国際平和フォーラムに参加、世界の今に目を開く…多摩大目黒

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 多摩大学目黒中学校・高等学校(東京都目黒区)は、多摩大学と連携し、「校外アクティブラーニング活動」に取り組んでいる。高校生3人が2019年5月に韓国の済州(チェジュ)島で開催された「済州平和フォーラム2019」に参加したのもその一環だ。同校を訪れ、引率の教師と生徒たちにフォーラム参加の成果を聞いた。

各国の元首相らが集まる国際会議に参加

済州島で開催された「済州平和フォーラム」
済州島で開催された「済州平和フォーラム」

 「済州平和フォーラム」は、各国の元首相や大学教授らがアジアの平和と繁栄について話し合う国際会議で、韓国・済州島で毎年開催されている。2019年は5月29日から31日の3日間、済州国際会議場で行われ、日本の鳩山由紀夫元首相、ヘレン・クラーク元ニュージーランド首相、ハインツ・フィッシャー元オーストリア大統領らが講演や討論会を行った。

 このフォーラムには、日本からも講演・討論会を聴講したり、交流会に参加したりするために中高大学生や社会人らが多数訪れる。多摩大学も「アジアダイナミズム研修」として例年、学生を参加させており、高大連携の取り組みとして多摩大目黒からも今年は高校生3人が参加した。

 「この活動は2017年に始まった高大接続の校外アクティブラーニング活動の一環です。アジアのトップリーダーの話を直に聞き、日韓関係を含む国際問題について自分の考えを持つための、貴重な機会です」と引率した新教育研究部の谷川貴信先生は話す。「韓国という国を実際に自分の足で歩くことで、生徒たちは大きな刺激を受けたようです。現地の大学生との交流会にも、堂々と参加していました」

フォーラムでの学びをさらに深め、大学で発表する

 フォーラムへの参加を希望した3人は、まず日韓関係について解説したテレビ番組を見たり、多摩大学教授にレクチャーを受けたりして事前学習を行った。さらに、韓国入りした昨年5月28日にソウルで延世(ヨンセ)大学名誉教授から日韓関係についての講義を受けた。翌29日から3日間の「済州平和フォーラム」に参加し、最終日は済州漢拏(ハンラ)大学学生との交流会を楽しみ、6月1日帰国した。

 今回参加した大賀尚輝(おおがなおき)君(高1)は、中2の時に同校のイギリス語学研修を体験するなどして海外への興味を深め、「海外で行われる国際フォーラムをぜひ体験してみたい」と、参加を決めたという。「ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が行った、米中の経済摩擦についての講演が面白かったですね。日本のニュースなどで見るより深刻な状態になっていることが分かりました」

生徒たちは済州漢拏大学の学生と交流を深めた
生徒たちは済州漢拏大学の学生と交流を深めた

 山松桜上(やままつおうしゃん)君(高1)も、外国人とディスカッションを行うボランティア団体のキャンプなどに参加した経験から、国際問題に関心を持っていた。「日本以外の国の人の考え方を知る機会がもっと欲しいと、常に思っていました。韓国では高層ビルが並ぶ発展したエリアと、昔ながらの農村の部分との両方を見て、事前に調べた以上のことを自分の目で確認することができたように思いました」

 2人が特に興味を持ったのは、フォーラムでアリソン教授が紹介した「トゥキディデスの罠」だ。古代ギリシャのアテネとスパルタの戦争の原因について記述した歴史家トゥキディデスにちなんでアリソン教授が作った言葉で、現在の米中関係のように、覇権国家と新興国家が陥りがちな緊張関係を表現している。

 フォーラムで学んだことを報告するため、大賀君と山松君は、昨年12月14日に多摩大学で開かれた「アクティブ・ラーニング発表祭」で、「済州平和フォーラム『米中のトゥキディデスの罠』より」というタイトルで発表を行った。

 新聞記事などを参考に主要国のGDP(国内総生産)や日本の相手国別の輸入割合を調べたグラフを用意し、「米中双方が貿易に高い関税を掛け合うことで、関税の安定している国を介して中国の物がアメリカに入る、アメリカの物が中国に入るなど、貿易の形が変化する可能性がある」「米中双方の市場価値が下がる一方で、他国の価値が上がるかもしれず、日本は輸入先の大幅な変更に迫られ、貿易が一時的に不安定になるかもしれない」といった考察を行った。

 大賀君は「米中関係については自分たちでかなり調べました。このフォーラムがなければ、ここまで調べることはなかっただろうと思います」とし、山松君は「自分たちで調査したおかげで、米中の関係について、筋道立てて話ができるようになりました」と話す。

 2人は学校で、タブレットPCを使って調査を行い、プレゼンテーション資料を作成して発表するという活動をしばしば経験しており、今回の発表にも難なく取り組むことができたそうだ。

自分から調べる姿勢の大切さを学ぶ

ソウルの街を歩く生徒たち
ソウルの街を歩く生徒たち

 大賀君は歴史や国際関係に興味があり、中学修了時には「戦後の日本」というテーマで卒業論文を書いたほどだ。将来の目標は、グローバル企業で働くことだという。そのために今は英語の勉強に力を入れており、夏休みのアメリカ短期留学にも参加したい考えだ。

 山松君は理数系が得意で、多摩大の教員に指導を受けながら、プログラミングしてパソコンゲームを作り、「アクティブ・ラーニング発表祭」で公開したこともある。将来の希望はシステム・エンジニアになることだ。また、「ボランティア団体のキャンプに参加していたおかげで、英語の日常会話には困らないようになりました。日本にいるだけでは分からないことを、世界の人に広めたいという気持ちもあります」とも話す。

 「フォーラムに参加したことで生徒たちの視野は大きく広がりました。フォーラムで聞いた話を家庭に持ち帰って話し合ったり、国際問題に関するニュースに関心を持つようになったりしています。また、与えられたものを見たり読んだりするだけでなく、自分から調べることが大切だという姿勢も学んだと思います」と谷川先生は話す。今後の「校外アクティブラーニング活動」についても「本校には、教室の授業以外にも学ぶことができる多様な環境が整っています。生徒たちには、既存の枠組みを超えた、幅広い視点を持ってもらいたいと思っています」と抱負を語った。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:多摩大学目黒中学校・高等学校)

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1011361 0 多摩大学目黒中学校・高等学校 2020/01/22 05:22:00 2020/01/22 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200121-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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