「読む・書く・伝える」磨いたスキルで弁論大会…立正大立正

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 立正大学付属立正中学校・高等学校(東京都大田区)は、生徒たちが学び、考えたことを自分の言葉で発表する場として毎年、「弁論大会」を開催している。この大会は「読む・書く・伝える」のスキルを磨く「R-プログラム」と呼ぶ学習の集大成だ。昨年11月24日に開催された「第28回 立正中学校弁論大会」の様子をリポートするとともに、運営を担当する竹内真由美教諭に「弁論大会」の目的や生徒の成長について聞いた。

文章構成と発表態度にウェートを置いて採点

「弁論大会」の目的や生徒の成長について話す竹内教諭
「弁論大会」の目的や生徒の成長について話す竹内教諭

 立正大学付属立正中学校・高等学校は、毎朝のショートホームルームと年数回のロングホームルームの時間を利用し、「R-プログラム」と呼ぶ学習を行っている。「R」は「Research(調べる)」「Read(読み取る)」「Report(表現する)」の三つの頭文字を象徴している。

 国語科の竹内真由美教諭は、R-プログラムについて「新しい時代を生きる上で必要となる能力を養う取り組みです」と語る。「今の子供たちが大人になる頃には、社会情勢は変化し、社会で求められる能力も大きく変化することが予想されます。求められるのは、インプットしたさまざまな情報を集約し、自分の考えを織り交ぜてアウトプットする能力であり、R-プログラムで、その能力を磨くことができます」

 毎朝15分のショートホームルームで、生徒たちは集中して短い文章を読み、自分の考えを書き出し、クラスメート全員の前で発表する学習を続けており、「読む・書く・伝える」のスキルを磨いている。この毎朝の取り組みを集大成したものが、1年に1回開かれる「弁論大会」だ。

 竹内教諭によると、「弁論大会」の採点ポイントは三つある。一つ目は論理的な文章が書けているか、二つ目は正しい姿勢で堂々と話せているかどうか、そして三つ目は論旨の内容だという。「一般的な弁論大会では三つ目の論旨を重視する傾向が強いですが、当校では文章構成と発表態度に重きを置いています。論旨は生徒たちが毎日の生活で感じたこと、『日常』がテーマですから、内容的に少し幼いものもありますが、それも子供たちの個性だと受け止めて尊重するようにしています」

何げない毎日を過ごせることが「奇跡」

中1から中3の各クラスから選出された弁士が熱弁をふるった
中1から中3の各クラスから選出された弁士が熱弁をふるった
大会後、弁士たちに対する表彰が行われた
大会後、弁士たちに対する表彰が行われた

 「弁論大会」に出場する弁士は、原則的に中1、中2の各クラスから1人、中3は各クラスから2人が選出される。立候補者が多い場合は定数以上となることもあるそうだ。今回は計14人の弁士が熱弁をふるった。

 テーマは「AIと人間の共存」や「SNSの日本語」「お金の本当の価値」「香害」などバリエーションに富んでいた。その中で今大会の最優秀賞に輝いたのは、伊藤瑞紀さん(中学3年)の弁論「奇跡」だ。

 伊藤さんの弁論は、「すべてを奇跡であるかのように生きる。皆さんはこの言葉をご存知だろうか。これは、あの有名な理論物理学者アルベルト・アインシュタインの言葉である」と始まった。伊藤さんは毎朝、通学する電車の中で「自分はなぜ生きているのだろう」という疑問を抱いたことがあり、それがテーマを決めるきっかけとなったという。

 「私は歴史という科目に対して苦手意識がありました。ある日、父に相談すると、『歴史は先祖が歩んできた足跡なんだよ』という話をしてくれました。それをきっかけに自分の中に歴史を学ぶ意味を見いだすことができました。人類は過去に、戦争や伝染病などで多くの命を失った歴史があります。そんな環境の中で、生まれたこと自体が奇跡だなって気付きました。また、毎朝のR-プログラムで世界の食料不足に関する記事を読んで、自分は恵まれた環境で生活していることを知りました。悩みがあるかもしれないけど、生きていること自体が奇跡、当たり前の生活が恵まれているということを、私と同じ思いを抱く人に伝えたいと思いました」

最優秀賞に輝いた伊藤さんに贈られた賞状と記念トロフィー
最優秀賞に輝いた伊藤さんに贈られた賞状と記念トロフィー

 弁論の後、伊藤さんは「将来、社会に出ると自分の意見を話す場が多くなるので、今回の弁論大会の経験を生かしたいです」と、はつらつとした様子で話した。

 14人の弁論以外に今回は、「平成30年度 中学生の主張 東京都大会」で優良賞を受賞した2人による弁論も行われた。

 1人は「意思よりも道を」のテーマで論じた中3の(あくつ)琴美さん。圷さんは、中1で入ったバレーボール部での体験を語った。入部当時、先輩は1人もおらず、部員は彼女とマネージャーの2人きりだった。中2になると後輩9人が入部してきたが、多くがジュニアでの実績を持っていたので、最初は練習や試合のコート上で摩擦が多かったという。

 しかし、顧問の先生と話し合い、後輩とコミュニケーションを重ねながら心を一つにして新人戦での都大会出場という目標を実現した。「新人戦の後は、都大会に出場することができませんでしたが、『意思』に対して『道』が開けなかったのかというとそうではありません。大切なのは結果ではなく、自らの意思に対して努力を重ねること。そこに本当の価値があるのだと気付くことができました」

 もう1人は「みえないカタチ」のテーマで論じた中3の赤松愛実(まなみ)さんだ。彼女が「みえないカタチ」の大切さに気付いたのは中2の時だったという。当時、悩みを抱えて苦しんでいた赤松さんが友達に相談すると、たくさんのアドバイスをしてくれて、その言葉で悩みが軽くなったそうだ。「みえないカタチ」である言葉には、人を勇気付け、笑顔にする力があることを知ったという。

 反対に、けんかしたまま引っ越してしまった友達に「ごめんね」というたった4文字の言葉を伝えられなかったことを、今も後悔しているという。「人はいついなくなるか分からない。だから感謝や謝罪の言葉は時がたつ前に伝えないといけない。心を込めることができる言葉を大切にしながら、一日一日を生きていきたい」と赤松さんは弁論を締めくくった。

大会後は生活態度がポジティブに変化

 「弁論大会」の弁士を務めた生徒たちには皆、日常生活のさまざまな面で変化が見られるという。竹内教諭は「文章構成力が向上するのはもちろんですが、全校生徒の前で発表するという経験は、子供たちにとって大きな自信につながります。最初は『自分にはできない』と言って消極的だった生徒も文章を何度も書き直し、練習を重ねるたびに堂々と話せるようになります。クラスメートもその努力を見ていますから、ねぎらいの言葉で弁士をたたえます。周りの生徒に認められるという経験が自信になるようです」。

 同校の生徒は、校外の弁論大会でも優秀な成績を収めているという。今回、中学生とは思えないほどの堂々とした態度、力の籠もった弁じ方に接して納得させられた。生徒たちの将来の活躍が楽しみだ。

 (文・写真:安達悠 一部写真提供:立正大学付属立正中学校・高等学校)

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495077 0 立正大学付属立正中学校・高等学校 2019/03/19 05:21:00 2019/03/20 15:00:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190318-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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