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【特集】大学合格実績を躍進させた逆算式の進路決定…瀧野川女子

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 瀧野川女子学園中学高等学校(東京都北区)は今春、総合型・学校推薦型選抜に着目した進路指導によって大学合格実績を大きく向上させた。中高一貫コース1期生を含む今春の卒業生らは、独自のキャリア教育を通じて将来のビジョンを固めることができ、逆算式で早期に希望大学を決定できたことが奏功したという。昨年度、高3の学年主任を務めた教員と、学校全体のサポートを統括する副校長に話を聞いた。

難関私大を含め、総合型選抜で前年比4倍の実績

大学入試改革への対応を説明する山口副校長
大学入試改革への対応を説明する山口副校長

 同校が中高一貫コースを設置し、第1期生が巣立った今春、筑波大学や上智大学などの難関校を含め、総合型選抜で前年比約4倍の82人が合格した。学校推薦型選抜から指定校推薦を除いた公募推薦でも前年比約2.7倍となる24人が合格し、大学合格実績を大きく向上させた。

 山口龍介副校長によると、この飛躍的な実績向上の原因は、2021年の大学入試改革に対して、同校がいち早く進路指導を適応させたことにある。文部科学省の「令和2年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、私立大学では年々、AO入試(現・総合型選抜)と推薦入試(現・学校推薦型選抜)によって選抜される入学者の割合が増加しており、2020年度募集では約57%に達する。同校は、こうした流れに早くから注目して、生徒の夢や希望を (かな) えるための進路指導を進めてきたという。

 これらの入試選抜は、高3の夏から9~11月にピークを迎える。このため同校は、早めに進路を決定し、準備を進めることが合格のカギだと考えている。「高3のクリスマスまでには合格を手にできるようにと考えています。9月から11月に入試があるとしたら、逆算して高2の間に進路を決めてもらわないと準備が間に合わなくなります」と山口副校長は説明する。

「創造性教育」で事業化実習に取り組む生徒たち
「創造性教育」で事業化実習に取り組む生徒たち

 生徒たちが早期に進学先を決められるようにするための工夫も行ってきた。そのために重要なのは、大学の先にある社会で働くことの意味、職業観を早期に意識付けることだといい、キャリア教育が重要な意味を持つ。これによって生徒は中学や高校1、2年のうちに自分の将来を実現するのに適した志望校の決定、さらに合格に向けての準備の時期を逆算することが可能になるとしている。

 それを象徴するのが今春、卒業した中高一貫コースの1期生だ。彼女らは2016年から開始した独自の「創造性教育」というメソッドによるキャリア教育を受け、早期の意識づけによって進路を決定してきた。このメソッドでは、創造性と起業家精神を育み、世の中に新しい商品や新しい仕事を生み出せる女性になることを目的とする。高1で商品企画コンペティション、高2で事業化実習などに取り組みながら、どうすれば社会の中で自分が役立つか、そこで輝けるかを、より実践的に考えていく。

 昨年度、高校3年の学年主任を務めた前田泰介教諭によると、「創造性教育」で (かんざし) をデザインして製作し、学園祭で販売したある生徒は、アパレル企業でデザイナーの仕事がしたいという進路志望を抱いたという。「てっきり、服飾やデザイン専門の大学に進学を希望すると思っていたら、『私は日本の文化をもっと勉強して世界に発信したい』と、学習院女子大学に進学して日本文化を専攻しています」

定期試験は廃止し、中学に新入試方式

ICTを活用した進路指導
ICTを活用した進路指導

 このような大学の先を見据えた進路指導の考えを延長して、同校は今春から中間テストを廃止した。山口副校長は「大学入試改革のその先にあるものは、ペーパーテストでは測れない人間的な魅力や将来の伸びしろです」と強調する。「ですから、定期テストの意味付けを考え直しました。試験範囲内を暗記してその時だけ点数を取っても、これから先の大学ではついていけないでしょう。それならむしろ、ディスカッションや文章を書く時間に充てたほうがずっといい」

 ただ、中間テストを廃止した場合、生徒の学力評価はどう行うのか。答えは、山口副校長の主導で10年前から取り組んできたICT教育にあるという。生徒1人1台を所持するiPadを活用した、クラウドベースの授業によって、日常の授業の中で生徒の学力や勉強の 進捗(しんちょく) 度合いを一人一人把握できるからだ。前田教諭は「テストをしなくても、生徒たちの学習到達度は把握できています。観点別評価を採用していて、減点法ではなく加点法なので、生徒たちも意欲的に授業に参加してくれます」と言う。

 ICTの利用によって、進路指導もまた進化する。前田教諭は、「本校では特別に個人面談の機会を用意していません」と話す。「面談の回数をこなせばよいというのではなく、いかに生徒一人一人の個性や将来の夢に沿った形で進路を一緒に考え、受験対策や準備をサポートできるかが大切だと思います。そのためには、日頃から生徒たちが何を考え、どんなことが得意で、何が苦手なのかを把握しておく必要があります」

昨年度高3の学年主任として指導してきた前田教諭
昨年度高3の学年主任として指導してきた前田教諭

 それが可能なのは、やはり、ICTというコミュニケーションの基盤があるからだという。「休み時間に生徒から相談を受けても、話が途中になってしまうこともある。そんな時も、続きをオンラインに切り替えることで、互いの時間を有効に使い、相談を途切れさせないようにすることができます」

 ちなみに来年度、同校は中学入試で新たに、「授業評価型入試」を導入する。受験生は授業を受けて問題の解き方を理解したのち、実際に問題を解く。その答えが正解かどうかよりも答えを導き出すプロセスを重視して評価するという。

 「たとえば、国語ならたくさんの物語を読んで、それについて自分の意見がきちんと言えるかどうか。算数なら難解な問題よりも、数と形の基本が分かるかどうかを見ます。これまでの、知っているか知らないかの知識偏重型から、本校に入学してから意欲的に学ぶ生徒の可能性を見極めることを目的としたものです」と、山口副校長は意図を説明する。単なるペーパーテストでは測れない資質に注目した入試方式と言える。

 明確なキャリア意識に基づいて進路を選んだ中高一貫コース1期生らは、今春の大学入試で目覚ましい合格実績を上げた。時代の先を見据えた同校の進路指導があれば、後に続く世代にも、この流れは引き継がれることだろう。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:瀧野川女子学園中学高等学校)

 瀧野川女子学園中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2310472 0 瀧野川女子学園中学高等学校 2021/09/03 05:01:00 2021/09/03 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210824-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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