【特集】「敬神・愛人」の精神で感謝の心を育てる…横須賀学院

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 横須賀学院中学高等学校(神奈川県横須賀市)は、建学の精神「敬神・愛人」に象徴されるキリスト教精神を教育のベースとしている。朝の礼拝や聖書の授業、年間を通じての宗教行事、地域での奉仕活動を通して生徒たちはキリスト教の教えに触れ、日常への感謝や人の痛みを知って「共に生きる」ということについて思いを致すようになるという。同校のキリスト教教育の概要と地域とのかかわり方などを紹介する。

生徒たちの心を落ち着かせる朝の礼拝

「地域に愛される学校にしたい」と話す川名校長
「地域に愛される学校にしたい」と話す川名校長

 横須賀学院の前身である青山学院横須賀分校は、占領下の1947年、米海軍横須賀基地司令官のデッカー提督が、キリスト教学校を通じての平和と民主主義の教育を提案したことに始まって創立された。この分校の撤退が決まったとき、地元の教会関係者が協力して学校を継承し、1950年に創立したのが現在の横須賀学院だ。それだけにキリスト教教育は同校のベースとなっている。

 グローバル社会で活躍できる人材を育てることを目指して同校もカリキュラムを変化させているが、神を仰ぎ敬い、自分を愛するように隣人を愛する「敬神・愛人」の基本精神は、すべての学びのベースとして大切に受け継いでいる。川名稔校長によると、入学したばかりの頃は、キリスト教校のたたずまいに戸惑いを感じる生徒たちも、卒業する頃には「日頃の礼拝で触れた言葉が支えになった」と振り返ることが多いそうだ。川名校長自身、生徒から「苦しい時に、ここで学んだことが救いになりました」と聞かされたことがあったという。「心優しい人に育ってほしい。他人の痛みを知って温かさに感謝する。そんな人間の基本となることを大切に伝えていきたい」

 そのキリスト教教育の柱となっているものが四つある。毎朝の礼拝と6年間を通して行われる聖書の授業、年間を通じて行われるさまざまな宗教行事、それに奉仕活動だ。

 三笠公園に隣接し、潮の香りが漂うキャンパスで、生徒たちの一日は礼拝から始まる。生徒たちは授業開始前の15分間、聖書の言葉に触れ、賛美歌を歌い、祈って心を落ち着かせる時間を過ごすという。

「聖書の言葉を身近に感じて、心のどこかに留めてほしい」と話す安達先生
「聖書の言葉を身近に感じて、心のどこかに留めてほしい」と話す安達先生

 中学宗教主任・聖書科の安達正希先生によると、毎朝の礼拝はコロナ禍で登校ができなかった期間中にも5月以降オンラインで続けられた。「登校できなくても生徒の生活リズムを整え、横須賀学院とのつながりを大切にし、安心感を得られる場所であってほしい」という思いがあったそうだ。「学校再開後、『あのとき髪を切ったのですね』と生徒に言われ、よく見ていてくれていたなと思いました」

 聖書の授業は中高6年間を通じて毎週1コマ行われる。キリスト教の教えを学ぶとともに、人生についての考えを深める場でもあるという。特に中学の3年間では、人の優しさに感謝し、人の痛みを知る「共に生きる」に焦点を当てて聖書の学びを深めていく。「礼拝の中でいろいろな教員が話をすることで、教科とは違った視点からの対話も生まれます。そのため、全人格的なコミュニケーションの場となっています」

 安達先生は、「2000年から3000年も昔に書かれた聖書が、現代の私たちにも問いかけてきます。一人一人の人間が大切な存在として命を与えられ、生かされているということを始めとして、聖書の言葉を身近に感じて、心のどこかに留めてほしいと願っています」と話す。

季節ごとの宗教行事や奉仕活動の実践も

年間を通して様々な行事が季節を彩るチャペル
年間を通して様々な行事が季節を彩るチャペル

 文化祭や体育祭などの学校行事とともに、さまざまな宗教行事が年間を通じて行われているのもキリスト教校ならではの特色だ。

 毎年6月には「花の日礼拝」が行われる。生徒たちが持ち寄った花でチャペル講壇を飾ったあと、地域のキリスト教系の病院や消防署などを訪問し、日頃の感謝の思いをこめて花を贈る。もともとは、アメリカの教会が子供のための礼拝として始めたのが起源だとされ、「私たちも神様によって育てられている」ということ、また、「神の愛を感じる」という意味が込められているという。11月に行われる「収穫感謝礼拝」では、生徒たちは果物を持ち寄り、神に(ささ)げて感謝し、礼拝のあと、この果物を持って近隣の教会や施設、病院などを訪問する。

 12月に行われる「クリスマスページェント」では、イエス・キリストの降誕劇を上演する。この劇の練習を繰り返し、本番を乗り越えることは、生徒たちにとって自分に自信を持つよいきっかけとなるという。同じく12月には、高校聖歌隊、OB・OGの聖歌隊「bless」が外部のオーケストラとともに横須賀芸術劇場でヘンデル作曲の「メサイア」を歌う「メサイア公演」も行われる。またその中で、「ハレルヤコーラス」を全員で合唱する。

 奉仕活動も重要な教育機会だ。同校には「中学高等学校キリスト教青年会」があり、キリスト教の精神に基づいた奉仕活動を行っている。例年、夏休み中に青森県の八甲田山山麓にある教会に泊まりながら行う「八甲田ワークキャンプ」では、卒業生の農家を手伝って大根の収穫から洗い、カット、箱詰めまでを体験する。日頃、食卓にのぼる野菜に込められた農家の思いや労苦などを感じ取り、食への感謝を経験するという。

 このほかにも生徒たちは、中学聖歌隊、ハンドベルクワイア、隣人愛献金の呼びかけ、近隣の施設を訪問しての草むしりなど、さまざまな活動を通じて「敬神・愛人」の精神を実践している。

ますます地域に愛される学校を目指して

多目的に利用できるカフェテリア
多目的に利用できるカフェテリア

 花の日礼拝、収穫感謝礼拝などで地域の施設を訪れるほかにも、同校は地域に根ざした学校を目指し、さまざまな取り組みを行っている。中学3年生の1年間をかけて行われるキャリア教育では、地元のロータリークラブの協力のもと、さまざまな業種の企業で職業体験を行い、生徒たちが将来を考える機会としている。「地域、そして人々に愛される学校を目指して、今後は地域の方への体育館やチャペルなどの施設開放、運動部の生徒を中心とした校外清掃、交通安全週間での交通整理などを通して、さらに地域との結びつきを深めていきたいと考えています」と川名校長は話す。

 今年、同校は創立70周年を迎えた。記念事業として大チャペルにドイツのカール・シュッケ社のパイプオルガンが設置される予定だ。中庭には多目的に使用できる広々としたカフェテリアも整備された。一人一人の生徒たちに、そして地域にも、ますます愛される学校になっていくことだろう。

 (文:山本華子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:横須賀学院中学高等学校)

 横須賀学院中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1612156 0 横須賀学院中学高等学校 2020/11/12 05:01:00 2020/11/12 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201109-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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