「自問自答」学習の成果、文化祭で中間発表…二松學舍柏

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 二松學舍大学附属柏中学校・高等学校(千葉県柏市)は毎年9月、文化祭「松陵祭」を2日間にわたって開催する。保護者や受験生、地域の人々など数千人の来校者でにぎわうこの行事は、同時に同校の中学生にとって、学習カリキュラムの重要な区切りでもあるという。開催前日のリハーサルを取材した。

「自問」から「自答」への折り返し点

「松陵祭」での中間プレゼンテーションの重要性を話す島田副校長
「松陵祭」での中間プレゼンテーションの重要性を話す島田副校長
中2は「古都の教室」の事前学習成果を発表する準備を進めていた
中2は「古都の教室」の事前学習成果を発表する準備を進めていた

 「松陵祭はお祭り要素もある楽しい行事ですが、中学生にとっては学習上重要な意味合いがあります」と島田達彦副校長は語る。「各学年で1年間かけて行う自問自答の折り返し点として、学習成果の中間プレゼンテーションを行うのです」

 「自問自答」とは、同中オリジナルのアクティブラーニングプログラムだ。1年は学校の近隣にある手賀沼の環境や歴史を調べる「沼の教室」、2年は京都・奈良研修旅行を中心に日本の文化や歴史を学ぶ「古都の教室」を通し、それぞれ教科の枠を超えた学習を行う。3年は生徒各自が好きなテーマを探究し、8000字ほどの「探究論文」を執筆する。

 各学年とも、1年間の前半は「自問編」として、テーマについての一般的な知識や現状などを調査・学習する。後半の「自答編」では、学習を通して抱いた疑問や自分なりの仮説に基づいて研究・考察を行い、年度末に発表する。その中間発表を行う場が「松陵祭」で、これまでの成果と今後の学習計画を、スライドショーを使って学校内外の人々にプレゼンテーションする。

熱が入って持ち時間を超える個人発表

 今回取材したのは、開催前日の昨年9月15日に行われたリハーサルだ。会場準備で生徒たちが忙しく行き交う中、中学生が発表練習を行っている教室を見て回った。

 中学1年生は手賀沼に関するテーマ学習の途中経過を、2年生は11月に実施される京都・奈良研修旅行の事前学習の成果を、それぞれグループで発表する。各教室には1学期に手がけた美術の課題作品も展示されている。2年生の教室には京都国立博物館所蔵の「風神雷神図」を自分なりにアレンジしたデザイン画が陳列されていた。各教科で「古都の教室」を意識して学習を行っている様子がうかがえる。

 3年生は個人発表だ。1人5分の持ち時間で、スライドショーを映写しながら発表する。40人の発表を1日で行うため、大きめの教室を二つに区切り、同時に発表を進める形だ。タイムキーパーも生徒が交代で務め、残り時間を計って合図のベルを鳴らす。

 発表テーマの一覧表を見ると、アニメやテーマパークなどの身近な題材から、日本神話やeスポーツ、AI(人工知能)の社会への影響、災害時・紛争時の人道支援など社会や国際問題に目を向けたものまで幅広い。

 関心事がテーマだけに、掘り下げて調べている生徒も多い。ジェットエンジンの詳細な図解をスライドで説明する生徒や、日本のサッカーを強化するために学校の部活改革を提言する生徒も。毎日着る制服に関心を抱き、その起源を調べた生徒もいた。発表に熱が入り、持ち時間を超えることもある。発表後には「前を向いて話そう」「この部分を簡単にした方がいい」など、アドバイスし合う姿も見られた。

 中学生の発表では、4年目を迎えたグローバルコースの生徒を中心とした「グローバルプレゼンテーション」も行われる。同コースは授業以外でも英語によるコミュニケーションを重視したコースで、国連が定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」を踏まえたテーマを設定し、1、2年は4、5人のグループ発表、3年は個人発表を行うことになっている。

 取材日には「グローバルプレゼンテーション」のリハーサルは行われなかったが、プログラムには、1・2年の発表テーマとしてアジアの教育や中南米の貧困、オーストラリアの環境保護など、新聞などでよく目にする国や問題が並ぶ。3年生は、質の高い教育の提供やクリーンエネルギー、平和と公正など、より広い視野が必要なテーマを設定していた。

「一つのテーマを掘り下げる」楽しさ

 各学年のリハーサルを見た後、探究論文のプレゼンテーションについて中3生2人に話を聞いた。

 日本の創薬の未来をテーマにしたのは堀令さん。医薬産業の発展を遅らせる一因とされ、日本では薬の承認が海外より遅い「ドラッグラグ」問題を検証するという。一方、国の支援不足や人材難などの問題を踏まえて「今後は日本人の体質に適した医薬の開発が減るのではないか」という問題意識をベースに考察を進めている。

 考察のベースとして、堀さんは夏休みに厚生労働省や企業、大学などのWEBサイトで多数の論文に当たり、資料を集めた。その過程で、ドラッグラグ問題の権威とされる東京大学教授の論文を見つけ、「この教授に教わりたい」と受験のモチベーションが生まれたという。

 堀さんは、「一つのテーマをこんなに時間をかけて掘り下げたのは初めてです。日本の抱えるさまざまな問題を意識し、『私たちが変えていかなければ』と思うようになりました」と「自問自答」の感想を語った。

スライドショーを使った中3の個人発表のリハーサル
スライドショーを使った中3の個人発表のリハーサル

 一方、有人ロケット開発についての各国の状況比較をテーマとするのは郡家玲生君。技術ではアメリカや中国に引けを取らない日本が開発に踏み切らない理由として、「国家予算や国民意識の違いなどの要因があるのでは」と考察する。

 テーマの探究に当たっては、茨城県つくば市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターへ何度も通い、展示物を見たり係員に話を聞いたりしたという。

 「理科好きなので選んだテーマですが、理科以外にもあらゆる知識を基に、総合的に答えを出すのが『自問自答』。試験のように唯一の答えに到達するのではなく、いくらでも考えを深め、広げられる喜びがあります」と郡家君は話す。

 この2人は、「グローバルプレゼンテーション」の個人発表も担当している。「大変ですが、社会のさまざまな問題を考えるのは面白いです」と笑顔を見せた。

読み、考え、伝える素養を日常的に磨く

「自問自答」学習の手応えを感じている中学校学年主任の森寿直教諭
「自問自答」学習の手応えを感じている中学校学年主任の森寿直教諭

 中学校学年主任の森寿直教諭は、そんな生徒たちを頼もしげに見つめる。

 「『自問自答』と言っても1・2年は調べるのが中心。蓄積した知識が自分の感性や思考と結びつき、独自の考えを深め始めるのが3年。ちょうどそのタイミングをすくい上げて研さんするのが探究論文です」

 それには、きちんと文章を読み取り、自分の考えを述べるための日頃の訓練も欠かせない。

 「新聞コラムの読み込みや、テーマに沿って自分の考えを述べる『1分スピーチ』など、入学時から継続してきた鍛錬が結実していると感じます」と指導の手応えを話した。

 こうして培った思考と発表の力は、高校の「グローバルコース」では英語の鍛錬も含めてさらに磨かれることになる。高1では、学年前半に日本を紹介する4ページほどの英語新聞を制作する。後半は「自問自答」から発展させたプレゼンテーションを英語で行うプログラムを用意している。さらに高2では、一般開催の英語スピーチコンテストへの出場や、海外でのプレゼンテーションを目指す。

 自らの興味を柱に、主体的に「自問自答」に取り組む生徒たちの姿に接する中で、その背景には、学校のきめ細かなフォローアップがあることがよく感じられた。

 (文・写真:上田大朗 一部写真:二松學舍大学附属柏中学校・高等学校提供)

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418448 0 二松学舎大学附属柏中学校・高等学校 2019/02/04 05:20:00 2019/02/05 11:44:08 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190201-OYT8I50036-T.jpg?type=thumbnail

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