた国際性を育む」ことを目的とする海外語学研修だ。中3で海外語学研修に参加した生徒2人と引率者の横尾淳一教諭に話を聞いた。

海外語学研修は6年間で3回

海外研修について語る横尾淳一教諭
海外研修について語る横尾淳一教諭

 高輪では6年間で3回の海外語学研修を設けている。中3もしくは高1の夏休みに行くイギリス・サマースクール(希望者対象、13日間)、中3の春休みに行くアメリカ・サンタクルーズ・ホームステイ(希望者対象、10日間)、高2の秋に行くオーストラリア海外学校交流(全員参加、6日間)だ。

 高校1年の三輪直暉君は、中3の夏休みにイギリス研修に参加。同じく高校1年の茂野友哉君も中3の夏休みにイギリス研修に、中3の春休みにはアメリカ研修にも参加した。

 横尾教諭は「行く前には、英会話の事前研修をみっちり行います。ネイティブの教師を招き、50分の授業を4、5回やることで、現地での日常会話には困らない程度には上達させます」と話した。

 同校の坂本正校長は、この海外語学研修の案内パンフレットで、「人生の中で最も感受性が豊かであり、柔軟性をあわせ持つ中学高校時代に、海外での様々な交流や生活などの異文化体験は必ずや有意義なものになると共に、将来の国際社会での活躍への大きなステップになるものと思っております」と語っている。

英サリー大学で文化交流と見学

イギリスのサリー大学での授業
イギリスのサリー大学での授業

 2006年にスタートしたイギリス・サマースクールは、ロンドン市内から南西50キロの学園都市ギルフォードにあるサリー大学を拠点として行われている。同大学は現在110以上の国・地域からの留学生が学ぶインターナショナルな大学で、高輪ではいくつかの候補の中から安全面なども考慮してここを選んだ。

 生徒たちはサリー大学の学生寮で寝起きし、歩いて5、6分のカフェテリアで3度の食事を取る。カフェテリア以外にも敷地内にピザ店やコーヒーショップがあり、自由に利用できる。

 授業は基本的には午前中に行われる。イギリスの公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が資格認定した英語教師たちが、口頭でのコミュニケーション能力や表現力の向上に重点を置いた授業を行う。

 午後はアクティビティーに充てられ、イタリアやスペインなどサッカーが盛んな国から来た生徒たちとサッカーを楽しむことも。夜は文化的な交流会が開かれる。イタリア人の生徒がダンスを披露し、お返しに生徒たちが「スーパーソーラン節」を踊る一幕もあったという。

 授業の合間には1日あるいは半日のエクスカーション(体験型見学会)も用意されている。生徒たちはロンドン市内で大英博物館やナショナルギャラリーを見学したり、足を延ばして世界遺産に登録されたバース市街やストーンヘンジ、ウィンザー城などを訪れたりして、イギリスの文化と歴史を体験する。

非英語圏の人々ともコミュニケーション

サッカーを楽しむ生徒たち
サッカーを楽しむ生徒たち

 三輪君は、小1から小4まで米テキサス州ヒューストンに暮らした。帰国して同校を選んだのは、パンフレットや学校ホームページでイギリス・サマースクールのことを知ったからだという。それが受験勉強のモチベーションにもなったそうだ。

 「サマースクールではヨーロッパの人々と話してみたかったし、考え方に触れたかった。英語圏の人々とはある程度コミュニケーションが取れる自信はあったけれど、そうじゃない人たちとどれくらいしゃべれるか実は不安でした。相手がネイティブ・スピーカーならこちらの言いたいところをくみ取ってくれるけど、そうではない場合は正確に伝えないといけない。その分お互いに大変なんです。そうやって四苦八苦して仲良くなったイタリアやイスラエルの人が何人もいます」

 スクールのクラス編成は、英語力のテストで決まる。三輪君が入ったクラスで日本人は彼一人だったという。「先生に『なぜ君は他の日本人より英語ができるんだ』と聞かれ、『ヒューストンに住んでいたから』と答えたら、『そうか、君の発音はそこから来ているのか』って。僕のヒューストンなまりを話題にして会話が広がったりするわけです」。リラックスしたやり取りの中で英会話を学ぶ。クラス内の雰囲気がよく感じられるエピソードだ。

米サンタクルーズで英会話を磨く

アメリカ・サンタクルーズでの授業
アメリカ・サンタクルーズでの授業

 今年スタートしたアメリカ・サンタクルーズ・ホームステイは、サンフランシスコの南約115キロに位置するサンタクルーズのモントレーベイ・アカデミーを拠点とする。

 同校は共学・寮制の高校で、約154万平方メートルの敷地に広大なストロベリー畑やプライベートビーチを備えている。研修先として選定した際、同校周辺の安全性はもちろんだが、「小さな村」のようなのどかな景観が決め手になったという。実際、初めて訪れた生徒たちを地元の人たちは温かく迎えてくれた。

 生徒は2人ずつ同校周辺の民家にホームステイする。朝食と夕食はホストファミリーと一緒に食べ、昼食は手作りランチを持たせてもらう。

 朝食を済ませると、生徒たちはそれぞれ指定された場所に集合し、受け入れ先の語学学校ECI(Educational Consortium Institute)から派遣されたスタッフと共にバスでアカデミーに通う。

 授業は会話力の向上をめざし、熟語や地元で使われる表現、スラング(俗語)なども学ぶ。受け持つのはESL(English as a Second Language:英語を第二言語として教えるクラス)の修士号を持つ教師たちだ。また、地元の高校生や大学生がカンバセ―ションパートナーとして、生徒5、6人に対し1人の割合でつき、きめ細かくサポートしてくれる。

 授業がない日は、サンフランシスコ市内、同市の観光名所フィッシャーマンズワーフ、ノーベル賞受賞者を輩出しているスタンフォード大学などを訪れる。生徒たちにとっては、街の人々と会話を試すいい機会にもなる。

 茂野君は小学生の時から、塾で英会話を含めて英語を学んでいた。英語を話すのが好きなので、イギリス研修に参加し、もっとうまくなりたい、もっと現地の人と会話したいという思いでアメリカ研修にも参加した。

 「片言の英語でも、積極的に話をすれば最低限のコミュニケーションは取れることがわかり、自信が付きました。ホームステイ先のご家族と一緒にテレビを見たりゲームを楽しんだりする中で、日常的な会話はずいぶん上達したと思います」。茂野君は、今もその家族とメールのやりとりをしており、ライティングも上達したという。将来はアメリカの大学に留学したいと希望を膨らませている。

 今、楽しみにしているのは、高2で全員が参加するオーストラリア海外学校交流だ。

研修きっかけに英語を身近なものに

 横尾教諭は「海外語学研修を経験した生徒たちは、異国の人たちとコミュニケーションすることに多少なりとも自信を付けたのではないでしょうか。2週間足らずの海外研修ですが、今後の人生において、その経験が役立つ場面に必ず遭遇すると思います。生徒たちにはこの研修をきっかけとして英語力に磨きをかけ、卒業後も英語を身近とする人生を送ってほしいですね」と、自らのイギリス留学の経験を踏まえて語った。

「卒業生たちから『あの研修が忘れられなくて、大学に入ってからもう一度イギリスに行ってきました』などという話を聞くのが何よりうれしいです」

(文と写真:松下宗生 一部写真提供:高輪中学校・高等学校)

203525 0 高輪中学高等学校 2017/08/22 05:20:00 2017/08/22 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20170816-OYT8I50086-T.jpg?type=thumbnail

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