グローバル時代迎え、中3全員1か月海外合宿…明星

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 明星中学校・高等学校(東京都府中市)は、グローバル時代に活躍できる生徒を育てようと、新たな「国際教育」に取り組み始めている。2017年秋からは、中3の生徒全員が参加するフィリピン・セブ島への約1か月の英語合宿もスタート。中高6年間の体系的なプログラムや語学学習メソッドを中心に、着任4年目の畠山武校長に成果などを聞いた。

「変化こそチャンス」と新たな国際教育

学校を挙げての英語教育に取り組む畠山武校長
学校を挙げての英語教育に取り組む畠山武校長

 2020年度に迫った大学入試改革について畠山校長は「時代が大きく変わり、入試も変わる。チェンジこそがチャンス」と話す。その中で特に力を入れ、新たなチャレンジを始めているのが独自の国際教育だ。

 同校は1923年の創立以来、「和の精神のもと、世界に貢献する人を育成する」を建学の精神とし、1世紀近い歴史を歩んできた。そのうえで新たな国際教育に取り組むことについて、畠山校長は「これまでは英語を一つの教科としてとらえていましたが、それでは限界がある。学校全体として力を入れることにしました」と、中高一貫の体系的プログラムの重要性を強調する。

 同校に入学した生徒は、中1の最初の夏休みに英語合宿「English Camp」に参加する。10人ほどの班ごとにネイティブの講師が付き、英語だけ使う環境の中で過ごす。今年度は茨城県潮来市で3日間、合宿した。英語合宿は中2の夏休みにも予定されている。前回は箱根で合宿し、豊かな自然の中で英語を存分に学んだという。

中学1年時に行われるイングリッシュキャンプ
中学1年時に行われるイングリッシュキャンプ

 同校の英語教育は、絵本などから段階的に難しい洋書を読み進める「多読」と、英語の音声をシャワーのように浴びる「多聴」で、力を伸ばす「多読多聴」に力を入れてきた。2015年度に畠山校長が着任してからは「もっと生きた英語力を」と、新しい試みを取り入れてきた。

 その一つが英語ミュージカルの創作体験プログラム。来日する米国のパフォーマンス団体「ヤングアメリカンズ」の若手ダンサーやシンガーら約40人といっしょに、歌やダンスをまじえた英語のショーを3日間で作り上げ、舞台で発表する。17年2月に希望者のみを対象として始まり、18年2月からは中2の生徒全員が参加する正式行事となった。

 音楽もダンスの振り付けもすべて英語で伝え合う中で、生徒たちの英語力は飛躍的に伸びる。このミュージカルでは、全員がどこかでスポットライトを浴びる構成にするため、生徒の参加意識が高まり、自信にもつながるという。

中3全員のセブ島合宿やスカイプによる英会話

フィリピン・セブ島で行われた英語合宿
フィリピン・セブ島で行われた英語合宿

 さらに畠山校長の提案で17年度から始まったのが、中3の生徒全員が参加するフィリピン・セブ島での英語合宿だ。17年は11月中旬から約4週間の日程で行われた。学期途中に学年全員で1か月間も海外へ語学研修に行く中学校は、ほとんど他にはないだろう。英語学習に対する同校の本気度が伝わってくる。

 セブ島では、英語力に合わせてマンツーマン方式で、1日6時間の英会話の個人レッスンを実施する。その後4、5人ずつに分かれ、2時間のグループレッスンが行われる。さらに、希望する生徒は午後8~10時の夜間のフリーレッスンも受講できる。昨年は〝皆勤賞〟の生徒もいたという。

 「欧米人よりアジア人の講師のほうが親しみやすいというのも、英語の苦手意識がなくなるきっかけになるようです」と畠山校長。この体験が刺激となり、帰国後「長期留学したい」と話す生徒も少なくないという。セブ島で身に付けた英会話力を維持するため、現地の語学学校と提携し、インターネット電話「スカイプ」による週1時間の会話レッスンも導入している。

 こうした多彩な英語学習の取り組みを通して、中3のときには最低でも実用英語技能検定(英検)3級をクリアするのが目標だ。また、特進クラス「MGS(明星グローバルサイエンス)クラス」の生徒は、英検準2級レベルを目指しているという。

 高校生になると、2年の夏には選択制の海外修学旅行がある。台湾、ベトナム、ニュージーランドの3コースの中から、生徒たちは事前学習などを通して、自分の行きたい国を選んで参加することができる。

 各コースとも多彩なメニューが用意されている。例えば今年のベトナムコースでは、ベトナム戦争中、米軍が散布した枯れ葉剤の影響とされる結合双生児として生まれた「ベトちゃん、ドクちゃん」の弟、グエン・ドクさんに会うなど、生徒たちは異国の文化や生活だけでなく、戦争の悲惨さも学んだ。

 また、「MGSクラス」の高2の希望者は、米国ボストンでの海外研修「ボストンリーダーシッププログラム」にも参加できる。ホームステイ体験をするとともに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学など世界有数の大学を訪問し、現地の学生と交流するプログラムだ。

iPad活用し、e―ポートフォリオを蓄積

 こうした独自の国際教育に加えて、同校はICT(情報通信技術)教育にも力を入れており、中3から全員にタブレット型端末「iPad」を配布している。その中で最近取り組んでいるのが、文部科学省が高校・大学での普及・連携を推進している「e―ポートフォリオ」の活用だ。

 探究学習の成果から、生徒会や部活動の実績、留学経験、英検に至るまで自分の高校時代の歩みを、「e―ポートフォリオ」にファイルする。そのデータを合否判定などに使う試みが、2019年春の入試から一部の大学で始まるため、それに備えている。また、「e―ポートフォリオ」を用意しておけば、これまでと同様にAO入試などで活動報告書を提出する際も、あわてずに済むという。

 ICT教育の中で、同校では明星大学の教員たちとも連携し、学習成果などをまとめて発表する「プレゼンテーション」の教育にも取り組んでいる。「自分の意見を持ち、それを提案し、発表する能力は将来必ず役に立ちます」と畠山校長は話す。

6年で大学合格者数がほぼ倍増する

 畠山武校長が、明星中学校・高等学校に着任して4年目。着任前の3年間とその後の最近3年間を比べると、大学合格者数がほぼ倍増するなど、目覚ましい成果が表れている。

 同校は「本科クラス」と「MGSクラス」を設けている。特に国公立大や超難関私立大をめざす「MGSクラス」(中学1クラス、高校3クラス)を中心に、進学実績に躍進が見られる。

 2016年度について言えば、「現役で東京外国語大に3人が合格しました。GMARCHの合格者も70数人に達し、国立大医学部への進学を決めた生徒もいます」と、畠山校長は手応えを感じている。

 同校の恵まれた施設にも目を見張るものがある。1200人収容の講堂、冷暖房完備で地上3階地下1階の総合体育館、水深可動式の温水プール、星の追尾システムを備えた天体観測ドーム、庭園のある和室、木のぬくもりを生かした図書館。

10万冊の蔵書がある図書館
10万冊の蔵書がある図書館

 図書館には自習用ブースがあり、始業前に机に向かう生徒も少なくないという。「木の書架が天井まで届き、蔵書は10万冊。その3割が英語の原書です」と畠山校長は話す。同校の教育の新しい取り組みは、充実の教育環境によってがっちり支えられている。

(文:田村幸子 一部写真提供:明星中学校・高等学校)

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177265 0 明星中学校・高等学校 2019/01/22 05:20:00 2019/01/22 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190121-OYT8I50085-T.jpg?type=thumbnail

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