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【特集】「探究学習×SDGs」の学びで将来のキャリアを描く…明星

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 明星中学校・高等学校(東京都府中市)は昨年度、「SDGs(持続可能な開発目標)推進校」を宣言し、「探究学習×SDGs」のカリキュラムを組んで実践してきた。生徒は高1だった昨年度から全員がSDGsの目標に沿ったさまざまなテーマで探究を続けている。その中から、ジェンダー意識についての調査と実践、及び「探究学習×SDGs」の活動全体をPRするホームページ作りを取り上げ、その成果とこれからの展望を取材した。

SDGsの目標を身近な場所から探究する

『探究学習×SDGs』のカリキュラムについて話す飯島先生
『探究学習×SDGs』のカリキュラムについて話す飯島先生

 「グローバル化、高度情報化した21世紀社会で活躍できる力を身に付けるには、思考力・判断力・表現力といった『見えない学力』を育てることが重要です。このため、これまでも全学年を挙げて探究学習に取り組んできましたが、いっそうの推進を図るために、22年度から高校の学習指導要領が改訂されるのに先駆けて、導入したのが『探究学習×SDGs』のカリキュラムです」。高校2年生本科学年主任の飯島崇史先生は新カリキュラムの目的をこう説明する。

 「探究学習×SDGs」の授業は水曜5、6限の「総合的な探究の時間」を充て、高校1年生から2年間をかけて取り組む。1学年約300人の生徒たちはそれぞれ、SDGsの17の目標の中から自分の関心に合わせて選択し、自分のテーマを設定していく。1学期はめいめいで活動し、2学期からは、類似したテーマを探究している生徒たちがクラスを超えてまとまり、30~40のグループを作る。その活動成果は12月の中間発表と3月の最終報告の場でプレゼンテーションする。

「身近な場所や地域にSDGsの意識を落とし込んでいくことから始めた」と話す八幡先生
「身近な場所や地域にSDGsの意識を落とし込んでいくことから始めた」と話す八幡先生

 高校2年生本科の学年副主任八幡幸司先生は、この授業を開始するにあたり、懸念したことがあるという。SDGs全体があまりにも大きなテーマであるため、探究活動が概念的になりやすいという点だ。「そこで、まずは身近な場所や地域にSDGsの意識を落とし込んでいくことから始めました」

 生徒たちは、身近な視点から母子支援やプラスチックの削減など多岐にわたるテーマを選んで探究を行っている。それらの中で、藤井日菜乃さん(現高2)が、昨年から取り組んできたのが、ジェンダー意識の問題と学校制服のジェンダーフリー化というテーマだ。

 藤井さんは昨年の2学期から、同じ問題意識を持った10人ほどのグループのリーダーを務め、日本のLGBTQ(性的少数者)の割合を調査したり、ジェンダーに関する体験談を探したりした。さらにLGBTQの支援団体「プライドハウス東京」(東京・新宿区)を訪問してジェンダー問題への理解を深めるうちに、「自分たちの学校にもジェンダーに悩んでいる人がいるかもしれない」と思い至ったという。

 実際に学年でLGBTQに関する調査をしてみると、悩みを抱えている生徒もいることが分かり、「みんなが通いやすい学校にしたい、良い学生生活だったと思ってもらえるようにしたい」との思いから、女子の制服にズボンを導入するといったジェンダーフリー化のための行動を起こした。学校との話し合いを続けており、実現に向かって動き出しているという。

 高2の蕨大輔君が取り組んでいるのは、各グループの活動を発信するためのホームページ作成だ。きっかけは昨年、飯島先生から「学校公式で『探究学習×SDGs』のホームページの立ち上げを考えている」と聞かされたことだ。もともとWEBと情報の関わりに興味があったことから、グループのリーダーとして昨年9月頃から取り組み始めた。

プレゼンテーションの練習をする生徒たち
プレゼンテーションの練習をする生徒たち

 始めに外部のウェブデザインの企業の担当者と学校やオンライン上で打ち合わせを行い、その際に受けた専門的なアドバイスを基に、ユーザー像の分析を行ってサイトの方針を固めた。また自分たちでプレビュー数の数値目標を立て、シミュレーションを繰り返してコンテンツを煮詰め、現在までに2回、教員や校長先生にプレゼンテーションを行った。

 生徒たちの活動を指導するうえで飯島先生と八幡先生がウェートを置いているのは、地域や企業との関わりだといい、「生徒と社会をダイレクトに結びつける」という強い信念を持って取り組んでいるという。

 生徒たちは、それぞれのテーマに合わせて地域の団体、卒業生、企業などへ電話やメールで直接、アポイントを取る。先生たちは出来るだけ介入せず、フォローに徹する。

 「どうして先生が間に入らないのか、とお叱りを受けたこともあります。直接SNSなどでつながることを不安視する保護者の声もありました」と飯島先生は振り返る。それでも姿勢を崩さず、教育目的を丁寧に説明することで理解者は増え、学校内外に、生徒と社会との結びつきを深めようというムードが高まってきたという。

 そうした機運の中で、昨年11月に府中市が主催した「府中市民協働まつり」に生徒たちが参加した。府中市で活躍する市民活動団体や学校、企業による2日間のイベントで、同校からは藤井さんのグループを含む7グループ約50人が参加した。この年はリモートでの開催となったが、藤井さんのグループ「P of E(Proof of Existence)」は動画によるワークショップを行ったそうだ。

 昨年度の活動を振り返って八幡先生は「新型コロナの影響下で1学期中はほとんど学校に来られない状況でしたが、生徒たちは『今困っている人たちのために何かできないか』という問題意識を高めていきました。その行動力に我々が動かされた1年でした」と話した。

探究学習を通して得た気付きや学び

類似したテーマを探究している生徒たちがクラスを超えてグループを作る
類似したテーマを探究している生徒たちがクラスを超えてグループを作る

 「探究学習×SDGs」の活動を通して、蕨君は「人の立場に立って物事を考える力と、チームマネジメント力が身に付きました」と言う。ホームページ制作を始めた当初は10人ほどのグループだったが、新型コロナの影響からスケジュールが遅れ、先の見えなさもあってか、何人かのメンバーが途中から参加しなくなってしまったという。「リモート会議ということもあり、スピード感がなくなっていることに気付きました」。そこで、蕨君はメンバーの状況を見ながら役割を振り分け、週に1度のリモート会議で発表してもらうようにしたところ、作業が着実に進行していくようになったという。

 藤井さんは、「ジェンダーという今まで意識していなかった問題に取り組んだことで、新しい自分に出会いました」と言う。「問題を深く考えることで、解決策を具体的に細かく考えられるようになり、また、リーダーという立場になったことで、人と協力して物事を進める力、人をまとめる力が身に付いたと思います。私のグループも意識の違いなどから途中で人が抜けてしまいましたが、残ったメンバーで結束力を持って現在も取り組んでいます」

 飯島先生は「つらいこともたくさんあったと思いますが、その中でも諦めることなく粘り強く活動する姿に、我々も見習わなければならないと思わされる場面が何度もありました」と生徒たちの成長を振り返った。

「見えない学力」を手にして大学受験を突破する

 今後の活動の展望について飯島先生は、「生徒たちにとって、次の社会とのつながりは大学進学です。探究学習をきっかけに、目の前の大学入試を通してそれぞれのキャリアを壮大に描かせたいと思っています」と語る。

 藤井さんも蕨君も、探究学習を通じて自らが志望する大学が見えてきているようだ。藤井さんは「正直それまで人にあまり興味がありませんでしたが、この活動を通して他の人がどう考えているか、本当はこう思っているんじゃないかなど気になるようになりました。将来は心理学科への進学を考えています」と言う。また、蕨君は「元々、環境や情報といった分野に興味がありましたが、ホームページ制作を経験して環境情報学を本格的に学びたいという思いが強くなり、今はその方面への進学を考えています」と語った。

 実施する大学が増えている総合型選抜では、「見える学力」だけでなく「見えない学力」が重要なカギになる。飯島先生は「この活動で鍛えた『見えない学力』を武器に、チャレンジしてくれる生徒たちが今まで以上に出てくれることを願っています」と語った。

 (文:熊谷那美 写真:中学受験サポート)

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2247787 0 明星中学校・高等学校 2021/08/03 06:00:00 2021/08/03 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210729-OYT8I50053-T.jpg?type=thumbnail

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