育て「探究女子」、生徒が仕切る説明会…トキワ松

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 2016年に創立100周年を迎える中高一貫女子校、トキワ松学園中学校高等学校(東京都目黒区)。

 同校では、生徒の姿を通して学校の雰囲気を伝えようと、生徒が取り仕切る形で学校説明会を実施した。充実した学園生活とともに同校が掲げる教育目標「探究女子の育成」の成果が披露された。

大人顔負けの堂々たるスピーチ

2000年に竣工した新校舎
2000年に竣工した新校舎

 「本日はお忙しい中、トキワ松学園の学校説明会にお越しいただきまして誠にありがとうございます」

 生徒会役員のあいさつから始まった学校説明会は、司会進行もプログラムも全て生徒が主体となって進められた。続けて登壇した金谷三枝子校長が「トキワ松学園で学ぶ生徒の姿を通じて、ぜひ本校の雰囲気を感じとってください。今回の主役はあくまで生徒。本日は、私をはじめ教員たちはこれにてお役御免でございます」とあいさつした。

「学校説明会は生徒が頑張ったおかげ」と話す広報部長の中里謙一教諭
「学校説明会は生徒が頑張ったおかげ」と話す広報部長の中里謙一教諭

 と、ややもすれば物足りなさも感じるほどの短いあいさつ。しかし、それは今回の企画に対する自信の表れだ。実は10年ほど前から部活紹介は生徒が行い、2年前からは司会進行を生徒に任せてきたといい、一定の評価を得ていたという。そうしたプロセスを踏んで今回の生徒主体の学校説明会は実現したのだ。広報部長の中里謙一教諭はこう話す。

 「教員が学校説明をすると、どうしても良い部分ばかりを話してしまいがちですよね。それは聞かされる方も織り込み済みで、表層的な話に映ってしまうんです。それを実際に学園生活を送っている生徒に任せれば、リアルな学園生活が伝わるはずというのが今回の企画の狙いです」

大人顔負けの堂々たるプレゼンテーションだった生徒会長による学校説明
大人顔負けの堂々たるプレゼンテーションだった生徒会長による学校説明

 なるほど、司会進行ぶりや企画の内容をつぶさに見れば、学園生活だけでなく、教育の成果も垣間見られるというわけだ。実際、次に登壇した生徒会長による学園生活紹介で教育成果が十分に発揮された。スポーツ祭典やサマースクールといった行事をタブレット端末、iPadを使って紹介。プレゼンテーション力も見事なもので、中学には特進と進学があり、高校からは美術コースも加わるという同校のコース制についてよどみなく解説してみせた。最後は「友達と仲が良くて先生との距離も近いのがトキワ松学園の良いところ。でも、元気過ぎるのが玉に(きず)です」と素直な感想で締めくくり、会場の拍手を誘った。本人は「途中飛ばしてしまったところもあったので、自己採点は70点くらい」と振り返ったが、伝えるべきことをまとめて大勢の前でも尻込みすることなく発表できる力の根底には、同校の「探究女子」教育がしっかり息づいているからに他ならないと中里教諭は胸を張る。

探究女子を目指して

 「当校は鋼鉄(はがね)のような芯の強さと、すみれのような優しさを持つ女性の育成を目指して今から約100年前に創立されました。その建学の精神を現代版に解釈し直したのが探究女子なんです。勉強をしていくと、これはどういうことだろう?と気になることが出てきたり、ニュースを見ていると様々な問題があることに気付いたりしますよね。そんなときに自らが調べて掘り下げていくことで、自分の確固たる鋼鉄のような意見が醸成されるわけです。その一方で、他人の意見を受け止め、自分の意見の中に取り込むことで、独りよがりではない高次な意見や解決策を提唱できる。つまり、鋼鉄のような芯の強さだけではなく、すみれのような優しい抱擁力も兼ね備えた女性の育成、それがトキワ松学園の実践する教育です」

 探究女子育成のための取り組みは数多い。例えば、調べ学習のスキルを磨くために図書室には4万1000冊を所蔵。加えて毎週30冊から50冊を購入しているという。こうした施設環境の充実を図るだけでなくカリキュラムにもスローガンが反映されている。中学1年では週に5時間ある国語の授業のうち、1時間は作文を行うことにあてている。これは自らの考えを相手に伝えるためには、まず用いる言葉や表現方法を身につけなければならないという考えのもとに行われる取り組み。作文が言語能力の向上と話をまとめる構成力の育成に一役買うというわけだ。

 この他にも週に6時間ある英語の授業では、その2時間をチーム・ティーチングで行うListening&Speakingの時間として、座学で学んだことをいかした英語でのプレゼンテーションを行っている。その成果は学校説明会のプログラム「英語科授業発表」でいかんなく発揮された。中学3年生による滑らかな英語でのプレゼンに参加者からは感嘆の声が漏れた。同プログラムでは、高校3年の生徒が自らの将来を語るシーンもあった。

 「私は国際交流部という部活に入っていて、そこでは毎週ゲストを呼んで海外の暮らしや文化について教わっています。また、イギリスの多文化研修やオーストラリアのターム留学にも参加しているうちに将来は英語を使った仕事に就きたいと思うようになりました。私はその夢に向けてアメリカの大学を志望しています」

演劇部がコミカルな寸劇を披露すると、会場からは笑い声が上がった
演劇部がコミカルな寸劇を披露すると、会場からは笑い声が上がった

 探究女子は日本だけにとどまらず海外へも羽ばたいていくというわけだ。

 この日、一番の盛り上がりを見せたのが、生徒による部活紹介。写真部は撮影作品を披露し、ミュージカル部は歌を歌い、マンドリン・ギター部は演奏で会場を盛り上げるなど、それぞれが所属部をアピール。演劇部がコミカルな寸劇を演じると会場からは笑い声が上がった。

 「思わず笑ってしまう学校説明会なんてあまりないですよね。でも、そんな明るい雰囲気こそがトキワ松学園の良いところなんです」

 と中里教諭は話し、生徒による学校説明会は、生徒たち自身が同校のことを好きだからこそ実現できるものだと声を大にする。生徒たちが胸を張って学園生活をアピールする姿は、何より同校の良さを物語っているといえよう。

 (文と写真 葛西由恵)

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303145 0 トキワ松学園中学校高等学校 2015/09/30 05:40:00 2015/09/30 05:40:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20150928-OYT8I50161-T.jpg?type=thumbnail

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