学校一丸で英語話したい気持ちづくりへ…浦和実業

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 浦和実業学園中学校・高等学校(さいたま市)は、独自の「英語イマージョン教育」を教育の3本柱の一つに掲げている。英語のシャワーを日々浴びることで、リスニング力はもちろん、英語に対して「ひるまない姿勢」を身に付けることができるという。中学開校以来14年目となる「英語イマージョン教育」に加え、今年から「英語入試」も導入。ますます充実する同校の英語教育について取材した。

中学開校時から続く「英語イマージョン教育」

英語イマージョン教育のコーディネートを担当する英語科の水川瞳教諭
英語イマージョン教育のコーディネートを担当する英語科の水川瞳教諭

 「イマージョン」は「浸す」という意味だ。同校では2005年の中学開校時から、国際社会で実践的に役立つ英語を身に付けるため、「英語イマージョン教育」を取り入れてきた。英会話以外に、体育、音楽、技術家庭、美術の実技科目を、日本人教員とネイティブの教員がチームティーチングの形で指導する。

 ネイティブの教員は、5人がアメリカ、1人がイギリス出身だ。中1~3年の生全クラスの副担任をネイティブの教員が受け持つ。休み時間や放課後、学校行事など、授業以外の時間も生徒と触れ合い、学校生活を共にする。さらに、個性や国が偏らないよう、学期ごとに副担任が入れ替わる配慮もなされている。そのため、生徒たちは日々の学校生活の中で多様な外国人と接しながら、英語でのコミュニケーション能力を身に付けることができる。どんな授業が行われているのか、中1と中3の実技科目の様子を見てみた。

 中1の美術を教えるのはジェフ先生。2学期の最初の授業は、防災ポスターコンクールに出品するアイデアを考えるというものだ。

 授業はすべて英語で進められていく。ジェフ先生がA5サイズの紙を手に、「表面にはアイデアを書き、裏にはイメージしたスケッチを描いてください」と英語で指示を出す。先生は一言一言をはっきり確認するように話すので、ほとんどの生徒たちが理解しているようだ。

防災ポスターコンクールに出品するアイデアを考える授業を受け持つジェフ先生
防災ポスターコンクールに出品するアイデアを考える授業を受け持つジェフ先生

 生徒たちは、配られた紙の表に「洪水、fire、山火事、地震」「地震が起きたら机や物の下に隠れる」「津波がきたら高いところに逃げる」といったキーワードを、日本語や英語で書き込んでいた。裏面にスケッチを描き始めた生徒もいる。この間、ジェフ先生は教室を回り、英語でアドバイスしたり、逆に生徒たちから英語で質問されたりしていた。まだまだ流暢(りゅうちょう)な会話とはいかないが、英語でのコミュニケーションがごく自然に行われている。

 「聞き取れなかった生徒は、分かる子に『今なんて言った』と聞いたりして、生徒同士でフォローし合いながらちゃんと理解しているようですね。中1の1学期で、ネイティブの教員の英語をほぼ聞き取れるようになります」。こう話すのは、英語イマージョン教育のコーディネートを担当する水川瞳教諭だ。

実生活に必要な知識、技術を英語で学ぶ

「Emergency Care」をテーマに、「緊急時に必要なものは何か」について英語で考えていく家庭科の授業
「Emergency Care」をテーマに、「緊急時に必要なものは何か」について英語で考えていく家庭科の授業

 中3になると、より専門的で実践的な内容を英語で学習する。この日、家庭科の授業のテーマは「Emergency Care」で、「緊急時に必要なものは何か」について考えた。ネイティブの教員が「can opener」「medicine」「Band-Aid」といった例を挙げ、重要度が高いか低いかを質問。生徒たちと言葉のキャッチボールをしながら議論を交わしていた。

 パソコン教室では、エクセルの基礎を学ぶ授業が行われていた。電子黒板に表が映し出され、ネイティブの教員がタブやコマンドといった用語の意味や関数について英語で解説している。

 「エクセルの基本的な操作方法や表計算の仕方などは、日本人教員によって既に学習済みで、それを英語イマージョンで確認しています。ソフトの用語の多くが英語由来なので、その意味を知ることでより理解が深まります。通常の英会話の授業ではなかなか学ばない単語が多く出てくるのは、こうした技術系科目ならではです。実生活に必要な知識や技術を学ぶ中で、体験的に英語を覚えられるので、しっかりインプットできるのがメリットですね」と水川教諭は教育効果について説明する。

 「それでも、英語に対して苦手意識を持っている生徒はいる」と水川教諭は言う。大学入試制度改革で英語4技能を重視するようになり、かえって生徒が英語学習に後ろ向きになってしまわないように注意している。

 「英語は勉強するものではなく、コミュニケーション手段だということを知ることが、中学の時期には大切だと思っています。ネイティブの教員も、『伝わると楽しいよね』というメッセージを一生懸命送ってくれています。『やらなきゃ』という義務感ではなく、『楽しいから話したい』『いつの間にか話せる』という気持ちを醸成してあげたいですね」と水川教諭。さらに「なるべく個々のレベルに応じた教育を提供していかねばと思っています。小規模な学校だからこそ、そうした取り組みができると自負しています」

英語好きな新入生が他生徒のお手本に

 同校は2018年度募集から、英語筆記・日本語作文・英語面接による「英語入試」を導入した。小学生の時から英語に親しんできた生徒が入学したことで、思わぬ変化が見られたという。

パソコン教室では、ネイティブの教員がタブやコマンドといった用語の意味などを英語で解説する
パソコン教室では、ネイティブの教員がタブやコマンドといった用語の意味などを英語で解説する

 「もともと英語が好きで勉強してきた子供たちは、視野が広く、コミュニケーションを取ろうとする気持ちが強い子が多い。チャレンジ精神も旺盛です。そうした生徒が入ってきたことで、今までよりも明るく活発な学年になりましたね。英語入試の生徒たちが積極的に発言したり、自己表現したりするのを見て、もともと活発ではない生徒も自分を出すようになりました。いい意味で起爆剤になっているようです」と水川教諭は生徒の変化について語る。

 英語入試で今年入学したばかりの中1生2人に、英語イマージョンの授業について聞いた。

 英検2級の取得を目指して猛勉強中という男子生徒は、「これからは英語が重要だと親に言われ、小学校から英語の勉強を始めました。ネイティブの先生の授業では、日本語と英語の表現の違いや、日本人に馴染(なじ)みのないフレーズを発見するのが面白いです」と目を輝かせた。

 また、小5で英検準2級まで取得し、さいたま市国際ジュニア大使を務めた経験を持つ女子生徒は、「外国人の先生の授業でリスニング力がつきました。先生と話したり、日本とは違う外国の文化を知ったりすることが楽しい。将来は英語の先生など語学を生かせる仕事をしたいです」と夢を語った。

 中学開校から今年14期生を迎え、同校への関心がますます高まってきていると水川教諭は手応えを感じている。

 「説明会の参加者が急増し、今年は資料が足りなくなるほどでした。英語入試導入の成果もありますが、『面白そう』というイメージを持っていただけていると思います。苦手と思う前に、英語を好きになり、楽しんで学んでほしい。そのために、学校全体が一丸となってどう環境をつくっていくかがこれからの課題です」

 積み重ねてきた英語イマージョン教育と、新しい英語入試。二つの取り組みの相乗効果で、生徒たちがこれからどんな変化を見せるのかが注目される。

(文・写真:石井りえ 一部写真提供:浦和実業学園中学校・高等学校)

 浦和実業学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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60480 0 浦和実業学園中学校・高等学校 2019/01/16 05:20:00 2019/01/16 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190109-OYT8I50001-T.jpg?type=thumbnail

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