新コースの学びで21世紀型スキル獲得へ…聖徳大女子

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 聖徳大学附属女子中学校・高等学校(千葉県松戸市)は今年度から、「S(スーペリアル)探究コース」と「LA(ランゲージアーツ)コース」という二つの新コースを中1、高1に導入した。伝統の礼法教育に、自ら学ぶ探究心と国際感覚を加えた独自の21世紀型スキルを身に付けさせたい考えだ。始まったばかりの新コースの授業をのぞいてみよう。

新コースのテーマは「探究」と「英語」

高1「LAコース」オンライン英会話の授業
高1「LAコース」オンライン英会話の授業

 同校が今春導入した新コースは、難関国立大や医学部進学を視野に入れた「S(スーペリアル)探究コース」と、英語の実践的スキルを磨いて進路選択の幅を広げる「LA(ランゲージアーツ)コース」の二つだ。

 中1は「S探究コース」に22人、「LAコース」に34人の計56人。新入生は全員、どちらかのコースに所属する。高1は「S探究コース」が高校からの入学生も加えて37人、「LAコース」が80人、さらに音楽科14人の計131人となった。新コースは今後、生徒の進級とともに上の学年へ広げていく予定だ。

 「S探究コース」を特徴付けるのは、週1時間の「探究科」授業。ゼミ形式のグループワークを通して情報収集や討論、発表の力を磨き、自由テーマによる研究論文の作成を行う。このコースでは通常科目でも自ら課題を発見し、調べ、意見交換して解決に至る「探究」的手法を取り入れるという。

 「LAコース」では、英語4技能のうち「スピーキング」を「コミュニケーション」と「プレゼンテーション」の2領域に分け、英語学習の4技能を5領域に分ける。特に「コミュニケーション」と「プレゼンテーション」については「リスニング」と合わせて、従来ウェートが高かった「リーディング」「ライティング」と同程度の授業時間を確保するという。

 カリキュラムを統括する大野正文副校長は、「大学合格までは『詰め込み』でいけても、そこで意欲を含めた総合的な学ぶ力がストップし、大学や社会で力を発揮できない例は数多くあります」と従来型教育への疑問を口にし、「そうならないよう、自ら学び続ける力を育てたい」と新コース導入の理由を語った。

 川並芳純校長も、「5年ほど前から、教育は知識の伝達だけで良いのかという問題意識に基づき『学び方改革』を進めてきました。その集大成がこれらのコースです」と自信を見せた。

「新聞」作りから「伝える力」を学ぶ

中1の「探究科」授業で行われた「新聞」の発表
中1の「探究科」授業で行われた「新聞」の発表

 「探究科」の授業は中1、高1ともに毎週水曜の6限目に行われる。カリキュラムは、12、13人の教員から成る「探究検討委員会」が骨組みを考え、担当学年の教員が総出で具体的な内容を組み立てる。

 中学1年の「探究科」は、全員で行われる。4~6月は、社会のさまざまな物事を調べた「新聞(ポスター)」制作に取り組んでいた。まず、生徒全員を3、4人の班に分け、教員が「箸」「スマホ」「たい焼き」「水族館」などのキーワードを割り当てる。生徒はキーワードに基づいてさらに細かく個人テーマを決め、調べ学習を行って記事を作成し、A2サイズの「新聞」を作る。

 同校を6月26日に訪れ、実際の授業を見せてもらった。

 中学1年の「探究科」の授業ではこの日、数週間がかりで制作してきた「新聞」の「発表(ポスターセッション)」が図書館の学習スペースで行われた。

 発表は、新聞の原稿を読み上げる形が多かったが、なかには聞き手の注意を引くための工夫も見られた。例えば「水族館」をキーワードとした新聞の班では、「世界に水族館はいくつあると思いますか」とクイズ風の問いかけをしたり、アメリカ・アトランタ州のジョージア水族館にある巨大な水槽(高さ8メートル、幅19メートル)の大きさを紹介する際に、窓を指さし「ここから見えるあの校舎くらいの大きさで」と手近な例を示したりしていた。

 進行とタイムキーパーを担当した目崎明彦教諭は、「まずは知識の探究の前に発表の練習を目的とします。失敗する前提で発表し、どう改善するかを考えていきます」と、この日の狙いを話した。

 授業の最後に1年A組担任の飯田遼教諭が「自分の発表が伝わっていないと思う人」と問いかけると、約半数が挙手した。それを踏まえ、「自分がまとめた記事でも、人に伝えるのは難しいね。これから6年間で、伝える力を学んでいきます」と締めくくった。次回からは、9月に体験学習に行く長野・蓼科がテーマ。その後は、職業をテーマに社会の成り立ちを学ぶ予定という。

高校の探究科ではゼミでグループ研究へ

探究検討委員会委員長の森田あす美教諭
探究検討委員会委員長の森田あす美教諭

 探究検討委員会委員長の森田あす美教諭によると、高校の「探究科」では、6月までを導入期間とし、各教科の教員が週替わりでさまざまなテーマについて講義を行ったという。

 森田教諭自身は理科担当として、水資源の危機を取り上げた。小麦の価格推移や難民の発生率、子供の国別生存率などの資料を提示し、背景にある水の問題を浮かび上がらせたそうだ。また別の週には、国語科と社会科の教員に協力を得て、女性の社会的地位の変遷を取り上げた。

 生徒の反応は上々のようだ。高1の「S探究コース」の釜谷莉彩子さんは、「英語の授業で、『より日本語らしい訳文』を考えたり、数学の公式を自分たちで証明したり、グループワークが面白い。休み時間にも集まって話し合います」と話した。

 「探究科」授業は6月最終週からは少人数のゼミクラスに分かれ、グループ研究を開始する。今年の全体テーマ「SDGs(持続可能な開発目標)」についてさまざまな角度から考えていくという。

 「ゼミで情報集めや考察、まとめ、プレゼンの訓練を行い、高2の個人研究で自分の関心や知識を突き詰めます。こうして鍛えられる協働性や思考力、判断力、表現力は、新大学入試への対応はもちろん、社会でも役立つはずです」と森田教諭は話す。さらに「教員の専門分野を学年の垣根を越えて生かし、内容をより充実させたい。また、中1の発表を高1が見てアドバイスするなど、合同授業も考えたい」と抱負を語った。

共同開発のアプリで生き生きオンライン英会話

 この日は、高1の「LAコース」の授業も見せてもらった。

 1人1台のiPadと校内Wi-FiというICT環境を完備している同校は、今年、中・高にオンライン英会話を本格導入した。

 教室で24人の生徒がヘッドホンを装着し、自分のiPad上でオンライン英会話アプリを起動する。すぐに講師の顔とテキストが画面に表示され、生徒は講師と会話を交わしながら、表示されたテキストの穴埋め問題を解いていく。時間は25分。その後、生徒は別のアプリでリポート画面を表示し、今回の授業の感想や自己評価を記入した。講師による生徒の評価も行われ、いずれも生徒の目標設定や授業改善に活用されるという。

ICT教育部部長の小室信男教諭
ICT教育部部長の小室信男教諭

 「一般に、オンライン英会話はSkypeを使用するものが多いですが、回線の負担やセキュリティー設定などの問題点がありました。本校では、そうした問題をクリアできる学研の『Kimini』をベースに、生徒が自分の学習進度や希望に応じて楽しく意欲的に学べるよう学研と共同で作ってきました」と、ICT教育部部長の小室信男教諭は話す。

 「LAコース」の新設を知って同校を受験したという石川愛未衣さん(高校1年)は、「どんな言い方をするか忘れていても、先生のヒントで思い出し、ちゃんと身に付く感じがします」と感想を話した。「小・中学校のクラスに外国人の友達がいて、英語で自由に話せたらと思っていました。将来の仕事は臨床心理士に興味がありますが、今後は学校や職場に外国人が増え、カウンセラーにも英語が必要になると思い、頑張っています」と夢を膨らませていた。

 同校は、小笠原流礼法を毎週1時間必修の授業としている。この伝統の教育に二つの新コースに象徴される探究と英語、さらにICTの活用を加えて「聖徳流21世紀型スキル」と呼んでいる。自ら学び続ける力を身に付けるために、この新しいスキルが役に立つことだろう。

 (文・写真:上田大朗 一部写真:聖徳大学附属女子中学校・高等学校提供)

 聖徳大学附属女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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856581 0 聖徳大学附属女子中学校・高等学校 2019/10/23 05:21:00 2019/10/23 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191021-OYT8I50036-T.jpg?type=thumbnail

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