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【特集】教科・学年を超えて6年間の学びをダイナミックに…成城中

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 昨年度、完全中高一貫校化へ(かじ)を切った成城中学校・成城高等学校(東京都新宿区)で、中高の6年間を柔軟に生かしたカリキュラム作りが進んでいる。中高の枠を超えて関連する単元を一体的に扱ったり、教科横断的な内容としたりすることで効率的でダイナミックな授業が可能になるという。コロナ禍の下で展開された授業対応も含め、今後の教育展望を栗原卯田子校長に聞いた。

臨海学校の出来事が改革の一つのきっかけに

今年度中止した臨海学校は来夏、2学年で実施する予定
今年度中止した臨海学校は来夏、2学年で実施する予定

 成城には1925年以来、臨海学校で遠泳を続けてきた伝統がある。現在は千葉県南房総市の岩井海岸で行われ、中学1年生全員が参加する。その中学生たちを、「補助員」として選抜された50~60人の高校2年生たちがとりまとめる。補助員に選抜されることは彼らにとっては一種のステータスとなっている。

 臨海学校で生徒たちを引率した経験がある英語科の熊代翔教諭は、補助員たちの真剣な働きに感心する。「中学生を海で遠泳させるとき、補助員が一番気を付けるのが『隊列』です。いかに列を乱さずにきれいに泳がせるか。それが海で安全に過ごす鉄則です。補助員たちは夜8時頃からミーティングを始めて、9時、10時まで話し合います。朝は5時に起床して準備し、海から戻ると船の片づけをするなど、本当に全力で働きます」

 この臨海学校での出来事がきっかけで、栗原校長は同校を完全中高一貫校へシフトさせようと思ったという。

 「補助員のほとんどは中学からの内部進学生が役を担っていましたが、着任して間もない年に、高校から入学した優秀な生徒が補助員として活躍したことがありました。彼が『僕も中学生のとき、ここに来たかった』とつぶやいたのです。それを聞いて、中学1年で補助員に憧れを抱き、高校2年になったら今度は自分が補助員に選ばれて、中学生をリードする。こうやって順送りにリーダーシップを育てていく成城の伝統ある仕組みの素晴らしさに気付きました。その頃から、成城らしさを身に付けた真のリーダーシップを育てるには、完全中高一貫にシフトしたほうがいいと思うようになりました」

 今年の中学1年生の中にも、臨海学校を楽しみに入学した生徒は少なくないそうだ。ただ、今年は予想外のコロナ禍に見舞われた。「今年度は残念ながら中止を決めましたが、来夏に2学年で実施する予定です」と栗原校長は話す。

中高の関連する授業内容を一体化

正門で登校する生徒を出迎える栗原校長
正門で登校する生徒を出迎える栗原校長

 「真のリーダーシップ」を育てるために中高一貫の「縦」の時間軸を生かすという考え方は、教科のカリキュラム作りにも反映されている。

 国語は、完全中高一貫校としてスタートしてから、新しいカリキュラムを導入した。中学2年、3年次で学ぶ「国語表現」の授業で、日本語の基礎である主語と述語の仕組みなどを徹底的に教えるようにしたという。「本校には中学からさまざまな探究活動があります。ゆくゆくは高校で探究したことをまとめ、小論文として発表することを想定して、言語スキルを中学時代から伸ばすことを狙いとしています」

 理科の授業でも、学年ごとのカリキュラムをもっと柔軟に組み替えることを検討している。「先に実験や観察をどんどんやって、後で理論を教えたっていいと思います。学年、中学と高校の枠を外すことで、学びはよりダイナミックになるでしょう」

 また、中学1年次の「数学統計」の授業を、高校で行う「情報」の授業につなげるという。「パソコンを使ってのデータ処理に始まり、ビッグデータの集計やエクセルの扱い方などに『統計』の学習を発展させていきます。いずれはプログラミングにも発展させますが、中学と高校がつながっていてこそ、効率的に学べます」と栗原校長は話す。

 カリキュラムは「縦」に連動させるだけではなく、「横」にも関係させることでさらに効率的なものになる。高校の「情報」は、中学の「技術家庭」にあるコンピューターの授業にもかかわってくる。中学の「数学統計」と「技術家庭」及び高校の「情報」をプログラムとして一体化させれば重複が省け、より充実した内容になるという。

 こうした学年横断、教科横断的なカリキュラムによって、ダイナミックな中高一貫の学びが可能になりそうだ。

 さらに完全一貫校化に併せて、高校2年次、3年次のクラス編成も、新たな視点から変更が加えられた。「これまでは高校2年次で、進路を文系と理系に分け、さらに3年次で国立文系、国立理系、私立文系、私立理系の4コースに分けていましたが、これを文系と理系の2コースに集約させました」

 栗原校長によると、これは文理の垣根を越えた学力が求められる時代への対応だという。早稲田大学の政経学部を始め、文系学部でも、受験に数学が必須になっているところが増えつつあるからだ。「その流れを受けて、文系志望の生徒、理系志望の生徒が一緒に学ぶ必要があると考えました。文と理でクラス分けはしますが、選択講座では一緒になり、習熟度別に授業を受けることができます」

コロナ禍の中でも新しい教育展開

オンラインで行われる授業
オンラインで行われる授業

 カリキュラムを含め、さまざまな教育改革を進めている同校だが、今年はコロナ禍という思わぬアクシデントに見舞われた。通常の授業の進行にはさまざまな影響が出たが、その中でも弾力的な対応で新しい教育展開を続けている。

 今年の中学1年生は、最初からオンラインで授業が行われた。「数学統計」の授業でもオンラインで「情報リテラシー」を学び、登校が始まってからは、パソコンルームでキーボードの操作を学んだ。ミスタッチを少なくしたり、キータッチの速度を上げたりするキーボード操作のトレーニングとともに、素因数分解や暗号化など、数の処理を学んでいくという。

 同校が7年前から実施している「エンパワーメント・プログラム」も、今年は見送りとなった。このプログラムでは、提携するカリフォルニア大学から招いた学生と生徒を議論させ、物おじせずに英語で自分の意見を表現する力を養ってきたが、現状では海外から学生を招くことも、海外に研修旅行に出かけることも難しい。

今年は見送りとなったエンパワーメント・プログラム
今年は見送りとなったエンパワーメント・プログラム

 そこで同校はJETプログラム(外国青年招致事業)に参加している外国語指導助手らの先生に協力を得て、オンラインで生徒たちのライティングを指導してもらった。高校1年の学校設定科目「英語表現」では、さまざまなテーマでライティングに取り組んでいるという。

 「コロナだからといって手をこまぬくのではなく、どうすればこの状況下で『学びをとめないで済むのか』の検討を重ねています」と栗原校長は話す。「今後はさらに6年一貫のシラバスを整え、本校の伝統ある教育文化を受け継ぐと同時に、広い視野に立って学ぶ教育をさらに充実させていきたいですね」

 (文・写真:田村幸子 一部写真提供:成城中学校・成城高等学校)

 成城中学校・成城高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1563000 0 成城中学校・成城高等学校 2020/10/23 05:01:00 2020/10/23 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201020-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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