体験型の夏講習で思考力・表現力を鍛えよう…多摩大聖ヶ丘

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 多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校(東京都多摩市)は、今年から新たな夏の講習「A知探Qの夏」をスタート。これまで実施してきた講義中心の講習を「体験型」とし、生徒たちが「学ぶ楽しさ」「学ぶ喜び」を実感できる内容へと進化させている。7月下旬に行われた「A知探Qの夏」を見学し、石飛一吉教頭と国語科担当の佐野彩雪教諭に開講の経緯などについて話を聞いた。

学年の枠を超え、知的好奇心を刺激

講習改革の経緯を語る石飛教頭
講習改革の経緯を語る石飛教頭

 同校は「学びの主役は生徒」を合言葉に、体験的学習やフィールドワーク、異文化交流などをカリキュラムの一環として取り入れている。今年は例年1学期終了後に行う夏の講習を全面的に改革した。「叡知(えいち)探究」にかけて「A知探Qの夏」と名付けたこの講習は、生徒が自ら学び、探求する楽しさが感じられる内容を目指している。

 夏の講習をリニューアルした経緯について、石飛教頭は「従来の夏の講習で、果たして生徒の知的好奇心に刺激を与えられるのか、という反省がありました。また、2020年度から高校で全面実施される新しい学習指導要領を先取りし、中学校から探究活動を始めたいと考え、講習の改革に至りました」と話す。

 「A知探Qの夏」は国語、数学、理科、社会、英語、音楽、体育の7教科28講座を用意し、講座内容は全教員が各々の専門性を生かして計画する。例えば、歌舞伎の専門家や落語家を講師として招き、日本の伝統文化を学ぶ講座や、東京・八王子の農家でブルーベリーを収穫し、その特性や利用例を探究する講座、福島県会津若松市へ現地調査に赴き、歴史や経済、地理的特性を理解する社会科フィールドワークを行う講座などがある。同校の教員だけでなく、各界の専門家や地域の人々、さらには自然からも学ぶ体験重視の学びが特長だ。

 講座は4日間を1セットとし、3日間は学習、最終日はリポート作成や発表の練習を行うという構成だ。これを7月下旬に3セット行い、9月15日に開催される文化祭「聖祭」で成果を発表する。

 講座は選択制で、学年を超えて縦割りで行われることも大きな特長。石飛教頭によると、同校は全校生徒で700人程度と比較的少人数なので、先輩と後輩の関係を築きやすいという。講座を縦割りにすることで、後輩が先輩から学ぶだけでなく、先輩も後輩から刺激を受け、それぞれが個性を発揮しつつ多様な考えを学び合うことができる。講座は1時間30分と長めに設定されているが、アクティブラーニングやグループ学習を織り交ぜ、生徒が集中して取り組めるような工夫もしている。

「発明」を通して語彙力や表現力を培う

グループ代表としてアイデアを発表する生徒
グループ代表としてアイデアを発表する生徒

 今回、取材したのは3セット目の初日。国語の講座「発明王に(おれ)はなる」の教室を見学した。この講座の教材は、生活を快適、便利にする小中学生の独創的なアイデアを募集する「市村アイデア賞」(市村清新技術財団主催)の受賞作品だ。それらを参考に、身近なものを便利にしようと工夫することから、発想力や想像力を磨き、企画書を作成する文章力を養う。最終目標は実際に市村アイデア賞に応募することだ。

 まずは「造園業を営む父親が、重くて持ちにくい植木鉢をラクに持ち運べるものを作りたい」との思いで生み出された受賞作品に、最適な名前を付けるという課題。参加した15人の生徒からは、「らくらくもちもち君」「何でもハコベール」などユーモラスな名前が飛び出した。

 次は「部活でたくさんのお茶を運ぶとき、重さを分散する方法はないか」など、受賞作品の発明のきっかけとなった五つの悩みを解決する発明品の考案に挑戦した。それぞれに考えた後、アイデアを持ち寄ってブレーンストーミングを行い、最後は「腕にお茶のペットボトルを取り付けるベルトを作る」などのさまざまなアイデアが発表された。

国語科担当で同校卒業生でもある佐野教諭
国語科担当で同校卒業生でもある佐野教諭

 この授業を計画した佐野教諭は、「SNSで使われるスタンプなどの影響もあり、日々、生徒たちの語彙(ごい)力が落ちていると感じます。そこで言葉の力を鍛え、言葉を獲得する楽しさを実感できる講座を作ろうと思ったことが出発点です。さらに、理科的な分野からもアプローチできないかと、今回の企画を立てました。素晴らしいアイデアは、伝える力があってこそ生きるもの。実際、生徒からは面白い発想がたくさん出てきますが、それを説明する力が弱い。個人では発言できても、グループとしては話し合いにならない場面もあります。自分のアイデアを伝えるために言葉の力を身に付けることが、この講座の主眼です」と話す。

思考力や自己表現力の育成を目指す

ロールプレイングを行う英語の講座
ロールプレイングを行う英語の講座

 次に見学したのは英語の講座「O・MO・TE・NA・SHI」。これは2020年に開催される東京オリンピックを見据え、訪日外国人をおもてなしする(すべ)を学習するのが目的だ。担当の小泉文恵教諭は、東京都が高校生以上を対象に主催する「外国人おもてなし語学ボランティア育成講座」を中高生向けにリメイクして授業に取り込んだ。自身のアメリカでの実体験を交えつつ、各国のジェスチャーの違いや、「こんにちは」をさまざまな国の言葉でどう言うかなどの学習を盛り込んだ。生徒たちはロールプレイングなどを通して、英語以外の文化や言語にも触れ、新鮮な興味を感じている様子だった。

外国人をおもてなしする術を学ぶ英語の講座
外国人をおもてなしする術を学ぶ英語の講座

 今年初めて「A知探Qの夏」を経験し、生徒からは「楽しい」という感想の一方、「講義中心の内容のほうがラクでいい」という声もあるという。これについて石飛教頭は、生徒の意識を改革する対策が必要と考える。

 「これまでの夏の講習や通常の授業は、教員が講義を行い、生徒は問題を解くというスタイルがほとんどでした。生徒は一つの答えを導き出すことが習慣となっており、早く正解を知りたがる傾向があります。まず、それをいかに崩すかが我々の課題です。『A=B』という一つの答えを求める姿勢だけでなく、柔軟な思考力や自己表現力を培っていきたいですね」

(文・写真:籔智子)

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46064 0 多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校 2018/10/26 05:20:00 2018/10/26 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181024-OYT8I50060-T.jpg?type=thumbnail

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