英国の一流人と出会う国内の「サマースクール」…巣鴨

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 巣鴨中学校・高等学校(東京都豊島区)は、2002年からイギリスの名門パブリックスクール「イートン校」でサマースクールを実施するなど、「本物に触れる」英語教育に力を入れている。昨年からはオックスフォード大学、ケンブリッジ大学を卒業した社会人を講師として日本に招き、「巣鴨サマースクール」(Sugamo Summer School=SSS)も開催している。同スクールの狙いと成果を岡田英雅・国際教育部部長に聞いた。

歌手、フェンシング選手らユニークなネイティブの講師

巣鴨サマースクールの成果を語る岡田国際教育部部長
巣鴨サマースクールの成果を語る岡田国際教育部部長

 「日本で英語漬けになるサマースクールを企画するにあたり、ただネイティブの英語教員と一緒に過ごすだけではいけない。生徒が感動して心に火が付く体験をしなければ、本物の英語力は身に付かないと考えました」と岡田部長は話した。自身、業務の傍ら1年間、イギリスに留学し、イートン校など現地の一流校を視察して歩いた経験がある。

 「巣鴨生のためにオリジナルのサマースクール・カリキュラムを作ってくれる人材を求めていたところ、イートン校の卒業生であるオリバー・スティーブンソン、通称・オリー先生と出会いました」

一流の講師たちに声をかけたオリー先生(右)と岡田部長
一流の講師たちに声をかけたオリー先生(右)と岡田部長

 オリー先生はオックスフォード大学在学中、イートン校のサマースクールを管理するディレクターを務めていた。同大卒業後は、コンサルティング会社に勤務。イギリスで人気のアカペラグループ「AfterParty(アフターパーティー)」に所属し、イギリス首相の前で歌うなど、多彩な活動を行っている人物である。

 「オリー先生が声をかけてくれたことで、イギリス政府に勤務し、フェンシングのロンドンユース大会で銀メダルを獲得したこともあるノア先生、パブリックスクール『ウェリントンカレッジ』の歴史科教諭であるケンブリッジ大卒のトリスタン先生など、そうそうたるメンバー6人が、巣鴨に講師として来てくれることになりました」

世界での活躍がリアルに感じられてくる

緑豊かな長野県立科町で実施した巣鴨サマースクール
緑豊かな長野県立科町で実施した巣鴨サマースクール

 こうして、昨年始まった「巣鴨サマースクール」(SSS)は、中学2年から高校1年までの希望者たちを受け入れ、2017年は40人、2018年は50人が参加した。夏休み期間中に、長野県立科町にある巣鴨学園蓼科学校の施設を利用し、5泊6日で授業や課外活動(アクティビティー)を行う。夜は近隣のユースホステルに宿泊する。

 岡田部長がこだわったのは、「単なる英会話の授業にはしない」ことだ。例えば「コミック」をテーマとした授業では、生徒たちが自分の好きなキャラクターを英語で表現する方法を調べ、最終的には英語を使って自分でストーリーが作れるようにする。プロ歌手の講師が指導するのは「音楽」で、参加した生徒全員が、UKポップのジャンルや歴史を学ぶとともに、一緒に英語で1曲歌うことができるまで練習を繰り返す。

 「『面白そう、やってみたい』という気持ちがあれば、生徒は自主的に調べものをして、知っている単語を駆使して何とか話そうとします。何より目の前に素晴らしい経験を積んだ先生たちがいることで、『自分もあんなふうになりたい、いつかなれるのではないか』と、英語を使って世界で活躍することが、リアルに感じられるようになります」

 今年参加した中2の吉田博之君は、「英語の発音がよくなるのでは」という思いで参加したところ、授業のテーマの深さに強い衝撃を受けたという。「トリスタン先生が、戦争を題材として日本とイギリスの類似点・相違点について説明してくれました。政治の事情とは別に、やはり人間の命は一番大事にしなければならないと、考えさせられました」

生徒たちに気さくに話しかけるネイティブの講師
生徒たちに気さくに話しかけるネイティブの講師

 「英語のコミュニケーション力を鍛えることができれば」と参加した高1の村松諒一君は、「元水泳のオリンピック候補選手で、今は建築デザイナーをしている先生がいたんです。『最近、水泳を始めた』と言ったところ、速く泳ぐためのコツをとても気さくに教えてくれました。自分の英語が意外に通じると感じられた一方、言いたいことがうまく表現しきれず、もっと単語力を付けなければいけない、と感じました」と振り返る。

 「外交官の仕事をしている講師に、『君は外交官に向いている』と励まされ、サマースクールの後に熱心に勉強を始め、急激に成績を伸ばした生徒もいます。それまで、ただなんとなく学校生活を送ってきた生徒たちも、本気で取り組めば大きなチャンスをつかむ可能性があるのです」と岡田部長は指摘する。

生徒の留学をきっかけに、英名門校と新たな提携

 巣鴨サマースクール、イートン校でのサマースクール以外にも、希望者を対象に、高1の3学期をイギリス、カナダ、またはオーストラリアの学校で過ごす「ターム留学」を実施している。さらに、今年はイギリスの名門校「クライストカレッジ・ブレコン」と「Friendship Agreement(フレンドシップ・アグリーメント)」を結び、巣鴨高から同校への長期留学が可能になった。

 岡田部長によると、きっかけは金田隼人君という生徒の留学だったという。「彼はイートン校のサマースクールに参加し、そこでSSSにも来てくれているトリスタン先生の授業や人柄に感銘を受け、高校2年からクライストカレッジで学ぶことを決意しました。数学ではトップになるなど優秀な成績を収め、3年次も引き続きクライストカレッジに滞在し、卒業時にはオックスフォード大に合格するという快挙を成し遂げたのです」

 日本からイギリスの大学に留学する場合、通常、「ファウンデーションコース」という約1年の基礎コースの履修が必要になる。イギリスの大学で学ぶのに必要とされる学問的知識や英語力を事前に身に付けるのだ。しかし、巣鴨中高のフレンドシップ・アグリーメント提携システムを利用してクライストカレッジに進んだ生徒は、ファウンデーションコースを省略して大学で学び始めることができる。

 「金田君は、今年のSSSにトリスタン先生のサポート役として参加し、秋から進学するオックスフォード大学の情報を生徒たちに語ってくれました。金田君やSSSの先生たちを見て、グローバルに活躍する道が自分にも開けているのだと、気付いてもらえればと思います」

(文・写真:足立恵子 写真提供:巣鴨中学校・高等学校)

 巣鴨中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

54553 0 巣鴨中学校・高等学校 2018/12/21 05:20:00 2018/12/21 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181211-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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