「ラウンドスクエア」で世界に広げる学びの場…玉川学園

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 2005年に日本で初めて国際的な私立学校連盟「ラウンドスクエア」に加盟した玉川学園(東京都町田市)は、以来、高校生を国際会議、中学生をジュニア会議に参加させている。生徒たちは世界中の中高生と交流を深めながら英語力を磨き、自身の経験と感動を玉川学園に持ち帰って、他の生徒たちを海外に目を向けた活動へと刺激している。

高校生は国際会議、中学生はジュニア会議へ

RSについて語る国際交流センターの山中啓道課長
RSについて語る国際交流センターの山中啓道課長

 ラウンドスクエア(以下、RS)は1960年代にイギリスで結成された国際的な私立学校連盟で、ウェブサイトによると、現在、世界50か国200校以上が加盟しているという。加盟校は、国際主義、民主主義、環境保護などの基本理念を共有し、共同で会議や交換留学、学術プロジェクトなどを推進している。

 玉川学園国際交流センターの山中啓道課長によると、RSは加盟校の高校生を対象にした国際会議を毎年秋に行っている。1週間の会期中に、研究者や専門家による講演のほか、途上国の環境保全活動などのイベントが行われる。また、中学生を対象としたジュニア会議も毎年4月、5日間の日程で開かれる。

 同校では、RSの国際会議・ジュニア会議に参加したい生徒に対して、学内選考を実施する。ジュニア会議については、中2の11月に説明会を実施し、前年に参加した中3生の体験談を聞くことができる。日頃の学習状況と日本語と英語による面談によって希望者の意欲を評価する。交通費や雑費は生徒の自己負担だが、会議への参加費は学園のスカラーシップ制度で補助される。

 山中課長は、「この会議では英語を学習や教科の一つとしてとらえず、外国人とのコミュニケーションの楽しさを知るきっかけにしてほしいです」と話す。

国際会議で得た経験を今後の活動につなげる

RSの国際会議・ジュニア会議に参加する生徒たち
RSの国際会議・ジュニア会議に参加する生徒たち

 今年のジュニア会議は、4月7日から11日までオーストラリアのメルボルンで開催され、同校からは中学3年生5人が参加した。

 その中の一人、三輪駿斗君は、会議のプログラムの中で、環境問題に携わる専門家の講義が特に印象に残ったという。今後、カナダ在住の友人と未来の学校の教育プログラムについて考え、環境に関わるボランティア活動に参加したいと考えている。

 ただ、参加してみて痛感したのは自分の英語力の不足だという。三輪君はインターナショナルスクールに通った経験があり、「英語には慣れている」と思っていたが、バラザと呼ばれるディスカッションでは、外国人の流暢(りゅうちょう)な会話ぶりに割って入れず、戸惑ったという。しかし、「自分から行動しなければ始まらないと気付きました。そして得意のダンスを教えたり、日本の人気漫画を紹介したりして、英語で話しかけるようにしました」

 帰国後、三輪君は英語学習への意欲が一気に高まったという。ボキャブラリーを増やし、ネイティブの先生にも英語で積極的に質問するようになったが、「ラウンドスクエアの会議が終わってから、『もっと英語でこう話せば良かった』と思うことばかりです」と、残念そうに話した。それだけに「高校生の国際会議にもぜひ参加したい」と今から意気込んでいる。

 RSの会議へ生徒が参加することは、他の生徒たちへの良い刺激にもなっている。同校にはRSの会議に参加を希望する生徒による「ラウンドスクエア実行委員会」という組織がある。参加しているのは同校の国際バカロレア(IB)クラスの生徒に限らず、一般クラスの生徒も含めて約100人。実行委員会は、RSの雰囲気を生徒全体に知ってもらおうと、国際会議形式で玉川学園版のRS会議「たまがわ会議」を開いている。このほかにも、RSの基本理念に基づいて、交換留学生の歓迎会や古着・学用品を集めてインドの孤児院に送る活動など、さまざまなボランティア活動を活発に行っている。

IBクラスの教育にも通じる「全人教育」の理念

少人数制できめ細やかに指導するIBクラス
少人数制できめ細やかに指導するIBクラス

 三輪君は、IBクラスの生徒だ。世界標準の教育に取り組む同校は2007年からIBプログラムを取り入れている。IBクラスでは、国際バカロレア機構(IBO)が認定する中等教育プログラムMYP(Middle Years Programme)を中1から実施し、高2からは、海外や国内の大学入学資格が得られるDP(Diploma Programme)を履修する。

 授業は日本語と英語の2言語で行われ、中1ではほぼ半々の割合だが、学年が上がるにつれて英語での授業の割合が増えていく。英語の補習授業も月曜から金曜の朝7時45分から8時15分まで設けられ、生徒は英語による授業に加えて着実にレベルアップを図っている。

 6年間を通じて少人数制のクラスを採用し、日本人と外国人の2ないし3人の担任制で、生徒一人一人の学習と人間性の成長をきめ細やかに支えている。

 「玉川学園のIBクラスは、玉川学園の伝統的な教育理念と深くつながっています」と、同クラスのIBプログラムディレクターで経済学の授業を担当しているウィリアム・ユーリカー教諭は話す。

IBプログラムディレクターのウィリアム・ユーリカー教諭
IBプログラムディレクターのウィリアム・ユーリカー教諭

 同校の教育理念は、創立者の小原國芳が提唱した「全人教育」であり、「真・善・美・聖・健・富」という六つの価値観の創造と、調和の取れた人格の形成を目指しており、それは、IBクラスの中高一貫教育にも通底しているという。

 「特に玉川学園は奉仕活動がさかんで、小学校でのボランティア活動や動物保護、高齢者の介護福祉施設、ホームレス支援など多岐にわたります」とユーリカー教諭は語る。伝統の奉仕活動は、DPの必修要件の一つである「創造性・活動・奉仕」(CAS)と重なっているのだ。

 ユーリカー教諭によると、IBクラスの外国人教員は、日本のことだけでなく、自身の出身国や他の国の事情を踏まえながら、生徒に問いかける授業を心がけているという。「国際性を備え、多様性を持って新しいことに抵抗なくチャレンジしてほしい」という考えからだ。

 ラウンドスクエアの会議や学園内での国際活動、奉仕活動は、クラスの枠を超えて生徒たちが互いの経験を分かち合い、学び合う場になっている。高め合って成長していく場をそのまま世界に広げていってほしい。

 (文・写真:三井綾子 一部写真提供:玉川学園中学部)

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861917 0 玉川学園中学部 2019/10/29 05:21:00 2019/10/29 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191024-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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