3年間で100冊を目指す読書推進プロジェクト…共立第二

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 共立女子第二中学校高等学校(東京都八王子市)は、中学・高校の各3年間で、100冊の本を読む読書推進プロジェクト「3-100計画」を実施している。語彙(ごい)を増やし、表現力や共感力を培うのが狙いで、「100冊の推薦本」「教員のおすすめ本」などを紹介して生徒の興味、関心を広げている。このプロジェクトに取り組む教員、生徒の声を紹介する。

読書を通して表現力や共感力を育てる

「3-100計画」の目的を話す戸口義也教諭
「3-100計画」の目的を話す戸口義也教諭

 「3-100計画」がスタートしたのは約10年前。家庭で最低2時間は、テレビやSNS、ゲームなどに触れない時間を作ってほしいとの思いからだった。入試広報部主任の戸口義也教諭は、「このプロジェクトを始めた10年ほど前から、ICT(情報通信技術)の普及が加速していますが、ICT化が促進される時代だからこそ、まずしっかりと『文字を読む・書く』というリテラシーの力が、これまで以上に重要になると考えています」と話す。「言葉はコミュニケーションの基本であり、教養の核になるもの。読書は語彙を増やすだけでなく、表現力や想像力、共感力を培います。生徒には読書を通して、豊かな言葉と感性を身に付けてほしいですね」

 「3-100計画」では、週に3回、授業開始前10分間の「朝読書」の時間を設けている。また、通学中のバスや電車内での読書も推奨していて、学校指定のスクールバッグには、文庫本用のポケットが取り付けられている。

 同校には約6万冊の蔵書を誇る図書館があるが、生徒が気軽に本を手に取り、ちょっとしたすきま時間に読書ができるように、同校の本館で、中学1年生から高校2年生までが入る1号館の各階オープンスペースに本棚を設置し、各教室にも本を置いている。

「中学生・高校生に読んでほしいこの一冊」と「読書ノート」
「中学生・高校生に読んでほしいこの一冊」と「読書ノート」

 生徒がさまざまな本に興味を持つような工夫も行われている。読んだ本のあらすじや感想は、専用の「読書ノート」に記録することになっているが、このノートには7人の教員で作る「読書推進委員会」が選んだ、中高それぞれの「推薦本」が100冊掲載されている。また、年に1回、全教員がおすすめの本を推薦文とともに紹介する冊子「中学生・高校生に読んでほしいこの一冊」を配布している。推薦する本が重なることもあるが、推薦文からその本への着眼点の違いが読み取れるため、多角的に内容を知ることができる。さらに、教員が交代で読書経験を語るリレーエッセーも配布している。単なる読書紹介ではなく、読書にまつわる体験がまとめられていて、生徒にとっても興味深い内容となっているようだ。

 図書館には、こうした「推薦本」や「教員のおすすめ本」を集めたコーナーが設置してあり、興味を持った生徒がすぐ手に取れるようにしてある。図書館には、新着図書や話題本、図書委員のおすすめ本のコーナーのほか、「部活」をテーマにした作品など、折々に異なるテーマで特集コーナーが作られ、生徒の読書活動をサポートしている。

朝の読書で授業の集中力も高まる

図書館の推薦本コーナーについて語る野田尚志教諭
図書館の推薦本コーナーについて語る野田尚志教諭

 読書推進委員会の委員長で、国語科担当の野田尚志教諭によると、「3-100計画」によって生徒の読書量は増えており、1年間で100冊を読破した生徒もいるという。「早く100冊を達成すればいい、多くの本を読めばいいというわけではなく、生徒が各々のペースで本を読んでいくことを大切にしたい。教員として、生徒にぜひ読んでほしい本もありますが、強制はしません。生徒が読みたい本を自由に選び、自主的に本を読むよう促すことを心がけています」と語る。

 また、このプロジェクトから思わぬ教育効果も得られている。「『3-100計画』によって、生徒は読書の楽しさを知り、読解力を養うだけでなく、授業と休み時間の切り替えができるようになりました。朝読書の10分間、しっかりと読書に集中してから授業に臨む。こうした習慣を身に付けることで、授業の集中力も高まっています」

 「3-100計画」に取り組んでいる生徒たちはどう感じているのか。三島凛花さん(高3)は、「読書ノート」を書くことで視覚的に自身の読書傾向が分かり、選ぶ本のジャンルが増えたという。「自分が好きな小説だけでなく、大学の志望学部である哲学の本なども読むようになりました。読書は、これからの人生で何を大切にし、どう生きていくかを考えさせてくれる経験だと感じました。先生のおすすめ本の『王妃マリー・アントワネット』を読んだ時は、授業で習った単なる人名ではなく、一人の人間の物語を知ることができて感動し、歴史の理解も深まりました」

 大野るりかさん(高3)も「必読本や先生のおすすめ本を読むことで、自身の興味・関心の幅が広がり、視野も広がった」と話す。「私は物語を読むことが多く、エッセーなどはあまり読まないのですが、任天堂の元社長・岩田(さとる)さんのインタビューなどをまとめた『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』を読み、どのように任天堂を経営し、どうしたら人々にゲームを楽しんでもらえるかを考えるなど、岩田さんの思想を知ることができて、とても興味深かったです」

書写や新聞スクラップで、さらなる言葉の学び

漢文「漁夫辞」を書写した作品
漢文「漁夫辞」を書写した作品

 導入から10年が過ぎ、「3-100計画」は、さらなる展開を目指している。まず、2020年度には、「読書ノート」の「推薦本」を改訂する。引き続き読んでもらいたい本を残しつつ、新たな本を加えていくという。

 現在、高校1年生の探究の授業では、生徒が自身のおすすめ本をプレゼンテーションする「ビブリオバトル」を行っている。「この活動を他学年にも広げていきたい」と野田教諭は考えている。「ビブリオバトルでは、『自分が感じた本の面白さをどう伝えるか』という発信力が養われます。また、生徒が紹介する本は、他の生徒も興味を持つので、他学年にもビブリオバトルを経験してほしいですね」

 同校は、「3-100計画」以外にも、文字や言葉に注目した学びを展開している。中学2年生では、漢文の「漁夫辞」を書写する。これは開校時から続く伝統的な取り組みで、211字を半切紙に書き、掛け軸にする。1文字でも間違えると書き直しとなるため、生徒は真剣に文字と向き合う。その結果、少しずつ子供の字から大人の字へと変わっていき、集中力も養われるという。

 社会科の授業では「新聞スクラップ」を行っている。興味を持った新聞記事を要約し、自分の意見をまとめ、注目されるレイアウトを工夫することで、資料を読み解く力や表現する力を身に付ける。英語科では多読を推奨している。校内にある異文化に親しむ施設「グローバルランゲージスクエア」には洋書を約2500冊備え、生徒はいつでも英文に触れることができる。また、中学1~3年の全生徒が毎年、英文を暗唱するレシテーションコンテストを行って、楽しみながら英語力を伸ばしているという。

 さまざまな方面から言葉に親しみ、伸びやかな感性を培ってほしい。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート)

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956568 0 共立女子第二中学校高等学校 2019/12/19 05:21:00 2019/12/19 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191217-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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