【特集】生徒として学び、教師として伝える母校の教え…駒沢女子

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 私立中高には、母校で教鞭(きょうべん)を執る教員も多い。駒沢学園女子中学校(東京都稲城市)の宇佐美りか教諭と早川日加里教諭も、先輩として生徒の指導にあたっている若い先生たちだ。2人が母校に帰ってきたのは、「駒女で学んだことを今度は自分が伝えたい」という思いがあったからだという。曹洞宗の教えを生かした同校の学校生活の中で2人が何を学び、どのように役立て、今、どのような取り組みをしているのかを聞いた。

一人一人の個性を認め、尊重する校風

「駒女は生徒一人一人の個性を認め、とても大切にしている」と話す宇佐美教諭
「駒女は生徒一人一人の個性を認め、とても大切にしている」と話す宇佐美教諭

 国語科の宇佐美りか教諭は、もともと別の中高一貫の女子校に通っていたが、勉強優先の校風にどうしてもなじめず、母の勧めで高2の時に同校に転入した。2011年に卒業後、日本大学文理学部国文学科に進学。教員生活5年目となる今年度、母校に赴任し、現在は中1の担任を務めている。

 転入時に感じた思いについて「最初は、坐禅(ざぜん)や『お唱え』など、仏教校ならではの宗教行事に少しとまどいがありました」と宇佐美教諭は笑顔で率直に打ち明けた。「でも、転入生である自分を、同級生たちはすぐに受け入れてくれました。先生もさりげなく気遣ってくださり、とにかく毎日が楽しかったですね。駒女では一人一人の個性を認め、とても大切にしてくれている印象を受けました」

 同校に来て、勉強への意識もかなり変わったという。「前の学校では『できない子』というレッテルを貼られていて、勉強に自信がなかったんです。駒女ではスモールステップを意識した授業を行っていて、一つ一つ達成するごとに褒めてくれるので、『あれ、私って、もしかしてできるんじゃ』と少しずつ自信が付きました。それが学習意欲につながったと思います」

 宇佐美教諭は、「駒女では、自分が決めたこと、やるべきことを頑張れば、必ずその努力を評価してくれました。勉強が苦手で学校は苦痛な場所だと思っていた私が、駒女に来て初めて『勉強が楽しい』と思えたことは大きかったと思います。おかげで、自分の目標を見つめ直し、それに向かってまずはやってみようという行動力と自信が身に付きました」と話す。

先生との出会いから英語教師の人生へ

自分の人生に影響を与えた2人の先生との出会いを話す早川教諭
自分の人生に影響を与えた2人の先生との出会いを話す早川教諭

 英語科の早川日加里教諭は、中高6年間、硬式野球部に所属した。いわゆる「体育会系の生徒」だったという。2016年に同校を卒業後、駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部に進学し、英語力を磨くとともにITやメディアなどについても学んだ。教員1年目となる今年度、同校に赴任し、硬式野球部の顧問も務めている。

 早川教諭は在学中、自分の人生に影響を与えた2人の先生との出会いがあったという。一人は英語の先生だ。早川教諭は部活メインの学校生活を送っていたこともあり、中学時代は、むしろ英語が苦手で、テストの点数も学習へのモチベーションもなかなか上がらなかったという。しかし、高校に進んでから「英語を基礎から学び直そう」と一念発起するきっかけがあった。

 「苦手と思い込んでいた英語を、楽しいと思わせてくれた先生と出会ったことですね。文法や単語を覚えるだけの授業ではなく、英語の歴史や単語が生まれた背景など、教科書にはない豆知識を教えてもらったことで、英語の勉強が好きになり、自分の強みになっていきました」

 もう一人は硬式野球部の顧問の先生だ。「『周りから愛される人になりなさい』という先生の言葉が心に残っています」と早川教諭は話す。「野球のことだけでなく、あいさつをする、小さなゴミでも拾う、目配り・気配りをする、自分も他人も大切にするなど、人として大切なことを教えていただきました。また仏教の授業などを通して、命の大切さや思いやりの心の大切さも学びました。これらのことは全て、今の自分につながっていると思います」

自分を見つめ、学びを生活の中で実践する

坐禅や「お唱え」など、仏教校ならではの行事もある
坐禅や「お唱え」など、仏教校ならではの行事もある

 同校の教育理念は、坐禅で自分を見つめ直す「正念(しょうねん)」と、生活と学びを一致させる「行学一如(ぎょうがくいちにょ)」を日々実践しながら、他者への思いやりの心や、他人と共生する力、目標に向かって信念を貫く力を高めることにあるという。

 この教育理念をかみ砕いて土屋登美恵校長は、「あいさつをする、身の回りをきちんと整える、他人を思いやり協働する。こうした日常のことすべてが、即学びであるという考え方が駒女の教育の基本です」と力説する。

 転入生だった宇佐美教諭を受容し、一つ一つの努力と達成を評価した周囲の思いやりの心、早川教諭に英語教師という将来の目標を与えた先生との出会い、いずれも仏教精神の浸透した同校の校風の表れと言えるだろう。

 母校で教鞭を執るうえで2人は「駒女で学んだことを、今度は自分が伝えたい」と口をそろえる。土屋校長は、「教師になった彼女たちと再会した時に、本校での教えをしっかり体現できていると直感しました。これからは、それを生徒たちに伝えていける人材だと期待しています」と顔をほころばせる。

 宇佐美教諭の指導ぶりについて土屋校長は、「生徒に本当に愛情深く接してくれていて、どんな生徒にも光が当たるような学級運営をしてくれていると感じています」と評価する。早川教諭については、「英語の教員を目指していると聞いて最初は正直驚きましたが、教育実習の姿を見て、本気ぶりが分かりました。これからの教育の現場で新しいことをどんどんやってもらいたいと思っています」と期待を語る。

(左から)宇佐美りか教諭、土屋登美恵校長、早川日加里教諭
(左から)宇佐美りか教諭、土屋登美恵校長、早川日加里教諭

 宇佐美教諭は、「学校生活の中で、学ぶこと、いろんなことに挑戦できること、友達と出会えること、すべてが幸せだと思えるようになってほしい。駒女の教育理念である、学んできたことを生活の中で実践すること、常に自分を見つめ直すことは、教師としての姿勢の根幹になっていると思います」と話す。

 早川教諭も、「私が体験した、学ぶ楽しさや、分からなかったことが分かるようになった時のうれしさを、今度は自分が生徒に伝えていきたいですね。自分で決めたことや目標に向かっていく生徒を、先生が全力でサポートするのが駒女の良さ。まずは自分が実践することで、一人一人に真摯(しんし)に向き合い、良さを伸ばしてやれる教員になれるよう努力していきたいです」と語った。

 自分を見つめ、在学中に学んだ教えを教師として実践に生かしていく。2人の先生は確かに同校の教えを体現しているようだ。

 (文・写真:石井りえ 一部写真提供:駒沢学園女子中学校・高等学校)

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1543202 0 駒沢学園女子中学校 2020/10/14 05:01:00 2020/10/26 11:18:54 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201012-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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