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【特集】実体験重視の理科教育で課題発見・解決力を養う…実践学園

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 実践学園中学・高等学校(東京都中野区)は、中高一貫教育の中で実体験を重視したオリジナルの理科教育を実施している。校舎屋上に武蔵野台地の自然を再現した施設「実践の森」を拠点に、東大名誉教授による生物分野の通年特別授業や、大学の研究員でもある理科教師による実験中心の指導などが行われている。同校を訪れて、その内容や狙いを取材した。

東大名誉教授による通年特別授業も

中高一貫教育で目指す目標について話す野崎副校長
中高一貫教育で目指す目標について話す野崎副校長

 「本校の中高一貫教育では、『倫理・道徳 リベラルアーツ&サイエンス』を、教育の一つの柱としています。知識の習得に偏ることなく、自ら考え、判断して行動するための知性と教養を身に付け、高い倫理観と道徳心を備えた人材を育てたいと考えています」。中高一貫コースを担当する野崎啓太副校長はこう話す。

 この「リベラルアーツ&サイエンス」教育として、同校の理科の授業は実体験を通して物の見方や考え方を養うことに重点を置いている。その拠点となっているのが屋上の環境教育施設「実践の森」だ。2008年に完成したこの施設は、武蔵野台地の自然を再現していて、100種以上の植物が栽培され、雨水を循環利用した小川では、メダカやドジョウが泳いでいる。また、翌09年にはこの森の隣に「実践農園」が開かれ、生徒たちはここでサツマイモを栽培したり、田植えや稲の収穫を行ったりするようになった。

 東京都心部に位置する学校ながら、校内を緑化して体験教育に生かしている取り組みが評価され、「実践の森」はこれまで都市緑化機構の「環境大臣賞」、都の「東京都緑の大賞特別賞」など、さまざまな賞を受賞している。

 「理科の授業以外にも、生徒の自主的な研究サークルである『環境プロジェクト』が発足し、『実践の森』『実践農園』での自然観察や栽培活動の様子を『全国高校生自然環境サミット』で発表するなどしています。自ら問題や課題の発見に努め、友人とともにそれを解決するという活動が、この『実践の森』『実践農園』で実現しているのです」と、野崎副校長は話す。

「実践の森」での阿部東大名誉教授による特別授業
「実践の森」での阿部東大名誉教授による特別授業

 こうした理科教育をさらに、生徒の思考力・表現力を伸ばす内容に発展させようと、同校は14年前から、同校理事・教育顧問でもある阿部宏喜東京大学名誉教授の監修の下、独自の理科教育カリキュラムに取り組んでいる。さらに、2017年からは、阿部名誉教授が年間を通して特別授業を行うようになった。

 「中1・2では生物分野を2年間かけてじっくり学びます。中1で『実践の森』探索を行うと同時に、阿部名誉教授とともに東京大学田無演習林や国立科学博物館附属自然教育園の見学を行います。中2では、阿部名誉教授によるカツオやマグロに関する特別授業を受け、葛西臨海水族園へ見学に行きます。実体験によりさまざまなものの見方、考え方が養われ、さらに阿部名誉教授と対話することにより、物事を体系的に表現する力が付きます」。高校生も、阿部名誉教授らによる大学模擬授業などを受け、科学的な方法論を身に付ける機会を得ているそうだ。

大学研究員でもある理科教師が指導

大学研究員でもある理科の二宮先生
大学研究員でもある理科の二宮先生

 物理の分野では、立教大学先端科学計測研究センター研究員でもある理科の二宮一史先生が、自ら考案した実験を中心として、生徒の興味関心を引き付ける授業を展開している。「力学の実験では、一般に既成の教材である滑車が使われるのですが、加速の様子がよりよく分かるのではないかと思い、オモチャのミニ四駆を使ってみました。音の共鳴を調べる実験でも、アクリルパイプや音響スピーカーなど、身近なところで手に入るものを使い、生徒がいろいろと工夫しながら取り組んでいます」

 理科の授業では、まず「法則」を学び、それを確認するために「実験」を行うことが多いが、二宮先生の授業では、まず実験をして、その「結果」からどういう「法則」が得られるかを、生徒たち自らが考えることを中心にしている。「実験で得られたデータをよく吟味し、どのような結論が言えるか、自分たちで考察する力を養っていくのです。その意味で、私たちの実験に、『失敗』という概念はありません。グループで実験し、互いに話し合って結論をまとめることも、主な目的の一つです」

二宮先生が工夫を凝らした理科の実験授業
二宮先生が工夫を凝らした理科の実験授業

 二宮先生は実践学園中学・高等学校を卒業したのち、立教大学に進学。2016年から実践学園で専任教師を務めている。同時に立教大学先端科学計測研究センターに在籍し、博士号を取得している。二宮先生の恩師であり、今は上司でもある野崎先生は、「専門の道を究めている二宮先生から直に教わることで、生徒全体にいい影響が出ています。勉強への動機付けになると同時に、大学院進学や研究者の道を歩むことが、より身近に感じられるようになります」と話す。

 二宮先生自身は、「博士号を取るような研究者もどんどん教育現場に加わっていけるようになるべきかと思います」と言う。「調査して考え、まとめるという研究スタイルを基に、授業をデザインすることができます。自身の知識を生徒たちに直接伝えることで、教育者として新しい研究者を育てる機会になっているとも言えます」。二宮先生が授業をするようになってから、高校の文系選択者からも、「実験が苦手だったけど楽しめた」「あきらめずにやり切れた」という生徒が出てきているという。

 今年度は新型コロナウイルス感染の影響により、阿部名誉教授の特別授業を始め、さまざまな活動が中止となったが、新年度にはそれらを再開させていく予定だ。「本校の軽井沢セミナーハウスでは、『野鳥の森ガイドウォーク』や阿部名誉教授とのディスカッションを行うサマースクールを開催します。教室の外で実体験に触れると、やはり生徒の表情が見違えるように生き生きとしてきます。これらの体験を通し、自ら考え、友人とともに問題を解決する力を、さらに伸ばしていってほしいですね」と、野崎先生は期待を込めた。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:実践学園中学・高等学校)

 実践学園中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1910441 0 実践学園中学・高等学校 2021/03/15 05:01:00 2021/03/15 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210312-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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