グローバルコース6年目 成長ぶりに目を見張る…二松学舍柏

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 二松学舎大学附属柏中学校・高等学校(千葉県柏市)が真の国際人育成を目標として開設した「グローバルコース」が、今年度で6年目を迎えた。同校を創立した漢学者・三島中洲(ちゅうしゅう)の思想を()み、礼節や隣人への慈しみを、社会の抱える問題の解決に生かせる人材を育てているという。副校長と、同コースのクラス担任に、生徒たちの成長ぶりを聞いた。

マニアックな才能が6年間で開花

「新たな時代にふさわしい人材を、全力を挙げて育てる」と話す島田副校長
「新たな時代にふさわしい人材を、全力を挙げて育てる」と話す島田副校長

 二松学舍柏の「グローバルコース」が今年度、開設6年目を迎え、1期生は高3となった。同校はコース制を取っており、「グローバルコース」は中学1年~高校1年にかけて「特選コース」「選抜コース」と並んで設定された三つのコースの一つで、真の国際人養成を目指して2015年度に開設された。同コースの生徒について島田達彦副校長はこう話す。

 「マニアックな生徒が多いですね。ある生徒は『最も硬い合金を作る方法』というテーマで中3時の卒論を書き、金属の成分などについて理科教員も舌を巻くほど細かい検討を行いました。海外の大学でさらに研究を深めたいと言っています。また、『選抜コース』から『グローバルコース』に編入したある生徒は歴史に強い関心を持ち、織田信長の妻・濃姫について独自の仮説を展開していました。みな、英語力とプレゼンテーションのスキルが高く、文化祭で中学生に英語プレゼンのお手本を示した生徒もいます」

 「グローバルコース」では、通常の授業に加えて、思考力やプレゼンテーションスキルを鍛えるアクティブラーニング授業「グローバル」を週2時間実施している。この授業では、まず、3学年合同でSDGs(持続可能な開発目標)を取り上げ、世界の課題を理解し、自分たちが貢献する手段を考えるなどして、思考力や企画力をトレーニングする。

 さらに中1では、「世界がもし100人の村だったら」という絵本やマララ・ユスフザイさんの自伝などを題材とし、中2では海外研修先のオーストラリア、カナダの文化や社会的取り組みなどを素材として、「自分たちがどう貢献できるか」という観点からグループ討論を行ったり、実践を想定したプロジェクトを考えたりしてプレゼンテーションする。

授業の大原則として「生徒の発言は否定しない」と話す土屋教諭
授業の大原則として「生徒の発言は否定しない」と話す土屋教諭

 授業の進め方もユニークだ。「生徒の発言は否定しないのが大原則」とグローバルコース中1担当の土屋圭司教諭は話す。「発言について『なぜそう思うのか』と問います。生徒が答えると、さらに『なぜそうなるの』と畳みかける。それを繰り返すと、一人一人異なる『なぜなら』に行き着きます。違いをそれぞれが認識した上で、6人程度のグループを作り、プロジェクトに取り組みます。例えば『ネパールの山村地域に簡易の学校を作る』などの目的を想定し、必要な資材や手順、期間、予算などさまざまなシミュレーションを行い、協働作業でアイデアをまとめていきます」

オンラインによる新しいキャリア教育プログラムについて話す山崎教諭
オンラインによる新しいキャリア教育プログラムについて話す山崎教諭
カナダでの海外研修で異文化体験をする生徒たち
カナダでの海外研修で異文化体験をする生徒たち

 授業に臨む生徒たちの態度について、同コース中2担当の山崎貴大教諭は、「物おじせず意見をどんどん口にし、プレゼンも堂々と行います。何を言っても否定されない、笑われないという安心感があるためでしょう」と説明した。

 このほかに同コースでは、JICA(国際協力機構)やユニセフなどを訪ねる校外学習で世界について学ぶ。さらに英語力を強化し、異文化を体験する目的でカナダ、オーストラリア、フィリピン・セブ島への海外研修を行う。他コースは希望者が対象だが、グローバルコースは中学2~3年生の間に1度は海外研修に参加することになっている。

 高校2年からは、高入生と合流し、新たに「特進」「進学」「SG(スーパーグローバル)」の3コースのうち、主に「SG」に進む。最難関大学を目指せる学力を養成するとともに、週2時間ある授業「グローバルな学び」で、自由テーマの英語プレゼンテーションや英字新聞の作成などにも取り組む。「中学時代から鍛えた思考力や表現力、協働力を、英語で発揮できるようにするのです」と島田副校長は目的を説明する。

 高校でのグローバル教育は、英語圏にとどまらない。カナダ、オーストラリア、セブ島での研修以外に、高2の修学旅行は全員参加で台湾を訪れ、異文化交流を行う。中国語と韓国語の選択授業もあり、希望者対象の台湾中国語研修も用意されている。

さまざまな校外学習で世界へと視野を広げる

 同校のグローバル教育はグローバルコース/SGコースに限定されているわけではない。特に中学時代に行われる「自問自答」プログラムは、さまざまな校外学習を通して地元から日本、世界へと視野を広げ、新たな知識や物事に触れるアクティブラーニングであり、グローバルな視野を身に付けるために格好の教育となっている。

 中1では、学校近くの手賀沼の環境や歴史を学ぶ「沼の教室」などがあり、中2では京都・奈良で日本古来の文化や歴史を学ぶ「古都の教室」、中3ではシンガポール・マレーシア修学旅行で各国の歴史、文化を学ぶ「世界の教室」、さらに全学年対象で国立科学博物館、日本科学未来館などを訪れて東京の歴史、文化、テクノロジーを学ぶ「都市の教室」などが行われる。これらの「自問自答」プログラムの集大成として、3年生は自らの興味関心に基づいた自由なテーマで8000字程の「卒業論文」に取り組む。

 ただ今年度は、新型コロナ感染症流行の影響で、例年通りの実施は難しくなったという。「『古都の教室』や『都市の教室』は、今年度は中止せざるを得ません。そこで、中2では通常登校が始まった6月下旬から、それに代わるキャリア教育プログラムを実施しています」と山崎教諭は話す。

 導入したのは、オンライン学習サービス「スタディサプリ」で提供している教育改革実践家・藤原和博氏の「よのなか科/仕事編」授業だ。例えば、村上龍が書いた「13歳からのハローワーク」(幻冬舎)を参考に、自分の関心事から将来の仕事を考えるなどのプログラムに取り組んでいる。

 「例年と異なるアプローチですが、社会について学ぶ点は同じ。ゆくゆくは校外学習と融合した展開もできるかもしれません」

創設者の精神を今に生かすグローバル教育

 島田副校長によると、同校のグローバル教育は、同校の創設者である漢学者・三島中洲の思想まで、その源流をたどれるという。「三島先生は20代に黒船を目にした経験と、その後の安易な文明開化の風潮を憂慮する思いから『自国の文化を正しく身に付けた上で西洋の優れた文化を理解、吸収すべき』と考えていました」。

 さらに、漢学塾に始まった同校の歴史を踏まえて行われている論語講読の授業も、グローバル教育に通じる学びと位置付けられている。「さまざまな人々との協働に必要な礼節や、隣人への慈しみといった人間性を論語から学びます。そのかいあって、生徒には思いやりの気持ちが育っています」と島田副校長は話す。

 5月中旬まで休校、その後、分散登校が続いた新型コロナ対応期間中も、それを実感する出来事があったという。「ある中3生が手紙をくれました。『一人で家にいる時間が増え、自分が普段いろんな人から支えられていると改めて気が付きました』と書かれてあり、休校中も成長を続けているんだと感じ入りました」

 「社会が抱える数多くの問題は人ごとではなく、必ず自分との接点があります。当事者目線で常に『自問自答』する人を育てる。その意味で、本校のグローバル教育は、大学で求められている『新しい学力』をストレートに実現する教育と自負しています。新たな時代にふさわしい人材を、これからも全力を挙げて育てていきます」

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:二松学舎大学附属柏中学校・高等学校)

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1370266 0 二松学舎大学附属柏中学校・高等学校 2020/07/29 05:21:00 2020/07/29 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200722-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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