タブレット導入で進化する独自のキャリア教育…文教大付

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 文教大学付属中学校・高等学校(東京都品川区)は、2019年度の新入生を対象にキーボード付タブレットPCを導入した。同校はグローバルな社会変化や、目前の大学入試改革に備えて4年前から独自のキャリア教育プログラムを続けており、タブレットPCの導入はそのプログラムをいっそう強化する取り組みだ。キャリア教育プログラムを推進してきた教師たちにその狙いや見通しを聞いた。

タブレットPCで将来社会に対応した能力を伸ばす

入試広報部の小西佑樹先生
入試広報部の小西佑樹先生

 文教大学付属中学校・高等学校は、2019年度の新入生を対象に、授業や日常の活動でのタブレットPCの使用を開始することにした。

 その背景について入試広報部の小西佑樹先生は、「『高大接続改革』の動きの中で、『学力の3要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)』がますます求められているからです」と話す。

 高大接続改革は、グローバル化が進み、AI(人工知能)などが発達することに伴って予想される社会構造の大きな変化に対応するための教育の動きだ。将来の社会で新しい価値を生み出すには「学力の3要素」に示されるような能力が必要とみられており、タブレットPCは、そうした能力を養成するために力強いツールとなる。

 たとえばタブレットPCが授業でどう生かされるか。社会科教科主任でもある小西先生は説明する。「社会の授業では、手元のタブレットで地図や年表を見ながら、立体的に理解を深めることができます。与えられた課題に対して生徒がタブレットで回答を行い、教師がそれを電子黒板に映して皆で共有する、他の生徒の回答を見ながら、その場で意見を交換するといったことも可能になります」

 タブレットPCは授業で活用されるだけではない。学校生活のスケジュール管理や、学校行事・課外活動の記録などに利用されるほか、2020年度以降、大学入試で活用できる「e-ポートフォリオ」の作成にも役立つ。

 「調べて書く、それを発表するという習慣を持つことで、自分で考え、表現する力が身に付きます。それが、改革後の大学入試での成功に結びつくものと考えています」と、小西先生は今後の活用の広がりに期待を寄せていた。

独自のキャリア教育が大学進学にも好影響

進路指導部長の豊嶋正貴先生
進路指導部長の豊嶋正貴先生
キャリア教育のためのオリジナルノート「NEWTON」
キャリア教育のためのオリジナルノート「NEWTON」

 タブレットPCの導入は、大学進学からさらにその先へと生徒たちの将来を開くための新しい取り組みだ。その意味で同校には、既に4年前から力を注いできたもう一つのキャリア教育の取り組みがある。それが、中1から一貫して行われるキャリアプログラム「文教キャリア教育プロジェクト」だ。このプログラムは独自性が評価され、昨年、「キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」を受けている。

 「総合的な学習の時間にキャリア教育を実践し、社会にはどのような仕事があり、その仕事に就くには何を学ばなければならないのかを生徒たちが自分で考え、それを本校オリジナルのノートに書き込みます。それによって、自分の夢や憧れを実現する方法を、具体的に見つけていくのです」と、小西先生はプロジェクトの内容を説明する。

 このプロジェクトを効果的に進めるためのオリジナルノート「NEWTON」は、進路指導部長の豊嶋正貴先生が主導して4年前に完成した。1学年に1冊用意されており、資料として産業別の主要企業名なども記載されている。「中学1年生が分かる世の中の職業は、教師、警察官、看護師など、ごく限られたものであるのが普通です。中学生のうちから、社会の中にある仕事を具体的にイメージすることができるようになってほしいのです」と、豊嶋先生は話す。

 

田植えの経験もキャリア教育に生きてくる
田植えの経験もキャリア教育に生きてくる

 プロジェクトの中には、田植えや稲刈りといった野外実習も含まれる。豊嶋先生は、その狙いをこう語る。「例えば朝ごはんを食べるときに、『このお米は誰が作ったんだろう』と考えてみるだけで、世の中に対する意識が大きく変わります。さらに、本校の田植え・稲刈り体験では、お米を商品として販売するための宣伝文句やパッケージデザインを考えます。それによって、食べ物を作り、売るという仕事はどのようなものか、具体的に理解できるようになるのです」。

 「NEWTON」で実践するキャリア教育は、「就きたい職業」「進みたい大学・学部」「それを目指すようになったきっかけ」などを書き込むチャート式のシートによって完成する。「それをまとめることで、大学入試の面接試験の際に役立ちます」と豊嶋先生は話す。

 同校は、高校2年から理系・文系のクラス分けを行うが、それに先立って高1の秋に保護者を交えた三者面談を行う。その場で生徒たちは「早稲田大学の国際教養学部に進み、将来は商社でグローバルな仕事がしたい」などと、非常に具体的な目標を語るようになってきたという。「実際、このシートをしっかり書き込んでいる生徒たちの多くが、希望の進学先への合格を果たしています」

「Bステーション」で「自立学習」が身に付く

 「将来何をしたいか、目的意識がはっきりすれば、学習に対するやる気が高まり、実現させるための力が付いてきます。私たちは、その支援を行っていきたいと考えています」と、小西先生は語る。

 生徒の目的意識を重視する同校は、自分で勉強する習慣を身に付ける「自立学習」を重んじており、放課後の自立学習支援をする場「BUNKYOステーション(Bステーション)」を校内に設置している。ステーションには専任のチューターが詰めていて、いつでも生徒たちの質問に答えられるようにしている。中学生は夜7時半まで、高校生は夜8時まで利用可能で、特に試験前は、ここで勉強に励んでいる多くの生徒たちの姿を見ることができるという。

 大学進学から、さらにグローバル社会へと将来の目標を定める生徒たちもいる。そういう生徒たちのために、短期の海外語学研修、長期留学などさまざまなグローバル教育の機会を用意している。特に大きな特色は、全生徒が受講できる「中国語講座」があることだろう。高校2年次で台湾への修学旅行を行い、英語や中国語を生かしつつ、現地の大学生との交流を行っている。昨年秋は、中国語講座の受講生のうち9人が、台湾の大学へ進学した。

 タブレットPCの導入を新たな足がかりとして、同校のキャリア教育はさらに進化を見せることだろう。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:文教大学付属中学校・高等学校)

 文教大学付属中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

526907 0 文教大学付属中学校付属高等学校 2019/04/08 15:40:00 2019/04/08 15:40:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190408-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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