地元食堂にメニュー提案、夏季講座でビジネスを学ぶ…共立女子

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 共立女子中学高等学校(東京都千代田区)は夏休みの3日間、ビジネスを現場で学ぶ特別教養講座「未来食堂へ行こう!」を実施した。近隣にある「未来食堂」に向けてランチメニューを考案、プレゼンテーションし、実際に店でそのメニューを出してもらうという試みだ。講座最終日の7月27日、チラシを作成して「未来食堂」でプレゼンテーションした生徒たちの姿を紹介する。

働く人のニーズや季節感を考慮した献立作り

「未来食堂」でオーナーの小林さん(奥)を前にプレゼンテーションする
「未来食堂」でオーナーの小林さん(奥)を前にプレゼンテーションする

 「『未来食堂さん、ありがとう』じゃダメなんですよ。お客さまに配るチラシには、お客さまへ向けたメッセージを入れないと」

 東京・神田神保町にある「未来食堂」で、オーナーの小林せかいさんから、生徒たちが持ってきた手作りチラシに、厳しい注文の声が飛ぶ。生徒たちはこの日、特別教養講座「未来食堂へ行こう!」の一環で、自分たちが考案した「共立ランチ」のメニューを紹介するプレゼンテーションに訪れた。

 「学校では、なかなか実際の社会の厳しさを目にする機会がありません。今回の夏季講座では、小林さんの仕事に対する真摯(しんし)な姿勢を、生徒たちが(じか)に体験することができています」と、講座を担当する国語科の金井圭太郎先生はうれしそうに話す。

 今回の講座に参加したのは、中学生10人と高校生11人の計21人。生徒たちは7月25~27日の3日間、小林さんと相談しながら「未来食堂」のメニューを提案、実現する。メニューをPRするチラシを作成してプレゼンテーションを行ったり、店の手伝いをしたりするのもプログラムの一部。この日も生徒たちは店を訪れるとまず、店内のゴミの片づけやテーブルセッティングを行った。

講座の狙いを話す金井先生
講座の狙いを話す金井先生

 「食堂に来るのは主に社会人。働く人のニーズや季節感を考慮しながら献立を作ることを学んでいます。複数のメニューを作成するに当たり食材の種類をそろえるなど、企画の視点も取り入れました。チラシを作ることで、文章表現の練習にもなります」と金井先生は講座の効果を語る。

 この講座は、「プレゼンしたことが形になる経験をしてほしい」「地元で活躍する女性経営者から学んでほしい」といった金井先生と理科の桑子研先生、家庭科の田村めぐみ先生の思いから始まった。協力者を探すうち、金井先生らの目に留まったのが「未来食堂」だった。

 同校から徒歩2分のところにある地元の名物食堂で、「メニューは日替わりで一日1種類」というユニークなシステムを採用していることで知られる。基本的にオーナーの小林さんが一人で調理、接客、配膳をこなしているが、50分手伝いをすると1食ただで食べさせる「まかない」という仕組みで、一般の人に協力を得ている。

 テレビ、新聞、雑誌などで度々取り上げられる独特のビジネス手法を知り、金井先生らは店を直接訪れて小林さんに依頼し、講座への協力を取り付けたという。

 協力を快諾した小林さんは、「生徒さんたちにとっていい経験になると思います。今回、デザートにフルーツポンチを出すといった中高生ならではの提案がありました。メニューに幅が出るのでお客さまにとっても利点があると感じました」と、厨房で片時も手を休めることなく話した。

「効率重視の経営中にも気配り、思いやりがある」

考案したメニューを紹介する生徒たちのチラシ
考案したメニューを紹介する生徒たちのチラシ

 講座の初日はメニュー作り。生徒たちは各班5、6人の4チームに分かれ、栄養バランスに注意しながら、それぞれメインと副菜からなるメニュー作りに取り組んだ。各自が持ち寄ったメニューをたたき台として検討し、「夏野菜とチキンのハーブグリル&とうもろこしごはん」「ラタトゥイユソースで食べる豚しゃぶサラダ」「牛肉とピーマンのピリ辛青椒肉絲(チンジャオロースー)&中華風具沢山(ぐだくさん)サラダ」「刻み焼きアジと大葉の混ぜご飯&レモンのフルーツポンチ」という四つのメニューが完成した。さらにそれを小林さんのところに持っていってアドバイスを受けた。2日目は、アドバイスを基にメニューを改善し、紹介チラシを作ってこれにも小林さんの意見を取り入れた。

 「最初に自分たちだけで考えたメニューを小林さんのところに持っていった時に、『サラダとスープの両方を冷たいものにせず、スープを温かいものにしては』など、いろいろとアドバイスを受けました。おかげでバランスのよいメニューになったと思います」「効率重視の経営ということでしたが、小林さんはいつも『お客さまにとっては、こうしたほうがいい』と話していて、お客さまへの気配りと思いやりが素晴らしいと感じました」と、参加した生徒たちは話した。

実際に提供された「夏野菜とチキンのハーブグリル&とうもろこしごはん」
実際に提供された「夏野菜とチキンのハーブグリル&とうもろこしごはん」

 8月上旬、生徒たちの考案した四つのメニューが、実際に「未来食堂」で提供された。有志の生徒が店先でチラシ配布を行い、多くの来店客が「共立ランチ」を味わった。食堂に置かれた来店客ノートには、「女子中高生のメニュー、斬新です」「夏らしいメニューで、暑い日でもおいしく食べられました」といったうれしい感想も寄せられていた。

 同校の夏季講座は、中学と高校が別になっていたが、今回は中高混成とすることで、初めて会った生徒同士が互いに助け合ってプロジェクトを進める方法を学んだ。教える側としても国語科、理科、家庭科の教師が連携する新しい試みになったという。

 「基本的に好奇心旺盛な生徒が集まってきましたが、これをきっかけに、起業や経営を志す子が出てくるかもしれません。小林さんから学んだことは大きいと思います」と、桑子先生は話す。

 このほかにも同校が毎年開催する夏季講座は数多く、全体では中学生が延べ1000人、高校生が延べ1400人も参加する。補習や受験対策といった内容のものが多いが、今回のようなフィールドワークの要素を持つ講座や「浴衣の着付けと着物のマナー」といった教養講座もあって幅広い。金井先生らは、今後も生徒の可能性を引き出す新しい企画を作っていきたいと意気込みを見せていた。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:共立女子中学高等学校)

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882004 0 共立女子中学高等学校 2019/11/07 05:22:00 2019/11/07 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191105-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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