【特集】自ら「考える力」を育てる中高一貫プログラム…京華女子

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 京華女子中学・高等学校(東京都文京区)は、中高一貫クラスの授業にアクティブラーニングを取り入れ、少人数制の丁寧な指導で生徒の「自ら考え、学ぶ」姿勢を養っている。中1からこうした学習姿勢を身に付けることで、高校の授業への接続がスムーズになり、大学入試の小論文の執筆や面接の準備にもなるという。中学の教室を訪れ、生徒たちの学習ぶりを見てきた。

「竹取物語」を読んだ感想が次々飛び出す

「考える力を身に付ける授業について話す国語科の白川先生
「考える力を身に付ける授業について話す国語科の白川先生

 「本校では6年ほど前に有志の教員が集まって、アクティブラーニングや高校の探究授業について勉強会を始めました。現在は正式に『次世代教育推進委員会』が立ち上がり、当時のメンバーも多くが委員として参加し、授業の中にアクティブラーニングをどのように取り入れていくかといったことを話し合っています。中高一貫のメリットを生かし、中学生のうちにグループワークや調べ学習といったアクティブラーニングを取り入れ、『S特進クラス』『進学クラス』に分かれる高2までに、自分で調べて考え、発表するという、自ら学ぶ姿勢を養います」と、次世代教育推進委員会委員で数学科の(かん)英之先生は話す。

 同校では中学での入学者が1学年50人程度、高校が150人程度であり、中学では1クラス二十数人の少人数制とし、一人一人に目が行き届く丁寧な指導を行っている。

 10月17日、中学の3クラスの授業を取材した。1年1組の教室では、国語科の白川知佳先生の立ち会いの下、卒業生で教育実習中の木下千里さん(跡見学園女子大学4年)が、教科書に収録された『竹取物語 蓬莱(ほうらい)の玉の枝』を基に、古文読解の授業を行っていた。「古文の文法を理解することももちろん大切ですが、誰が、何を、どのように感じているかを読み取り、国語学習に必要な『考える力』を身に付ける授業にしたいと、実習生と打ち合わせをしました」と、白川先生は話す。

 教科書では、かぐや姫から難題を出された求婚者「くらもちの皇子」が、蓬莱山(ほうらいさん)で玉の枝を取ってくることに成功したという、偽りを語る。生徒たちは1組4、5人のグループに分かれ、この「くらもちの皇子」の心情を語り合った。「蓬莱山で玉の枝を見つけたらかぐや姫と結婚できると思って、うれしかったんじゃないの」「でも、これってウソの話なんだよね」と、生徒たちの口からは、次々とストレートな感想が飛び出す。

 「入学してすぐは、自分の考えを言葉にすることが難しい様子でした。でも、グループワークを続けるうちに、グループの中でリーダーの役割を果たす生徒が自然に現れ、生徒同士で他の生徒の意見を引き出せるようになりました」。白川先生は今後、中1のうちに論説文を読んでデータを読み取り、それについてリポートを書いたり、長文の小説を読み、より細やかな心情の流れをグループでまとめたりといった活動を計画しているそうだ。

都道府県の文化風習を自分で調べてプレゼン

日本各地の文化風習にについて、自分で調べた成果を発表する生徒
日本各地の文化風習にについて、自分で調べた成果を発表する生徒

 続いて2年1組の教室を訪れると、地理の夏苅(なつがり)拓磨先生によって、日本各地の文化風習を調べて発表する活動が行われていた。「茨城県」「滋賀県」など、1人1か所担当する都道府県を与えられた生徒たちは、1人1台貸与されているタブレットで事前に県独特の伝統や方言などを検索し、この日は手書きのプレゼンテーション資料を駆使して説明を行った。

 「2年生は、パワーポイントにはすでに慣れ親しんでいます。手書きよりもパソコンのほうが楽だという声が上がるくらいですが、実社会では紙にメモをして人に渡さなければならないこともあるため、今回はあえて手書きに挑戦してもらいました」と、夏苅先生は話す。

 茨城県の風習について発表した生徒は、「『だいじ』ってどういう意味か分かりますか。実はこれ、『大丈夫』っていう意味なんです。東京で使っている『大事』と全然違うんですね」と、他の生徒たちに問いかけながらプレゼンテーションを進めた。夏苅先生は、生徒の発表を受けて関連する動画や画像を教室に設置されたスクリーンに映し出すなど、臨機応変に対応している。

自ら興味を持って調べることの重要さについて話す地理の夏苅先生
自ら興味を持って調べることの重要さについて話す地理の夏苅先生

 「地理の学習は暗記が大切だと思われがちですが、ただ言葉を覚えるだけでは、すぐに忘れてしまいます。自ら興味を持って調べることで、『一期一会』とも言える理解が深まり、より記憶に残るのです。高校で受験対策をする時も、自ら学習する力が生かされ、単に世界各国の小麦の生産量を知るといったことではなく、その背景にある国ごとの事情などを自分で調べることができるようになります」

 夏苅先生は続いて1年1組の教室で、「熱帯地方の国を一つ選んでその国の特徴を調べ、発表する」という地理の授業を行った。ここでは、生徒たちがパワーポイントを活用して資料を作成していた。パプアニューギニアについて発表した大津(かえで)さんは、「同じ熱帯地方の国でも、裕福なところと治安の悪い貧しい国があることが分かり、そういった差がなくなっていけばいいと思うようになりました」と話した。

歴史の背景や人の感情を理解する力

歴史的背景や人間の思考・行動などを理解する力を付ける授業について話す歴史の山岡先生
歴史的背景や人間の思考・行動などを理解する力を付ける授業について話す歴史の山岡先生

 隣の1年2組の教室では、歴史担当の山岡大祐(だいすけ)先生による、日本の飛鳥(あすか)時代の政治に関する授業が行われていた。生徒たちは、机をコの字形にしてお互いの顔が見える状態で座っていたが、先生から課題が出されると3、4人のグループに分かれて考察を始めた。例えば、「当時の崇峻(すしゅん)天皇は、『あの男を殺してやりたい』と発言した、という記録が残されています。『あの男』とは誰か、そしてなぜそのような発言をするに至ったのだろうか」などだ。

 「なんだかドラマみたいな話だね」「蘇我馬子って男なの」「小野妹子(おののいもこ)っていう男の人もいるよ」「資料集にはこんなこと書いてあるけど」と、生徒たちは自分の考えを自由に話し合っている。「単なるおしゃべりでもかまわないんです。同級生が話したことは、教師から聞くことよりもずっと心に残る。何より人の話を聞く姿勢が養われ、それを自分の考えに生かすことができるようになります」と、山岡先生は話す。

 その後も生徒はときに全体で意見を聴き合い、そこで新たな疑問が浮かび上がるとまたグループで学び合う、という形で「考える授業」が展開していった。

 中学の時からこういった授業を受けてきた生徒は、自分から資料を調べて考え、学ぶ力が身に付き、大学入試の小論文執筆や面接の準備において優位に立つことができるという。「人名や年号といった知識は、いわば勉強の枝葉の部分で、その根幹にある歴史的背景や人間の思考・行動などを理解する力が付けば、それをまた他の分野に応用させることができます。私自身、中1から高3まで通してこの授業方法を実践し、6年間で生徒が大きく変わるのを見てきました」

 中高一貫したプログラムの中で学んだ生徒たちは、高校の授業にスムーズに入っていくことができ、それが大学進学実績にも良い成果となって表れているそうだ。

 「来年度から中学の指導要領が変わり、『自分で考える力』を身に付けることは、すでに絶対条件とも言えます。カリキュラム編成の提案も含め、これから自分で考え、自分で行い、自分で学ぶ力を育てることに、学校全体で取り組んでいきたいと考えています」と菅先生は抱負を語った。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート)

 京華女子中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1685525 0 京華女子中学・高等学校 2020/12/10 07:00:00 2020/12/14 10:25:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201208-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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