「探究女子」がユニーク演出する文化祭…トキワ松

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 トキワ松学園中学校高等学校(東京都目黒区)の文化祭「トキワ祭」は、探究学習で「思考と表現」を磨いた生徒たちの腕の見せ所だ。北陸研究から顔や花文化の研究まで、テーマの豊富さに加え、巨大ピラミッドや実物大銭湯の展示など、来場する小学生たちを楽しませる体験コーナーも充実している。文化祭に向けて準備を進める生徒たちの様子を取材した。

探究学習の集大成が披露される

文化祭へ向け、調べ学習の内容を紙芝居で表現する生徒
文化祭へ向け、調べ学習の内容を紙芝居で表現する生徒

 「私はウサギ」「僕はクラゲ」「なぜ私たちの住む北陸には新幹線が通ってないの」「それはね……」。取材に訪れた6月19日、図書室で中3の全生徒約50人を前に、2人の生徒が自分たちの作った紙芝居を演じていた。タイトルは「北陸新幹線開通物語」だ。

 同校は中3生を対象として、夏休みに3泊4日で「北陸サマースクール」を実施している。これに先立って生徒たちはグループごとにテーマを決めて事前の調べ学習をし、現地で体験したことをまとめて、毎年秋の文化祭「トキワ祭」で発表する。2人が紙芝居を演じていたのは調べ学習の中間発表だ。中間発表でお互いに評価し合うことで、発表内容をさらに良いものに仕上げていくのだ。

 調べる内容は、方言と文化、気候と地形、北陸の漁業、北陸の農業、高山植物とライチョウ、金沢21世紀美術館など多岐に及ぶ。発表の仕方も紙芝居だけでなく、パワーポイントやホワイトボードを使ったり、紙芝居とパワーポイントの両方を使ったりするなど、それぞれ工夫を凝らしている。

 紙芝居の発表をした生徒に感想を聞くと、「この学校は調べ学習が多く、中1の時から調べたり、発表したりすることが多いので、慣れています」と落ち着いた様子だった。

 同校は早くも1979年から朝読書を取り入れるなど図書教育・調べ学習に力を入れてきたが、2017年以後はさらに、それを独自の探究学習「思考と表現」へと深化させてきた。この学習の中で、生徒は図書室をさまざまに活用しながら、情報の取捨選択、論理的思考、表現豊かな発表方法などを学ぶ。トキワ祭は、その集大成が見られる場と言える。

 広報部長の播磨康泰教諭は、「この中3の北陸の発表では、現地で作製した金箔(きんぱく)も展示します。さまざまな視点から北陸を知ることができるユニークな発表になっています。このほかにも、トキワ祭では生徒が身近なところから大人が思いつかないようなアイデアを出していて、発想の豊かさに驚きます」と話す。

企業や大学などへも積極的に取材

「探究女子ならではのユニークなアイデアがたくさんある」と話す服部教諭
「探究女子ならではのユニークなアイデアがたくさんある」と話す服部教諭

 この日は中3生だけでなく、どのクラスでもトキワ祭に向けての準備を行っていた。中2のあるクラスでは、「My Face」というタイトルで、スキンケアや化粧の歴史、メーカーへの取材内容、アンケート調査などを展示したり、来場者にメイク体験をさせたりするような企画を考えていた。

 また別の中2のクラスでは「Flower Land」というテーマで、生活の中で花が活用されてきた歴史、日本と外国の花文化の違いなどを調べて展示するほか、来場者に楽しんでもらえるような体験エリアの企画も考えているという。クラス責任者の生徒は、「現代は疲れている人が多いので、癒やせる場にしたい」とやる気十分だ。

 今年9月28、29日に予定されるトキワ祭に向け、準備は4月から始まっている。クラスや部活ごとにテーマを決め、企画を練り上げて、6月半ばに企画書を提出する。審査会でその内容をプレゼンテーションし、実行委員らがアドバイスする。

 「トキワ祭は、本校の『探究女子』ならではのユニークな発表・出し物の場になっています」と、生徒指導部部長の服部祐佳教諭は胸を張る。「毎年実にさまざまなテーマが挙がります。授業の中で学んだことからテーマが出てくることも多いです。SNSや微生物など、話題性を取り入れた面白いテーマもあります。また、テーマに関連する企業に取材に行くなどして、年々発表する内容も深くなっています」

 昨年もクラゲについて発表したグループが、水族館の職員や東京海洋大学の教授に話を聞いたり、コンビニについて発表したグループが、実際に職業体験をしたり、積極的に外へ出て調べを深めていったそうだ。

 文化祭実行委員会副委員長の生徒(高2)は、「これまで『思考と表現』などの探究学習をしてきて、私たちは調べることに慣れていますし、想像力も豊かになっているので、話し合いをすると生徒の中からどんどんアイデアが出てきて、広がっていくのです」と話す。

来場者に楽しんでもらうことを心がける

体験型の出し物は小学生に人気だ
体験型の出し物は小学生に人気だ
楽しみながら知識が得られる出し物も増えている
楽しみながら知識が得られる出し物も増えている

 トキワ祭で生徒が心がけていることがある。展示するだけでなく、体験できるものを用意することだ。

 「調べるだけでなく、お客さんに楽しんでもらうことを生徒たちは大切にしています。昨年はこんな体験のものがあったよ、など生徒たちが代々伝えていっています。ここ10年くらいで体験型のものが増えて、訪れた小学生に好評です」

 文化祭実行委員会副実行委員長の生徒(高2)は、「昨年、自分たちのクラスは、教室内に巨大なピラミッドを再現して、好評でした」と話す。エジプトについて調べた内容を展示するだけでなく、人が中に入れるほど巨大なオブジェを作り、ヒエログリフ解読のカギとなったロゼッタストーンの模型も展示した。さらに、ヒエログリフを勉強して、お客さんの名前をヒエログリフでスタンプするサービスも行ったという。

 「お客さんに喜んでもらえただけでなく、自分も世界史により興味を持てるようになって良かった」と振り返る。

 文化祭実行委員会委員長の生徒(高2)は、「私のクラスでは昨年、大きなお風呂のオブジェを作り、黒板に富士山を描いて銭湯を再現しました。それに入浴剤を作る体験コーナーを設けたのがお客さんに好評でした」と話す。

 せっけん工場に見学に行って調べた内容を展示発表するチーム、オブジェを作るチーム、せっけん作り体験コーナーの3チームに分かれて準備をしたという。「お風呂のオブジェは人が入れるほどの大きさなので、出入りして楽しめますし、体験コーナーでは、お客さんの好きな香りのオイルを選んで入浴剤を作ったので、とても喜ばれました」

 服部教諭も、「ここ数年は特に楽しみながら知識が得られる出し物が増えて、私たち教師も感心しています。下級生も上級生の出し物を見て、さらに工夫していきます。中学生は担任がアドバイスをすることもありますが、高校生は担任の手を離れて自分たちでどんどん計画して実行します」と、生徒の成長ぶりに目を細める。

 今年はどんなユニークな出し物が出てくるのか、今から楽しみだ。

 (文・写真:小山美香 一部写真提供:トキワ松学園中学校高等学校)

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716290 0 トキワ松学園中学校高等学校 2019/08/07 05:21:00 2019/08/07 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190730-OYT8I50080-T.jpg?type=thumbnail

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