市民・行政と連携したまちおこし授業…西武文理

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 新校長の就任を機に、カリキュラムの充実を図る西武学園文理中学校(埼玉県狭山市)。中学のキャリア教育に導入した取り組みの一つで、市が設置したコミュニティカレッジ「さやま市民大学」と連携し、まちおこしの企画を生徒自ら立案・実施するプロジェクトを取材した。

まちを盛り上げる9か月間のプロジェクト

7月に開催されたレクチャーの様子 
7月に開催されたレクチャーの様子 

 「中学生発!さやま未来構想」と名付けられたこのプロジェクト。中学2年生144人が狭山に関連する六つのテーマに基づき、地域を盛り上げるイベントや制作物の企画立案から実施までを行う。

 プロジェクトは、金曜日6限の特別活動の時間を利用して行われる。まず7月に市役所職員と市民大学による狭山市のレクチャーを受け、夏休み前にテーマごとのグループ分けを行った。2学期には月に2度のディスカッションを通してアイデアを固める。12月から企画の具体化に入り、3学期に企画の完成形を市民も交えた場で発表する計画だ。テーマによっては、2月頃に行われる地域のイベントで企画の披露を行うという。


六つのグループでアイデア会議

「川のあるまちの魅力を生かす」グループがアイデアをまとめる様子
「川のあるまちの魅力を生かす」グループがアイデアをまとめる様子

 取材では、9月23日に行われた第2回のディスカッションを訪れた。1テーマにつき24人の6グループに分かれ、進行する。中2のクラス担任がディスカッションの進行を担当し、市役所や市民大学のスタッフ数人も情報提供や助言を行う。

 今回は企画の核となるアイデア会議が中心だ。「さやまの日本一をプロデュース」グループは、「1人20個の案を出す」を課題にそれぞれが頭をひねった。担当教員も例として、七福神めぐりや名産品・B級グルメの開発、世界記録への挑戦などを提示。数多くの案から数案に絞り込むという。

 「2020東京五輪・外国人向けおもてなしを考える」グループは、学校近くの「霞ヶ関カンツリー倶楽部」が東京五輪のゴルフ競技会場となることを踏まえたテーマだ。生徒たちが英語で書かれた町のマップや基本会話ガイドなどの案を発表した。「商店街イベントプロジェクト」に取り組むグループは、西武新宿線新狭山駅の商店街活性化がテーマ。商店街の従来の取り組みをヒントに、思いつくキーワードを付せんにメモして並べていく。「さやまの祭プロジェクト」グループは、狭山市で催される祭りの中で、自前のイベントを開催しようというもの。アイデアの参考として、過去のイベントの特色や改善点を洗い出した。

 地元の自然に着目したテーマもある。近くを流れる入間川に着目した「川のあるまちの魅力を生かす」グループは、名産の狭山茶や花見シーズン、さらに人気のゲームアプリなどにヒントを得た興味深いアイデアを練っていた。また「ガーデンシティ・さやまを育てよう」グループのテーマは、個人が自宅の庭園を一般開放するオープンガーデンが市内に多いことを背景とする。市民大学がまとめたオープンガーデンマップを参考に、「花を使って何ができるか」「狭山市に対してどんな提案ができるか」について考えた。

 まだ企画の形は見えないが、ディスカッションは総じてにぎやかで楽しげ。「お祭り好きだから祭プロジェクトに参加した」とある生徒が言うように、関心のある分野にどれだけ没入できるかが今後の展開を決めそうだ。

思わぬ出会いで実現した連携

プロジェクトを担当する進路指導部の岡村陽子教諭
プロジェクトを担当する進路指導部の岡村陽子教諭

 このプロジェクトのように、学校と市民、行政の3者が手を携えて活動を立ち上げる例は多くない。どのように体制をつくってきたのか、プロジェクトを担当する進路指導部の岡村陽子教諭に聞いた。

 「従来、中2では2日間の職場体験を実施してきましたが、社会に接し大人の仕事を理解するにはあまりに短い。もっとじっくり地元に関わり、社会と交流しながら何かを達成する仕組みができないか。昨年来の教育プログラムの見直しを機に、新たな取り組みを考え始めました」

 当初の案は、学校の庭木の手入れなどを依頼しているシルバー人材センター(狭山元気プラザ内)と連携し、街の清掃業務などにボランティアとして参加する活動だった。そこで依頼のためにセンターを訪れたところ、「より適切なのでは」と紹介されたのが、さやま市民大学だった。

 市民大学はシニア層などが活動の中心だが、「若い世代とも接点を持ちたい」と新たな展開を考えていたところだった。市民大学の小山周三学長が西武文理大学の名誉教授という縁もあり、連携を快諾。スタッフや受講生も加わって学校と話し合い、テーマを立案していった。

 一方で小山学長は、市にも協力を依頼。市は地域に関する知識や情報を提供するほか、企画実現に際して商工会議所などとの連携をサポートする。市の担当者は、西武文理の生徒のほとんどが市外在住という点に注目しており、「市外の人に狭山がどう見えるかを知り、市の活性化に生かしたい」と語る。

新入試も見据えた教育

 実はこの点は、学校側の狙いとも重なる。「6年間通うのに、狭山に関心を持たずに卒業する子は多い。このプロジェクトを通じて狭山に目を向け、市民と生身の交流を経験し、社会貢献する喜びと能力を手にしてほしい」と岡村教諭は話す。

 今年の中学2年生は、2020年から始まる新大学入試の第1陣となる。新入試で問われる、正解がない問題に答える力の育成も期待できそうだ。ただ、岡村教諭は「新入試も見据えていますが、何より本校を選んでくれた子供たちを立派な社会人に育てたい。この体験が、やがて自分なりに世界とつながる下地になれば」とも語る。

 新入試を大きな成長の契機と捉え、地域の人々や行政とつながるこのプロジェクト。「来年の中学3年生では地元企業との連携も考えたい」と、岡村教諭は意欲を見せた。

 (文・写真:上田大朗 一部写真:西武学園文理中学・高等学校提供)

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299988 0 西武学園文理中学校 2016/10/27 05:50:00 2016/10/27 05:50:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20161025-OYT8I50054-T.jpg?type=thumbnail

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