「CA」活動で総合的人間力を育む…西武文理

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 西武学園文理中学校(埼玉県狭山市)で3月20日、総合的探究学習「CA(Creative Activity=創造的活動)」の成果が披露された。「CA」は、教科から発展した探究活動や芸術など多様な講座から自由に選んで探究していく必修選択の学習だ。「CA」の意義を聞き、この日、披露された研究やパフォーマンスの数々をリポートする。

興味に応じて課題を設定し、取り組む授業

CA創設に携わり、「日本民踊」講座の顧問でもある伊藤校長
CA創設に携わり、「日本民踊」講座の顧問でもある伊藤校長

 「CA」は毎週土曜の4時間目に授業として行われている中学の必修選択科目。現在は20講座が設定されていて、授業の範囲を超えて学んでいく「理科」「社会」「英語」の科目、「ロボット・パソコン」「囲碁・将棋」といった趣味、「美術」「生け花」「トールペイント」などの芸術系、そして「ギター」「日本民踊」などの舞台系もある。

 生徒は、年度初めに希望するCAの講座を決めて1年間、所属し、同じ関心を持つ生徒同士、学年の枠を超えて探究活動を行う。同じ講座を複数年続けたり、学年ごとに別の講座を選んだりすることもできる。ただ、希望が集中した場合は抽選になるという。

 伊藤邦義校長は、1993年の中学校開校時にCA創設に携わり、今も「日本民踊」の顧問を務めている。「CA立ち上げ当初のスローガンは『興味から趣味へ、趣味から探究へ』というものでした。通常の教科とは別に、子供たちが興味に応じて自主的に課題を設定し、取り組む授業があっていいのではないか、という考え方です。この方針はずっと変わりません」と伊藤校長は話す。

 「好きなことに取り組む楽しさの中で、教養や思考力、発信力を伸ばします。また、異なる学年同士の交流や協力も狙いの一つで、各学年の人数をなるべく均等にするよう配慮しています。生徒同士で教え、教わりながら自分のアイデアや技能を培い、発表へ向けて活動することで、チームワークや創造性も育つ。そんな『総合的人間力』の育成を狙っています」

1年の学習成果を振り絞る一日

日本の代表的な民踊と和太鼓の演奏を繰り広げた「日本民踊」講座のメンバー
日本の代表的な民踊と和太鼓の演奏を繰り広げた「日本民踊」講座のメンバー
「ハンドベル」講座のメンバーによる演奏
「ハンドベル」講座のメンバーによる演奏

 CAの成果を披露する機会は、9月の「文理祭」と学年末の「卒業公演」の2回だ。3月20日に行われた「卒業公演」では、パフォーマンス系を中心とした10講座のメンバーが校内で1年間の学習成果を披露した。3年生にとっては最後の発表となり、保護者も多く駆けつけていた。

 体育館の「北斗館」では「日本民踊」の公演が行われた。日本の代表的な民踊と和太鼓のパフォーマンスを学年ごとに繰り広げる1時間20分ほどのプログラムだ。「日本民踊」講座では、地元の講師を招いて本格的な踊りを習ったり、伊藤校長が中心となって和太鼓演奏を学んだりしている。毎年、生徒の人気が高く、18年度は27人と最も大所帯の講座になった。

 公演前半の民踊の部では、各学年が男女ごとに着物や法被などの衣装に身を包み、伝統の踊りを披露した。各演目の内容は、進行役のメンバーが2人ずつ舞台前に出て、英語と日本語で紹介していく。

 まずは1年男子が、鮮やかな唐傘を手に躍動感ある「八木節」を。2年は男女合同で「エイサー」を披露し、大小の太鼓を(たた)きながら威勢の良い踊りを繰り広げた。3年女子は「広島木遣(きや)り音頭」で、扇子に鈴を組み合わせた厄払いの「獅子頭」を手にし、繊細で複雑な身のこなしを見せた。

 最後はメンバー全員による「よさこい鳴子踊り」。勇ましい掛け声や全身を使った大きな動きに跳躍を交えた豪快な振り付けだ。両手に持った「鳴子」が刻む軽快な拍子の音も心地よく、観客を沸かせるパフォーマンスとなった。

 続く太鼓の部では、1~3年の各学年が全員で練習した太鼓が披露された。曲目は、いずれも伊藤校長の創作曲がベース。全員での演奏の途中に数人ずつのグループ演奏を挟んでいく構成となっている。

 1年生は8人で「文理太鼓」を演奏した。高校創立時から西武文理の伝統となっている曲目で、卒業公演だけでなく同校の多くの式典やイベントなどで演奏されて、親しまれている。5分間ほどの演奏中、メンバーは見事なバチさばきで強弱のリズムを刻み、中学入学後1年間の成長を見せつけた。

「合奏」講座のメンバーによる管楽器とパーカッションの演奏
「合奏」講座のメンバーによる管楽器とパーカッションの演奏
「パラシュートの科学」をテーマに発表した「理科」講座のメンバー
「パラシュートの科学」をテーマに発表した「理科」講座のメンバー

 2年生の「鬼太鼓(おにだいこ)」は、佐渡地方の「鬼太鼓(おんでこ)」をベースとして創作した曲目だ。舞台中央で2人が力強く連打している太鼓の周りを、鬼の面を付けた残りのメンバーがのし歩くなど、演出にも工夫が光っていた。

 最後は3年生が「雷神太鼓」で演奏をしめた。CA長の島田悠生君の「行くぞー!」という合図で9人のメンバーが舞台に躍り出た。勇ましい掛け声とともに、さまざまな地方の和太鼓のリズムを組み合わせて、雷さながらの豪快な音をとどろかせ、会場から惜しみない拍手を受けていた。

 このほか別会場のサイエンスホールでは、「ハンドベル」講座のメンバーによる、NHK教育テレビの「ピタゴラスイッチ」の曲や「青いベンチ」という曲の演奏があり、「合奏」講座のメンバーによる管楽器とパーカッションのにぎやかな演奏もあった。この会場の入り口には「トールペイント」や「はり絵」の講座のメンバーによる作品も展示され、多くの生徒らが足を止めて鑑賞していた。多目的ホールでは「アコースティックギター」講座メンバーによるソロ演奏も披露された。

 教科系では「理科」講座が「パラシュートの科学」をテーマとした発表を行った。1年間の研究をまとめた発表のほか、実際に校舎2階から設計・製作したパラシュートを落として着地するまでの時間の長さを競う実験も行われた。

グローバルな世界につながる伝統文化の学び

 「日本民踊」を指導している伊藤校長は、「本校は生徒が世界で活躍する将来を想定し、英語や国際教育に力を入れています。外国人と交流する際に、自国の文化について語り、演じることができるのは大きなアドバンテージになるでしょう」と、伝統文化の学習とグローバル教育との親和性を指摘する。

 「日本民踊」講座をリードしてきた3年生の代表者3人は3人とも、将来、海外で活躍する夢を持っているという。自分の将来を見据えたとき、日本の伝統文化を身に付け、生かしていくことに意義を感じているようだ。

 CA長の島田君は「将来は国連に勤めたい」と志望しており、副CA長の田村素子さんは「留学先に今日のビデオを持っていき、現地の人に見せながら演じて見せたい」と夢を話す。同じく副CA長の寶積愛さんも「和服の着方や伝統的な踊りを身に付けたことは、将来のためになると思う」と話した。

 3人は3年間ずっと「日本民踊」を継続してきたという。島田君は、「うまくいかない時も話し合いを通じて、互いに指摘し、受け入れる関係が作れた」と活動を通しての自分の成長を感じている。田村さんも、「人前で緊張せず楽しんで発表できるようになった」という。寶積さんは「発表に向けて休日などにも練習してきた。CAの中で一番練習時間が長いのでは。大変だったけど、3年間楽しかった」と達成感を話した。

 中3生たちは、この「公演」の思い出を胸に高校生活に飛び込んでいく。この日の達成感は、その先の大学や、さらに先の国際舞台へと、新たな一歩を踏み出す力になることだろう。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:西武学園文理中学・高等学校)

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550365 0 西武学園文理中学校 2019/04/24 05:21:00 2019/04/24 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190423-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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