小学生が挑戦、プログラミングでロボットを動かせ…東京電機大中

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 東京電機大学中学校・高等学校(東京都小金井市)は7月14日、オープンスクールを開催した。小学5、6年生向けには、中学で学ぶ教科に合わせて12講座が用意され、どの教室も満員の盛況ぶりだった。中でも人気を集めた「情報」の講座「スマホとプログラミング」の様子をリポートする。

パズルのようにプログラムを組み立てる

ユーモラスに正解、不正解を教えてくれる小型ロボット
ユーモラスに正解、不正解を教えてくれる小型ロボット

 この日、「スマホとプログラミング」講座には小学6年生16人が参加した。壁際の席に座った保護者が見守る中、今年6月、教材として発売されたばかりのプログラミング教育向けロボット「こくり」を使って、プログラミング体験がスタートした。

 テーブルには、1人1台のパソコンと、2人に1台の高さ30センチほどの小型ロボット「こくり」が用意されている。「こくり」はUSBケーブルでパソコンとつながっていて、子供たちがパソコンで作成したプログラム通りにクイズを表示したり、正解、不正解を音声や動きで教えてくれたりする。

 子供たちはまず、隣同士座っている子とニックネームで呼び合えるように自己紹介。それが済むと「何はともあれ、まずは体験してみよう」と先生の声がかかり、ロボットを動かすためのプログラミングに挑戦した。

ロボットの様子をパソコン画面に映しながら講座を進める
ロボットの様子をパソコン画面に映しながら講座を進める

 それぞれのコンピューター画面には「こくり」用のプログラミング画面が表示されている。画面には行動やメッセージの表示、質問の表示などの命令用ブロックが用意されており、子供たちはマウスを使ってそのブロックをドラッグ&ドロップし、パズルのように組み立てていく。しゃべる機能もあるので、ロボットに話させたい言葉をキーボードで入力することもできる。

 この日は、用意された二者択一のクイズに対して、ロボットが動作や言葉で正解を教えるプログラムを作った。このプログラムでは、ロボット前面のタブレットに二つの選択肢のボタンが表示され、ボタンを押して答え、正解ならロボットの右手が上がり、間違えるとロボットは右を向く。また、正誤のメッセージが表示されたり、しゃべりかけたりという反応を示す。

「この中学に入って今日の続きがしたい」

 子供たちはロボットを挟んで、隣同士仲良く教え合ったり、確かめ合ったりしながら、プログラミングしていく。4人の先生が指導役として教室を回り、操作に戸惑っている子供にはアドバイスしていたが、開始から30分もするとクイズのプログラミングが完成し、実際にロボットを動かす段になった。

 こんなクイズがあった。「東京電機大と縁のあるキャラクターはどちらでしょうか?」

 仮面ライダーなら左ボタン、ウルトラマンなら右ボタンを押す。迷った揚げ句、右ボタンを押した子のロボットの右手が上がった。正解だ。ウルトラマンを作った特撮映画監督・円谷英二が同大の出身だ。プログラミングの初歩を体験させながら、学校についても知ってもらえる一石二鳥の質問だ。

命令用のブロックを組み合わせてプログラミングする小学生
命令用のブロックを組み合わせてプログラミングする小学生

 ロボットは答えを表示した後、話しかけてくることもある。正解だと「君のIQは世界一だ」とか、はずれだと「ジャイアンに言いつけるぞ」とか、ユーモラスな話しぶりに子供たちは大はしゃぎ。

 「夏に採れるベジタブルは?」「屋島の戦いで義経が取った行動は?」「東小金井駅にJR中央特快は止まるか?」「百人一首の最初の歌は誰の作?」などなど。ロボットがユーモラスな反応を見せながら、次々と繰り出すクイズを子供たちは夢中で楽しんでいた。

 講座が終わってから子供たちの感想を聞くと、「家ではできないことなので、中学に入ってこの学校で続きができるのが楽しみ」「隣の子よりも正解が多かったのがうれしかった」など明るい表情で話した。また、保護者も「心配しながら見つめていましたが、その必要はなかったですね」と満足げだった。

 講座を指導した中学校情報担当の山住直政教諭は「子供に操作を任せることが大切です。どんどんやらせる、ということです。当てずっぽうでボタンを押しても、なんとかなります。このボタンは違うな、と分かるのも成果の一つです」と語る。「体験の中で自然と論理的思考が身に付きます。プログラムを通して、コンピューターが人間の意図通りに動くことに気付いてくれたら、プログラミング教育は成功と言えるでしょう」

プログラミングは「できないといけない技術」に

プログラミングの仕組みを説明する山住教諭
プログラミングの仕組みを説明する山住教諭

 山住教諭は、小さい頃からのプログラミング教育の重要性を強調する。「以前は少し変わった人がやることとか、特殊能力とか思われていましたが、今は『できないといけない技術』です。昔はワードとかエクセルの作業を外注しましたが、今は誰でも自分でやります。それと同じことで、もう少ししたら、生活するためのツールになっていますよ」

 山住教諭によると、今の社会の技術水準を維持するために必要なコンピューター技術者は、日本の人口が急減していく中で減っていき、一般人が自分たちでコンピューター技術にタッチしなければならなくなるそうだ。

 「実際、大人向けのプログラミング教室はこの10年で定着しました。これからの対象は子供たちです。10年後にはプログラミングができて当たり前という時代になります。『読み・書き・そろばん』と同じと思っていいでしょう。生徒たちには、『ご飯を食べていく上で絶対必要』と言い聞かせています。親御さんも『プログラミングくらいやっていないとまずい』と思っているようで、強い後押しがあります」

 公立中学ではプログラミング教育を技術家庭の時間に扱うが、同校では総合学習の時間を当てて重要視しているという。中2から始めて高2まで、週2時間の授業が組まれていて、VBA(Visual Basic for Applications)や、C言語によるプログラミングまで習得できる。

 プログラミング教育には将来、必須になる知識という以上のメリットがあるという。コンピューターソフトの開発などは共同作業になるので、自然とコミュニケーション能力が上がるからだそうだ。

 「『こうしたらどうか』という他人の話をしっかり聞けなければ、プログラミングは先に進めません。ちゃんと聞いてもらうためには、思ったこと、考えたことを発言する訓練をしなくてはいけません。コミュニケーションが何より大切なのです」

 文部科学省が発表した次期学習指導要領改訂案では、2020年度以降から、小中学校でのプログラミング教育が必修化される。これに先んじて同校は1996年の中学開設以来、プログラミング教育を続けている。時代の先を読んだ取り組みと言えるだろう。

 (文・写真:水無瀬尚)

 東京電機大中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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824218 0 東京電機大学中学校・高等学校 2019/10/07 05:21:00 2019/10/07 10:09:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191002-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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