英語圏やベトナムへ、国際研修でたくましく育て…芝学園

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 芝中学校芝高等学校(東京都港区)は7月27日からの13日間、中3生と高1生を対象に、21回目となるニュージーランド研修を実施した。同校はこの研修を含めて、カナダ、ベトナムへの海外研修、4日間の校内英語研修と四つの国際研修を実施している。それぞれの研修内容と狙いについて国際交流係の田口和希教諭に聞いた。

大自然を満喫し、英語への意欲高める

芝学園の海外研修を企画運営する国際交流係の田口和希教諭
芝学園の海外研修を企画運営する国際交流係の田口和希教諭

 同校のニュージーランド研修は毎年、北島にある「ロトルア・ボーイズ・ハイスクール」の協力で行われる。国際交流係の田口和希教諭によると、同校は芝学園と同じ男子校で、芝学園の生徒はホームステイしながら同校に通い、現地の高校生とペアを作って授業を受け、学校生活を経験する。例年は春休みに実施しているが、21回目となる今回は、現地校の都合で夏休み中の実施となったそうだ。

 帰国したばかりの高1生2人に研修に参加した動機や感想を聞いた。

 横山慶亮君は、小学生のときに参加した芝中の学校説明会で、ニュージーランド研修のことを知った。先輩たちが大自然の中で楽しそうにしている様子がスクリーンに映し出されるのを見て、自分も参加したいと考えた。「高層ビルもないし、自由にゆったりできそうで憧れました」。芝中に入学後は授業以外に自分で実用英語技能検定(英検)に備えた勉強をし、中学3年で準2級に合格した。

 研修では現地の高校生とペアになって過ごす中で、英語力の不足を痛感したという。「学校では状況を説明するための難しい表現などを学んでいるのですが、気持ちを表す簡単で日常的な言い回しの持ち合わせが少なく、もどかしい思いをしました。『それはすごい』『分かる』『欲しい』といった気持ちをそのまま、その瞬間に伝えたかった」と振り返る。「英語力に磨きをかけたい」という気持ちが高まったといい、近く英検2級の試験にも挑戦するそうだ。

 山口高輝君は、小さな頃から家族で海外の各地を旅行してきた。そこで今回は両親と離れて海外を体験したいと、研修への参加を希望した。「学校の図書館でホームステイのための英会話をまとめた本を見つけ、借りて覚えました」といい、授業以外でもその日のために備えて着々と英語力を鍛えてきた。

ニュージーランド研修では現地の伝統的な民族舞踊ハカを体験した
ニュージーランド研修では現地の伝統的な民族舞踊ハカを体験した

 「ロトルア・ボーイズ・ハイスクールはラクビーの強豪校です。ラグビーの練習に参加したり、国際試合前に踊っている民族舞踊ハカを踊ったりしました。それに工芸品の製作や伝統料理の調理実習などで、現地のマオリ族の文化もに触れました。壮大な景色や温泉ホットプールを楽しんだりして、ニュージーランドの自然も満喫してきました。13日間はあっという間でした。もっと英語で話したかったな」と研修の日々を懐かしんだ。山口君は、この研修をきっかけに、進学先に海外の大学を含めることも考えるようになったそうだ。

身ぶり手ぶりで切り抜けるベトナム研修

 同校にはニュージーランド研修のほか、今年12年目となるカナダ研修、6年目を迎えるベトナム研修があり、5年前からは学校内での英語研修もスタートさせている。

 田口教諭は「ニュージーランド研修は、英語研修と異文化体験の2本柱で、カナダ研修はやや英語研修に軸足を置いた研修として構成しています」と説明する。この二つの研修は、なるべく多くの生徒にチャンスを与えたいという思いから、どちらか一方だけに参加を限定している。

海外研修では現地の人に折り紙などを通じ日本文化を伝える体験もする
海外研修では現地の人に折り紙などを通じ日本文化を伝える体験もする
カナダ研修を実施するペンティクトンは湖のある街。マリンスポーツも楽しめる
カナダ研修を実施するペンティクトンは湖のある街。マリンスポーツも楽しめる

 カナダ研修は夏休み中の14日間で行われる。西海岸のバンクーバーから飛行機で1時間ほどの場所にあるペンティクトンという小さな町でホームステイをする。午前中は語学学校で英会話などを学び、午後は市役所や老人ホームを訪問したり、プールに行ったりする。放課後はホームステイ先の家族や仲間と湖で湖水浴やボートを楽しむなど、さまざまなアクティビティーを通じて英語でのコミュニケーション体験を深めていく。

 ベトナム研修は注目に値する。田口教諭は「異文化体験100%。芝独自の、芝らしい研修」と語る。この研修では、冬休み中の9日間、ホーチミン市の南西、メコン・デルタ地域にあるカイベー村の家庭でホームステイする。現地は上下水道設備がなく、鶏を飼い、魚を捕り、野菜を育てる自給自足の生活だ。また、現地では英語を話さないので生徒たちは、身ぶり手ぶりだけでコミュニケーションしながら、数日間の滞在を切り抜けることになる。多くの生徒が大きなカルチャーショックを体験するという。

 「先進国である日本の都会に暮らす生徒たちは、まず、自分たちが恵まれていることを実感します。次に、この発展途上地域で暮らす人々が幸せに生きていることを発見して驚くのです。先輩たちの口コミでベトナム研修は徐々に熱が高まっています。変わった研修ですが、生徒たちに理解されています」と田口教諭は(うれ)しそうに語った。

 なお、これら三つの研修は、応募者が多い場合は選抜が行われる。

 国内英語研修では、学校内で4日間、朝からおよそ6時間、英語漬けで過ごす。この研修は、中3から高2までの希望者全員が3年間に何回でも参加できる。

 研修では、東京大学や東京工業大学などで学ぶ留学生を招き、「理想の学校とは」「世界の水問題」などのテーマを設定して英語でプレゼンテーションしたり、一緒にディスカッションしたりする。「自分たちとさほど年齢が離れておらず、アジアや中東など英語が母国語ではない国からの留学生が日本の大学で学び、英語で自分の意見をしっかり主張できることに、生徒たちは大きな刺激を受けます」と田口教諭は話す。

教員チームが研修を手作りする

 田口教諭は、中3の5月に実施する海外研修説明会で、生徒たちに対し、「お客さまとして行くのではありません。困ったとき、自分の力でその状況を何とかするという気持ちが必要です」と、強い自主性の必要を厳しく訴えている。それだけに、「それでも毎年、多くの生徒が海外研修を希望するのは、先輩たちの体験談が背中を強く押すからでは」と感じているそうだ。

 紹介した四つの研修は、英語科を中心とする20人の教員で構成する国際交流係が支えている。中3生への海外研修説明会から、募集、渡航のための準備、現地校やホームステイ先との調整、引率、帰国してからの報告会までの運営を教員たちが中心となって行っている。

 中学3年生から高校1年生の長期休暇を利用した研修旅行は、高校受験のない中高一貫校ならではの大きなメリットだ。同校の教員たちが用意した手作りの研修制度を存分に活用して、たくましい男子生徒に育ってもらいたいものだ。

 (文・写真:水崎真智子 一部写真提供:芝中学校 芝高等学校)

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55974 0 芝中学校 芝高等学校 2018/12/26 05:20:00 2018/12/26 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181219-OYT8I50091-T.jpg?type=thumbnail

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