躍進インターナショナルコース、7・8割が海外大へ…広尾学園

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 広尾学園中学校・高等学校(東京都港区)は、昨年から2年連続して「インターナショナルコース」生の7、8割を海外大学へ送り出している。設立当初は生徒数の2割ほどだったというが、2015年から開始したアメリカへの大学視察ツアーをきっかけとして飛躍的に海外進学を伸ばしたという。コース統括長と、海外大学に進んだ卒業生に話を聞いた。

米大学視察ツアーで海外進学への意欲を刺激

インターナショナルコース統括長の植松久恵教諭
インターナショナルコース統括長の植松久恵教諭

 広尾学園が中学校・高等学校に「インターナショナルコース」を新設したのは、男女共学化に踏み切った2007年。英語力を鍛え、将来は国際的に活躍できる人材を育成することを目標に新設されたが、当初、海外大学を志望する生徒は2割ほどにとどまっていたという。

 「生徒の第1志望の大学に進学させたいというのが、私たち教師の一番の願いです。大学は最後の4年間で学びの総仕上げをする場所。せっかく時間とお金をかけるのなら、少しでも力を伸ばしてくれる大学に入ってほしいのです」と、コース統括長の植松久恵教諭は語る。

 当時の状況を残念に思った植松教諭は「私たち教員が海外大学の魅力を十分に伝えきれていないのではないか」と反省。2015年の春休みに初めて、中3以上の生徒を連れてアメリカ西部のロサンゼルスを中心に3日間の行程で、都心や郊外、規模も大小の異なる8校の大学を視察した。以後、毎年、この視察ツアーを行っている。

 「1年ごとにロサンゼルス中心の西海岸と、ボストン中心の東海岸を回ります、この視察ツアーが始まってから、海外大学の志望者が増えました。昨年はインターナショナルコース全体の8割の生徒が海外大学へと旅立ちました。今年も7割の生徒が海外大学へ進学を決めています」

チアリーディングと海外大学受験を両立

中川達刀さん(左)と田辺雛子さん
中川達刀さん(左)と田辺雛子さん

 今春、同校を卒業した田辺雛子(たなべひなこ)さんは、第1志望である米カリフォルニア州のポモナ大学(Pomona College)への進学が決まった。田辺さんが海外大学への進学を決心したきっかけは、この最初のアメリカ大学視察ツアーに参加したことだったという。

 「『誰かの役に立ちたい』」という夢が見つかりました」と田辺さんは話す。ツアーの中でポモナ大学を視察し、興味を持っていたオーガニック食材や環境問題について、総合的に学んだり、実践できたりすることを知り、白羽の矢を立てた。

 田辺さんは、中学時代からチアリーディング部に所属してきた。「中学高校と夢中で取り組んだチアリーディングという競技は、危険が伴います。だからこそ、チームメートを信頼し、感謝して臨むのです。体育館を掃除する人、練習に付き合ってくださる顧問の先生を始め、すべての人への感謝の気持ちに突き動かされたかもしれません」

 アメリカの大学入試はSATやACTという標準テストの結果に加え、高校の成績の評定、クラブ活動やボランティア、志望動機を記したエッセーによって合否が決まる。

 「最後まで厳しい部活動をやりきったことが自信になりました。ちょうど高3の夏休みのころ、出願用のエッセーを準備していたのですが、部活の練習が午後からならば、朝、登校してエッセーを書き、先生に見てもらってアドバイスをもらう。練習後に帰宅して、書き直したものをまた翌朝見てもらう。その繰り返しでどんどんエッセーが良いものになりました」

 エッセーを準備する期間は、自らの志望をはっきりさせていく過程でもある。「実は出願後もためらいと迷いがありました。それでも決め手になったのは、出願するエッセーの準備をしているときに、これまでを振り返ってみて、さまざまな人への感謝の気持ちが湧いてきたことでした」と田辺さんは話す。「ポモナ大学にも、チアリーディング部を作りたい」。それが、今夏の終わりの渡米を前に田辺さんが抱いている夢だ。

インターンシップで宇宙開発への夢を広げる

海外から多くの大学が来校して説明会を開く
海外から多くの大学が来校して説明会を開く

 2018年春に同校を卒業した中川達刀(たつわき)君は昨秋、アメリカのジョージア工科大学に進学し、現在、航空宇宙工学を専攻している。

 海外大学を志望したのは高校1年の時だったという。「『大学は海外で』と思い始めたきっかけは、高2の夏休みにボツワナのサマーキャンプに参加して、自分を取り巻く環境について恵まれていると感じたからです。そこから高3の夏まで将来について漠然とした思いを持っていましたが、大学への出願用エッセーを準備する時期になって絞り込めました。YouTubeで視聴したイーロン・マスク氏のスピーチがきっかけで、宇宙事業への夢が膨らんだんです」

 その後、たまたま友人に誘われて宇宙事業開発のイベントに参加したところ、そこで宇宙ベンチャー企業の代表者と出会ってインターンシップを申し込んだという。

 進路指導を担当した植松教諭は「宇宙開発をしたいという人は世界中にたくさんいます。その中から大学に情熱を認められるには、何らかの説得力が必要です。そこで関係企業へのインターンシップを勧めました。学校として交渉役はしましたが、コネクションを見つけてきたのは中川君本人です」と目を細める。

 「英語をブラッシュアップするために、身の回りのものをすべて英語に置き替えました。携帯電話も英語バージョンにして、好きなサッカーの記事も英語のサイトで読むようにしました」と中川君は話す。

 大学ではインド、トルコ、中国と国際色豊かなルームメートたちと寮生活を楽しんでいるそうだ。部活はロケット部に所属し、キャンパスと図書館と寮を往復する毎日だが、充実しているという。これから海外大学を志望する後輩たちに向けて「いろんな人の思想に触れたり、誘われて出かけたりしてほしい。どんどん人に出会うとチャンスが広がることを伝えたいですね」と話した。

 これまで、海外の進学先はアメリカ中心だったが、毎年5月にはヨーロッパの大学関係者が8校来校する。昨年度卒業し、イタリア・ミラノのボッコーニ大学に進学した生徒もいる。最近、来校したスペインの大学に関心を寄せている生徒もいるそうだ。今では年間200校以上の海外大学から来校するという。同校は、まるで地球儀を回すように、さまざまな国に生徒を送り出している。

 「変わりゆく社会を楽しみにできるような、そこにロマンを描けるような子供たちを育てていきたいですね」。植松教諭の夢もまだまだ続く。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:広尾学園中学校・高等学校)

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687699 0 広尾学園中学校・高等学校 2019/07/19 05:21:00 2019/07/19 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190711-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

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