朝の10分学習で論理的思考を磨け…市川中

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 市川中学校・高等学校(千葉県市川市)は、中学2年生を対象に、朝10分間のアクティブ・ラーニングに取り組んでいる。世の中のさまざまな事象を考える「アクティブ・モーニング」、新聞記事を読み、意見を文章にまとめる「あさえぬ」という二つのプログラムを通し、まずは読解力を身に付け、論理的思考力の向上につなげる狙いだ。学年主任の川崎学教諭と、生徒たちに取り組みの実際を聞いた。

読解力に始まって論理的思考力を目指す

中学2年の学年主任を務める川崎学教諭
中学2年の学年主任を務める川崎学教諭

 同校は、これからの時代に求められる学力に対応するため、学年ごとに思考力・判断力・表現力などを磨く、さまざまな試みを行っている。

 中学2年の学年主任である川崎学教諭は、「論理的思考力を身に付けさせることは、これからの教育でますます重要になってきます。知識を取り入れ、それをアウトプットする力を付けるというのは、この学年に限らず、学校全体の取り組みなのです。中学2年の方針は、まず読解力を付けることです」と話す。

 この意味で同校は、中学で月曜から土曜まで、朝のホームルーム前に10分間の朝読書を行っている。しかし、今の中2を担当する教員たちから「読書というのは、1人でいても、どこにいてもできる。せっかくクラスメートと一緒に教室にいるのだから、この時間を使ってアクティブ・ラーニングができないものか」という声が上がり、昨年から月に1回程度、朝読書に替えて「アクティブ・モーニング」と「あさえぬ」の活動を取り入れることとなった。どちらも、朝の10分間という限られた時間に集中して行う学習だ。

授業のグループ学習や討論がスムーズに

 「アクティブ・モーニング」は、一つの課題に対し、席の近い数人のグループで意見を出しあい、一つの結論を導く活動だ。生徒同士が自分の意見を言い、他人の意見を聞いて、討論の力を身に付けることを目的としている。討論の課題は、各教科の担当教員が、授業とは直接関係のないところから出す場合もある。

 「アクティブ・モーニング」の課題は、学年行事である夏期学校の下調べから、クラシックの名曲を聴いてタイトルを考えることまでさまざまだ。1年間試行してきて、生徒たちもようやく10分間という短い時間で効率よく考え、話し合い、まとめることができるようになってきたという。

 中学2年生の上村まどかさんは「2か月に1回は席替えがありますが、誰とでも、さっと話し合いに入れるようになりました。授業でグループ学習や討論を行う時にも、アクティブ・モーニングで身に付けた感覚が役立っていると感じます」と話す。

「まなボード」はさまざまな授業で活躍する
「まなボード」はさまざまな授業で活躍する

 このプログラムでは、短時間で意見をまとめられるように、「まなボード」という協働学習用ツールを使用する。スチレンボードに透明シートを張った作りで、ホワイトボードマーカーでシート上に書いたり消したりができる。透明シートをめくって資料を挟み込んだり、裏に付いたマグネットで黒板などに貼り付けたりもでき、発表の際に使い勝手がいいという。

 まなボードは、「アクティブ・モーニング」だけでなく、さまざまな授業で使うため、中学の各教室に備えているという。「かなりアナログですが、考えながら書いたり消したりできるので、とても便利です。使用後は消してしまいますから、内容を残したい場合は写真を撮っておきます」

新聞記事を読み、社会への関心を高める

「あさえぬ」のプリントは担当教員が添削し、コメントを付ける
「あさえぬ」のプリントは担当教員が添削し、コメントを付ける

 「あさえぬ」は、「朝の10分間NIE(ニュースペーパー・イン・エデュケーション)」の略称だという。2000字程度の新聞記事を読み、要約したうえで自分の意見を加え、300字程度の文章にまとめる学習だ。読解力を高めるだけでなく、短時間でまとまった文章を書く訓練になるという。

 わずか10分間でこの課題をこなすのは、中学生にとってかなりハードルが高そうだが、あえてチャレンジさせる狙いについて、川崎教諭は「大学受験でも、小論文入試が増えています。高3になっても小論文が書けないというのでは遅いのです。私たちは、高校生になったとき、小論文を書くことが苦でない子を作りたいと思っています」と語る。「聞いたり読んだりするだけではなく、自分で書かないと、なかなか理解は進みません。人間は、聞いて、見て、書くうちに、情報の取捨選択をしています。授業や講演を聞く時も、生徒に『しっかりメモを取れ』と言っています」

 「あさえぬ」について生徒たちはどう受け止めているのか。

 同2年生の直井研介君は「『あさえぬ』では新聞記事に蛍光ペンで線を引きながら読むのですが、何度もやっているうちに、どこらへんが一番大事なことか、分かるようになってきました」と話す。上村さんも「自分の意見も併せて書く必要があるので、短時間で考えをまとめられるようになりました」といい、ともに「あさえぬ」の学習成果を実感しているようだ。

 確かに朝10分間の「アクティブ・モーニング」や「あさえぬ」は、読解力や表現力の向上に役立っているようだが、川崎教諭はそれらの成果を踏まえてさらに、生徒が社会の動きに関心を持つようになることも期待しているという。

 川崎教諭は社会科教員でもあり、「アクティブ・モーニング」の課題として、「一番(もう)かるコンビニはどこか。コンビニの立地を考える」という出題をしたことがある。「地図を見て、コンビニの立地として一番いいのはどこかを考えさせる問題です。身近なところから、社会に関心を持つきっかけになってくれればいいと思いました」と出題の意図を明かす。

学年フロアの壁に貼られた読売中高生新聞
学年フロアの壁に貼られた読売中高生新聞

 「あさえぬ」についても、新聞記事に取り上げられているさまざまな事象をしっかり読み、考えることで社会への関心を高めてほしいと考えている。同校の各学年のフロアには、読売中高生新聞が貼ってあり、通りがかりでも読めるようにしているそうだ。

 『アクティブ・モーニング』も『あさえぬ』も始まって日が浅く、成果が形となって見えてくるのは先の段階だ。課題を考えたり、添削を行ったりする教師たちの負担も小さくはないというが、教師たちのまいた学びの種が生徒たちの新しい力となって花開くことを期待したい。

 (文・写真:織江理央 一部写真提供:市川中学校・高等学校)

 

 市川中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

無断転載禁止
55759 0 市川中学校・高等学校 2018/12/25 05:25:00 2018/12/25 05:25:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181219-OYT8I50087-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

西日本ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
10000円9000円
NEW
参考画像
クーポンご提示のお客様に粗品プレゼント
NEW
参考画像
4200円3780円
NEW
参考画像
1560円1300円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ