在校生と卒業生を結ぶ「気付きの場」…学習院女子

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 学習院女子中等科・女子高等科(東京都新宿区)で昨年7月13日、「在校生と卒業生の交流会」が開かれ、社会に出て活躍している5人の卒業生が、進路選択や仕事に関する率直な体験談を生徒たちに語った。この「交流会」は卒業生たちにとっても自らのキャリアを振り返る機会として大切にされており、この年で15年目になる。交流を深める卒業生と生徒の様子を取材した。

在校生、卒業生、同窓会が一体となった活動

卒業生と在校生が自由に本音で語り合う「交流会」
卒業生と在校生が自由に本音で語り合う「交流会」

 「在校生と卒業生の交流会」は、16年前に卒業生有志の発案で始まった。現在は高1・高2が中心となって委員会を作り、卒業生のスタッフと連携して年2回の「交流会」を開催している。毎回、プログラムを印刷した冊子などの準備も行っていて、そうした費用面は、125年の歴史を誇る同窓会組織「常磐会」がバックアップしているという。

 

 「在校中に委員を務めた生徒が卒業生となって話をしに来てくれたり、スタッフとして活動に参加してくれたりしています。『交流会』は在校生、卒業生、同窓会が一体となった、まさに生徒主体の活動なのです」と、顧問を務める長沼容子教頭は話す。

 同校の校舎1階ホールを会場に昨年7月13日、第31回「交流会」が開催された。この日来校した卒業生は、スポーツ団体に勤務する外山紀子さん、音楽教室を主宰する塚田めぐみさん、外資系のIT企業に勤める田中弘子さん、商社に勤務する小枝珠里さん、監査法人に勤務する樋口理代子さんの5人。在校生の参加者は11人だったが、多い時には60人ほど集まることもあるという。

 この「交流会」には、あえて異なるバックグラウンドを持つ卒業生を招いている。さまざまな職業を持ち、年齢も20~40歳代と幅広い卒業生に接することで、生徒たちが得られる経験の幅が広がるからだ。

 会場に並べられたテーブルには、1人の卒業生に対して2、3人ずつの生徒がついた。菓子や飲み物も用意され、くつろいだムードで語らいが進む。卒業生で交流会スタッフを務める大学教員の横江百合子さんは、「講演会のような一方通行の形式ではなく、卒業生と在校生が自由に本音で語り合う場であることを大切にしています」と話す。

社会人になっても生きる「女子部」での学び

掲示板に貼り出された卒業生への質問
掲示板に貼り出された卒業生への質問

 同校の生徒たちは、自分たちの学校を「女子部」と呼ぶ。「女子部」時代は剣道部に所属し、部活に打ち込んでいたという小枝さんは、「今は商社で男性の上司や先輩・同僚に囲まれて仕事をしていますが、自分の信じることを思いっきりやるという精神は、女子部で学びました」と話す。

 樋口さんは、学習院大学に進んで卒業後は旅行会社に就職したが、結婚を機にいったん退職し、現在は監査法人でマーケティングの仕事に就いているという。「新たな仕事や環境に飛び込むことにはもちろん不安がつきまといますが、自分を成長させてくれる多くの人との出会いや経験はとても刺激的で、世界が広がります。常に仲間と協力しながらさまざまなことに挑戦することは、女子部時代から変わらず大事にしています」

 スポーツ団体に勤務している外山さんには、1歳と3歳の子供がいて、保育園へ送り迎えしつつ、東京オリンピックの準備を精力的にこなす日々だそうだ。話はイギリスの大学院に留学した経験にも及び、「海外に出てみると、日本はとてもユニークな国だということがよく分かる」などと話すと、在校生たちは興味深そうに聞き入っていた。

 会場には掲示用のボードが設置され、各卒業生にぜひ聞いてみたい質問が貼り出されていた。音楽教室を主宰する塚田さんには、「好きなことを仕事にするにはどうしたらいいのか」という質問が集中していた。「仕事をするための環境が整っている会社勤めとは異なり、教室を開くための場所を確保するところから、自分で始めなければなりません。日々生じる小さい問題を一つ一つ自分で解決しなければならず、問題解決能力が求められますね」などと、丁寧に回答していた。

 IT企業に勤める田中さんは在宅勤務の経験を話した。「在宅勤務は時間が不規則になりがちで、逆に大変ではありませんか」という質問に対し、「時間を上手に使うことができれば大丈夫です。仕事と子育てを両立させたい人にとっては、便利ですね。家の中のことと仕事を並行して進めることができます。私は、在宅勤務が自分に合っていると思います」と体験を語った。

 「交流会」の後、生徒たちは、「どんな仕事に就くか決めてから大学を選ぼうと思っているので、とても参考になりました」「社会にはどのような選択肢があり、結婚・出産と仕事をどのように両立させればよいのか、具体的にイメージすることができました」といった感想を話していた。

卒業生にとっても貴重な出会いの場

多くの卒業生を送り出してきた学習院女子の校舎
多くの卒業生を送り出してきた学習院女子の校舎

 同校では、この「交流会」のほかに、卒業生1人を招いて少人数で語らう「ミニ交流会」も開催されている。また、学校が主催して卒業生の大学生や社会人の話を生徒全員や学年ごとに聞く会もあり、在校生と卒業生の交流は非常に盛んだ。

 「女子部での生活があってこそ、今の自分があるという気持ちを、皆さん強く持っています」と長沼教頭は話す。「こういった場で、自分の仕事や家庭について、系統立てて的確に説明できるのも、グループで話し合う、スピーチやプレゼンテーションを行うといったことを学校生活の中で頻繁に行ってきたためではないでしょうか」

 交流会スタッフの横江さんも「卒業生にとっても、自分のキャリアを振り返るよい機会となります。また、世代が異なる他の卒業生との貴重な出会いの場であることから、皆さん進んで参加してくれます」と言う。生徒についても、「今後、進路選択の際に、『そういえば、卒業生の方が交流会でこうおっしゃっていた』と、ふと思い出してくれるといいですね」と語った。

 「交流会」は、卒業生から生徒に経験を伝えるだけではなく、そうした気付きの場としても大切な役割を果たしているのだろう。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:学習院女子中等科・女子高等科)

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992216 0 学習院女子中・高等科 2020/01/10 05:24:00 2020/01/10 05:24:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200109-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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