語学研修からターム留学へ、進化する国際化教育…城北

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 中高一貫の男子校、城北中学校・高等学校(東京都板橋区)は、グローバル社会でチームリーダーとなる人材を育てようと、中3、高1を対象にオーストラリア語学研修を実施している。昨年は、高1を対象とする北米などへのターム留学も実現。同校国際教育委員会の紫藤潤一委員長や研修に参加した生徒たちに、ますます本格化する同校の国際化教育について聞いた。

大学生とディスカッションする本格的な研修

本格化する国際化教育について話す同校国際教育委員会の紫藤潤一委員長
本格化する国際化教育について話す同校国際教育委員会の紫藤潤一委員長

 「日本企業がアジアやアフリカの新興国に進出し、日本国内で外国人を雇用する企業が増える中、社会において、国際色豊かなチームをまとめる力が求められてきています。しかし、日本の若者にチームリーダーを務めるためのコミュニケーション能力が欠如している状況を、企業や政府が憂慮していると聞きました」。城北中学校・高等学校国際教育委員会の紫藤潤一委員長はそう話す。

 そこで40年以上続いてきた観光主体の海外語学研修を一昨年から一新し、リーダーシップを育てることを主眼に、15日間の「オーストラリア語学研修」を実施することにした。紫藤委員長は「『現地の高校の授業に参加してみる』『大学生とディスカッションをする』といったプログラムを取り入れています。単に英語が話せるようになるのではなく、自分の意識を大きく変える体験をしてほしいと考えています」と狙いを語る。

 中学3年と高校1年の希望者が対象で、昨年は中3が51人、高1が72人参加した。研修中の授業では1クラスの人数を10~15人に絞り、レベル別に英語学習を行う。現地では、ゴールドコーストの一般家庭に2人1組でホームステイする。中3はグリフィス大学、高1はボンド大学と提携して現地の大学生とともに行動する機会をふんだんに設けている。

ホストファミリーとの交流で日本食について話す

中3、高1を対象にした「オーストラリア語学研修」
中3、高1を対象にした「オーストラリア語学研修」

 昨年、研修に参加した生徒たちの声を紹介しよう。

 「初めての海外で、行く前はちょっと緊張していました」という中3の寺澤篤哉(てらさわあつや)君は、オーストラリアの歴史や文化について学ぶ講義や、先住民族アボリジニの生活に触れるアクティビティに興味を持った。「自分から積極的にコミュニケーションを取れば、相手は理解してくれるのだということが分かりました。将来は経済学を学びたいと考えていて、外国の大学に行くのもいいのではないかと思うようになりました」

 イギリスの小説「ハリー・ポッター」シリーズを全巻、英語で読んだという中3の山田理矩(りく)君は、「学んだことを生かすチャンス」と、期待に胸をふくらませて研修に臨んだ。「大学の中にはインド系、中国系などさまざまな国の人がいて、一歩、日本を出ると多様な世界があるのだということに気付きました。皆とても率直に自分の意見を言うので、僕も自分の考えていることをきちんと言葉にして伝えたいと考えるようになりました」

 参加者はホームステイをすることで、日常的に英語を話し、オーストラリアの生活事情にも触れることができた。寺澤君は「週末にホストファミリーが日本食レストランへ連れて行ってくれたのですが、僕がわさびをしょうゆに溶かすのを見て、『へえ、そうやって溶かすんだ』と興味を持ってくれました。それをきっかけに、日本食について英語で話す機会が持てました」と体験を語る。山田君は、ホストブラザーとゲームの話などで盛り上がり、ホストブラザーとその友人たちに、簡単な日本語を教えてあげたりしたそうだ。

 高1の場合は英語でリーダーシップについて学ぶ研修を行うなど、内容がやや高度になる。「親に勧められて行ったのですが、現地では外国人と話をする度胸が付きました」と金井康次(こうじ)君は話す。「大学生とのインタビュー・アクティビティが印象に残っています。オーストラリアの大学では留学生も多く、『Where are you from?(出身はどこですか)』といった簡単な質問でも、皆とても丁寧に答えてくれたのが印象に残っています」

 「日本との違いを目の当たりにすることができた」と話すのは、同じ高1の小島和真(かずま)君。「マイペースでゆったりしていて、バスが10分くらい遅れても、誰も気にしない。キャンパスを案内してもらって大学の制度について聞き、二つの分野を専攻するダブルメジャーという学び方があることを知りました。高校を出たらまずは日本の大学へ行き、それからアメリカの大学院でIT工学を学んで……。目標が具体的になってきたところです」

「イングリッシュ・シャワー」やターム留学

ネイティブの講師と3日間英語だけで過ごす「イングリッシュ・シャワー」
ネイティブの講師と3日間英語だけで過ごす「イングリッシュ・シャワー」

 このオーストラリア語学研修を中心として、城北中学校・高等学校では、国際的なコミュニケーション能力を育てるプログラムを、段階的に設けている。紫藤委員長によると、英語の授業ではALT(外国語指導助手)を含めた6人のネイティブ・スピーカー講師が指導して、中学1年から授業でネイティブの英語に触れるようにしている。高1では授業中にインターネットテレビ電話を使って、海外の先生と英語で会話をする試みも取り入れている。また、中1から高1まで、ネイティブの講師とともに3日間英語だけで過ごす「イングリッシュ・シャワー」も、希望者を対象に実施しているという。

 「イングリッシュ・シャワー」は、1グループ6人までという少人数制で、朝から夕方まで学校内で、英語での「聞く」「話す」を徹底的に行う。昨年は中1、中2の6割近い生徒が参加したそうだ。最終日にはプレゼンテーションやディベートを行うなどして、単なる英会話にとどまらない本格的な英語力を磨く。

ネイティブの講師と気軽に雑談とランチを楽しむ「イングリッシュ・テーブル」
ネイティブの講師と気軽に雑談とランチを楽しむ「イングリッシュ・テーブル」

 また、より気軽に英語に触れる機会を設けるため、ネイティブの講師と英語で雑談をしながらランチを楽しむ「イングリッシュ・テーブル」も実施している。1週間のうち月・水・金の3日間、希望者はネイティブの講師と一緒にテーブルを囲み、弁当を食べながら英語学習や留学について相談することができる。

 さらに、高1対象で3学期に「ターム留学」が可能になった。これは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのいずれかの高校で、現地の生徒たちと一緒に授業に参加するプログラム。このプログラムでは1、2学期のうちに学年の単位を取得するため、日本での進級の心配をすることなく、3か月間、海外で過ごすことができるという。

 「昨年から始まった制度ですが、予想を上回る応募があり、生徒や保護者たちの間で高い関心があることがわかりました。1月の出発に向けて9月から事前研修を行い、英語での授業を理解することができるよう準備を整えます」と紫藤委員長は話す。

 ターム留学をきっかけとして、「これからは海外の大学へ直接、進学する道も広げていきたい」と、学校側では構想を膨らませている。

(文・写真:足立恵子 一部写真提供:城北中学校・高等学校)

 城北中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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301425 0 城北中学校・高等学校 2019/01/24 05:20:00 2019/01/24 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190123-OYT8I50038-T.jpg?type=thumbnail

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