国際性育むユニーク英語授業やNZ留学…聖園

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 聖園女学院中学校・高等学校(神奈川県藤沢市)は、グローバル社会の国際人育成へ向けて、独自の英語教育を進めている。20年目を迎えた海外研修プログラムや手作り感にあふれた英語の授業、ネイティブの教師と会話を楽しめる部屋、そして、1年コースも始まるニュージーランド留学など、その取り組みの数々を紹介する。

自然な速さの英会話ができる中学上級クラス

少人数でアットホームな雰囲気の「ACE」の授業
少人数でアットホームな雰囲気の「ACE」の授業

 「Let‘s get started!(さあ始めましょう!)」。英語教員の鯉淵(こいぶち)スーザンさんが、教室の6人の生徒たちに呼びかけた。

 6月21日、中学3年生の「ACE(Advanced Class of English=英語上級クラス)」で授業が始まった。この日は「学校は土曜日もあるべきか」をテーマに、全員がプロジェクターを使って英語で発表することになっており、その順番を決めるため、最初に珍しい動物の写真カード6枚が配られた。

 1番手の「Aardvark(ツチブタ)」のカードを引いた生徒から小さな悲鳴が上がった。「OK,someone has to go first(大丈夫、だれかが最初にやらなくちゃね)」と、鯉淵先生が笑顔で慰める。

 同校の「ACE」は、特に英語力の高い生徒を集め、ネイティブの教員が英語だけで進める中学の少人数授業だ。鯉淵先生によると「自然な速さの英会話が聞き取れ、自分の言いたいことを英語で伝えられるレベル」の生徒を選抜し、2017年度に当時の中学1年を対象としてスタートした。

 1年目は生徒2人だけだったが、その後、めきめきと英語力を付けた4人が加わり、現在の中3では6人が受講する。中3の場合、週6時間ある英語の授業のうち、週4回は「ACE」で英語4技能(話す、聞く、読む、書く)を徹底的に磨き、週2回は他のクラスメートと一緒に日本人教員の英文法の授業を受けている。

手作り感あふれるリレー方式の英文ストーリー創作

「ACE」の教室に並ぶ多読用の英語の本。週に原則1冊読むのが課題だ
「ACE」の教室に並ぶ多読用の英語の本。週に原則1冊読むのが課題だ

 「ACE」の授業は手作り感にあふれている。その一つが、リレー方式の「英文ストーリー作り」だ。まず鯉淵先生が新しく習った単語や熟語を使い、所々に空白の行がある英文のオリジナル短編を用意してくる。そして、生徒たちは話がつながるように、それらの空白を、自分が創作した短い英文で順に埋めていき、物語を完結させる。

 この日の授業で使われたのは、ある少女が静寂な場所に逃れたいと願うと、雷鳴がとどろき、古代文明にタイムスリップするというファンタジー短編。前回の授業までに空白の行がほぼ埋まり、この日はみんなで読み返しながら、下線を引いた覚えるべき単語の説明などが行われた。

 「ACE」で学ぶ中3の場合、目指すのは実用英語技能検定(英検)準1級レベルだが、英文にはさらに難しい単語も使われる。「Do you know the word,spooky? Imagine a haunted house(spookyという言葉を知っていますか。幽霊屋敷を想像して)」などと、具体的イメージと結びつけて意味を説明していた。

 「ACE」の授業では、「英米文学を通して英語を磨く」ことにも力を入れる。鯉淵先生が、生まれ故郷の米国で中高生時代に受けた授業スタイルをベースに、TESOL(英語教授法)の専門技法を取り入れたもので、生徒みんなで小説や詩を読み、ディスカッションをして発表したりする。

 最近読み進めたのは、第2次大戦後に朝鮮半島から引き揚げた一家を描いた日系米国人作家の小説「So Far from the Bamboo Grove(邦題=竹林はるか遠く~日本人少女ヨーコの戦争体験記)」。この小説で生徒たちは戦争の意味を考え、登場人物の心情を自分と重ね合わせた。「英語を言葉としてだけでなく、文学として、また、世界を理解するためのものとして学んでほしい」と鯉淵先生は話す。

20年目迎えた海外研修プログラム

毎年夏休みに行われる「高1カナダ短期研修」(オンタリオ州ウィンザー市で)
毎年夏休みに行われる「高1カナダ短期研修」(オンタリオ州ウィンザー市で)

 同校は教育目標の一つに、「世界の人々と協力して生きるために、充実した英語教育と異文化理解を養う」と、グローバル社会で活躍する人材の育成を掲げている。その取り組みの柱として、20年目を迎えるのが海外研修プログラムだ。

 最初に2000年度にスタートしたのが「高1カナダ短期研修」。夏休みの2週間、地元・藤沢市の姉妹都市であるオンタリオ州ウィンザー市に滞在し、1人1家庭でホームステイをしながら、スポーツ交流やボランティア活動などをして過ごす。希望すれば参加でき、今年の夏は高1の27人が異文化体験を味わった。

 さらに、14年度に始まったのが「中3ニュージーランド中期留学」だ。こちらは「英検準2級以上の英語力」がある生徒が対象で、中3の3学期の1月中旬から3月下旬まで2か月半、同国最大の都市オークランド市に留学する。毎年15人前後が参加しているという。

 生徒たちは最初の2週間、語学学校に通った後、聖園女学院と同じ現地のカトリック系女子校5校に分かれ、ホームステイ先から通学する。英語は留学生向けのレッスンを受ける一方で、数学や体育は現地の生徒たちと同じ授業に出る。

 「英語力があまりネックにならないダンス、美術、プログラミングなど、自分で好きな2、3科目をさらに選択し、それも現地の生徒と一緒のクラスで勉強します。クラブ活動にも参加して、楽しく過ごしています」と下里由香教頭は話す。

 留学中は英語で日記を書くのが課題で、生徒のノートを見せてもらうと、教科書に出た英単語がびっしり書き込まれていた。英語漬けの2か月半の間に、英語力は相当アップするようで、昨年3月に高校を卒業した「中3ニュージーランド中期留学」の1期生14人の場合、難関大の語学・国際系学部への進学が目立ったという。

 2か月半のニュージーランド生活は、中3の少女たちの自立心も大きく育てるようだ。「親任せだった身の回りのこと、お金の管理、そして、健康管理もすべて自分でやらなければなりません。親への感謝の気持ちも芽生えるようです」と下里教頭は話す。

ネイティブの教員と触れ合う部屋、異文化体験にも

「聖園イングリッシュ・アカデミー」のポスターを持つウェバー先生(左)とジョンソン先生
「聖園イングリッシュ・アカデミー」のポスターを持つウェバー先生(左)とジョンソン先生

 同校の校内には、「英語の世界」にいつでも飛び込める環境も用意されている。昼休みや放課後などに、誰でもネイティブの教員と英会話を楽しむことができる部屋「Misono English Academy(聖園イングリッシュ・アカデミー)」だ。

 「お昼休みにはお弁当を食べながら、自由に会話したりしています」と、カナダ出身の英語教員ピーター・ウェバーさん。予約制でグループを中心に1日平均10~30人の生徒が利用しているという。歌やゲームで英語に親しんだり、英語のプレゼンテーションの練習をしたり、レベルに合わせ、グループ分けをしてプログラムを組む。

 英検の2次試験前には、面接試験の個人レッスンもする。カナダ研修やニュージーランド留学の前には、ホームステイ先で役立つ英会話を教えることもあるという。

 「中高生が一緒にプレゼンをするなど、この部屋では学年の上下関係はありません。日本と違う英語圏の文化も体験できます」と、米国出身の英語教員スコット・ジョンソンさん。「恥ずかしがっていた子も、明るく『Hello』とあいさつできるようになります。ここで英語を話すことで自信が付きます」と、ウェバー先生は笑顔を見せた。

 同校では、今年度から「高1ニュージーランド1年留学」もスタートさせる。高1の3学期の来年1月から、高2の2学期の11月末までの1年近く、ニュージーランド北島の港町ネーピアのカトリック系女子校に留学する。英検2級以上の英語力がある生徒が対象だ。また、1か月以上の海外研修への奨学金制度も新たに設けた。

 「海外で自分の小ささを感じることもあるでしょう。でも、ホームステイ先のご家族に愛情を注がれながら、新しい体験を重ねる日々は自信につながります。将来どうしたら社会貢献ができるのか、その道筋を自分で考え、進んでいけるようになってほしいと思います」。下里教頭はそう期待を込めた。

 (文・写真:武中英夫)

 聖園女学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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881679 0 聖園女学院中学校・高等学校 2019/11/07 05:21:00 2019/12/06 17:26:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191101-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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