母校の懐で夢を探した日々…横須賀学院卒業生

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 横須賀学院中学高等学校(神奈川県横須賀市)には、高校から入学する「一般」「選抜」クラスとは別に、中1から6年間学ぶ「中高一貫コース」がある。この一貫コースで同級生だった卒業生3人が、母校に集まった。それぞれが経験した学校生活、母校への率直な思いを聞いた。

個性は強いが仲のいい「一貫」生たち

 和田晃一さんは高3のとき1年間のデンマーク留学に旅立ち、この春、帰国したばかりだ。立命館アジア太平洋大学(APU)に合格し、来春に大学進学を控える。ともに中高一貫コースの同級生で、今年、東京理科大学に進学した中村一哉さんと、青山学院大学に進んだ榊原芙侑(ふゆ)さんと共に、母校の思い出を語ってもらった。

「人と違っていい。個性を受け止めてもらえる学校です」と和田晃一さん
「人と違っていい。個性を受け止めてもらえる学校です」と和田晃一さん

 ――3人は中高一貫コースでしたね。学校生活はどんな雰囲気でしたか。

 中村 中高一貫コースを、学校では「一貫」と呼んでいます。「一貫」には個性の強い生徒が多く、それぞれ趣味も関心も違うけれど仲がいい。家族のような感じです。

 和田 先生たちは生徒の強い個性を受け止めて、しっかり向き合ってアドバイスしてくれました。それもメリット、デメリット両方を一緒に考えてくれます。

 榊原 「一貫」の生徒同士は、ツーカーの関係なんです。誰かにつらいことがあれば、気配でわかります。私はソフトテニス部に6年間所属し、主将も経験しました。授業のときは「一貫」の生徒だけですが、クラブ活動は「一般」や「選抜」の生徒とも一緒にやるので違いが分かるんです。逆に、クラブ活動のおかげで「一般」と「選抜」の生徒とのコミュニケーションの取り方を学びました。

 中高一貫コースは、1クラス35人以下で構成している。少人数なので、密な関係が作りやすいそうだ。

 ――学校全体のイメージも紹介してください。

 和田 横須賀学院は生徒と先生、人と人との関係性を大切にしています。最初に実感したのは、中学入学前のオリエンテーションでした。班に分かれて大縄跳びやビーチボールなどのミニゲームを楽しんだのですが、どれも仲間と助け合う内容になっているんです。だから入学式のときにはもう顔見知り同士で、うまく中学のスタートが切れたように思います。

 中村 下級生と一緒の遠足があります。毎年5月に、中学1年生から3年生までが縦割りで班を作り、協力してゴールを目指します。3年生が班長になり、1年生、2年生と共に活動するので、学年を超えた交流の機会になっています。

 榊原 生徒の意見に耳を傾けてくれる学校です。たとえば昨年、生徒会が主導するドリームプロジェクトとして、トイレ回りや洗面台の整備、美化が実現しました。全校生徒アンケートなどで生徒の意見や他校の調査結果をまとめて校長先生たちに訴え、認めてもらいました。みなさんにもぜひ見てほしいです。

生徒をとらえるキャンパスの印象

 中村さんは横須賀学院小学校からの内部進学生で、和田さんと榊原さんは中学受験組だ。

「一貫は、個性がバラバラなのに仲がいい」と中村一哉さん
「一貫は、個性がバラバラなのに仲がいい」と中村一哉さん

 榊原 入学式が印象深かったです。チャペルの壇上から先生が優しく語りかけてきて、式典中は聖歌隊の歌声が響いていました。母親と「穏やかな雰囲気のすてきな入学式だったね」と話したのを覚えています。

 和田 中高ではキリスト教青年会の会長をやりました。チャペルの壇上で、全校生徒を前に行事報告などを発表するときは緊張しましたけれども、思い出深いです。

 同校のキャンパスには、キリスト教学校の雰囲気が漂う。内部進学者は慣れているが、中入生にとっては新鮮そのものだ。また、横須賀というキャンパスの立地も、生徒たちの心をとらえる。

 和田 中学に入学したばかりのころは、隣の三笠公園にある記念艦「三笠」の見学にはよく行きました。近いですし、小中学生は観覧料金が無料なんです。

 中村 春と夏の1週間、横須賀学院が連携している葉山インターナショナルスクールでボランティア活動をしました。米軍横須賀基地の子どもが多く、まだ日本語に慣れていない幼稚園児や小学生に簡単な英語の通訳をします。子どもたちと一緒にたくさん遊びました。楽しくて6年間に3回行きました。

グローバル教育への滑らかな助走

 生徒たちはこの通訳ボランティアなどを通じ、自然な形で外国人に触れ、実践的な英語を学ぶ。こうした滑らかな助走によって、本格的なグローバル教育に入ることができる。

「わかりあえる仲間がいる、それが安心。そして楽しい」と榊原芙侑さん
「わかりあえる仲間がいる、それが安心。そして楽しい」と榊原芙侑さん

 ――留学してきた和田さんは、母校のグローバル教育について、どう思いますか。

 和田 中1の夏に韓国英語村のイングリッシュキャンプに行きました。中3の海外研修は2週間ほどの日程ですが、とても上手にできていて、私が行った年は、まずシンガポールで多民族、多言語の国を体験し、バスで国境を越えてマレーシアに入り、現地の小学校を訪問します。文化の違いを体験するプログラムでした。それから、いよいよオーストラリアです。10日間、ホームステイをしながら、現地の学校で語学研修をしました。高2には、オーストラリアのゴールドコーストでの語学研修とホームステイ、サイパンでの体験学習と現地での交流の機会もありますよ。

 キリスト教学校らしいプランもある。その一つが、バングラデシュでの寺子屋訪問。別名ACEFスタディツアーだ。

 和田 ACEFはNPO「アジアキリスト教教育基金」の略称で、アジア最貧国といわれるバングラデシュに寺子屋を作るなど、青少年の育成を支援している団体です。高2の夏、このツアーに参加し、聖書科の先生とともに農村でボランティア活動をしながら現地の生活を体験しました。その中で、たとえば清潔さについての考え方と行動が、まるで違うことに驚きました。違いを知らずに判断することは差別につながる、文化の異なる人との生活が大切と思い、長期留学を検討しました。

 和田さんは、ホームステイや学校生活を通じて異文化に触れるために、日本人留学生が少ないデンマークを留学先に選んだという。

 中村 先生の中にも、留学体験から異文化理解があったり、社会の課題に向き合ったりしている方がいて、個性が強いです。だから、個性の強い生徒を受け止めてもらえるんです。

 和田 留学時期や留学先、そして帰国してからの大学進学についても、担任の先生に相談し、たっぷりお世話になりました。

夢に向けて自分の学びの基礎を作る

 中高一貫コースは原則的に6年間継続するが、生徒がコース替えを希望するケースもあるという。

中学の学習室では月曜から土曜の午後6時45分まで勉強できる
中学の学習室では月曜から土曜の午後6時45分まで勉強できる

 中村 中学は一緒で、高校入学時に「選抜」に移った生徒が2人いました。話を聞くと、「選抜」と「一貫」は雰囲気が違いますね。バリバリ、ガリガリと勉強したいなら「選抜」、コツコツ伸び伸びなら「一貫」です。成績の差ではなく、タイプの違いです。「一貫」からも一般入試で大学に進学していく生徒はたくさんいます。

 教員の両親を持つ中村さんは、教員に憧れて夢をかなえるため、指定校推薦で東京理科大学に進み、教職課程を取ってコツコツ学んでいる。その基礎となったのは、中学時代に学習室で培った学習習慣だ。

 中村 中1のときは、テストの順位で張り出しがある30位に入れなかったのですが、毎日、クラブ活動が終わってから中学の学習室でその日の宿題をして帰宅するようにしました。それで学習習慣がつき、中3の時には5位になりました。学習室には、分からないときには質問できる先生がいて教えてもらえます。午後6時45分まで使えるのですが、入退室時に保護者に自動でメール連絡が行くシステムだったので、親も安心していました。

 デンマークから帰国した和田さんは、来春からAPUに進む。語学を鍛え、異文化を学びたいという。榊原さんも、青山学院大学で夢に向けて法学を学んでいる。

 「横須賀学院は、一言でいうなら包容力のある学校」と中村さんは話す。同校の懐で、生徒たちは、ゆっくりと自らの夢を探していることだろう。

(文と写真:水崎真智子 一部写真:横須賀学院中学高等学校提供)

無断転載禁止
210863 0 横須賀学院中学高等学校 2017/11/30 05:20:00 2017/11/30 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20171128-OYT8I50062-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

西日本ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
800円650円
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様にコーヒー1杯サービス
NEW
参考画像
2000円1800円
NEW
参考画像
1100円550円
NEW
参考画像
790円720円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ