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【特集】集中力と合理性で「文武両道」のカラテ部…日大藤沢

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 野球やサッカー、ダンスなどスポーツの盛んな日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校(神奈川県藤沢市)でも、「カラテ部」は異色の存在だ。直接打撃制を採用するダイナミックな流派を指導しているにもかかわらず、女子部員が7割を占め、特別進学クラスの生徒が多いという。勉強とカラテの両立を可能にするのは、いずれも目指す目標達成からの逆算と集中力にあるという。その活動ぶりを顧問の教諭と部員たちに取材した。

掛け声響く中講堂で一糸乱れぬ「型」稽古

「大切にしているのは部活動と勉強のバランスです」と話す加藤教諭
「大切にしているのは部活動と勉強のバランスです」と話す加藤教諭

 5月14日の放課後、同校の中講堂を訪ねると、白い道着を身に着けたカラテ部員たちが続々と集まってきた。総勢80人近い部員は、まず何組かに分かれて柔軟体操をしてから、顧問の加藤達哉教諭の掛け声に合わせて「型」の稽古を始めた。

 「もっと重心を低く」「その姿勢だと倒れてしまう」。簡潔で的確な助言が館内に響くたびに、見る見る部員たちの動きがそろっていく。

 「私がカラテ部を指導するとき、大切にしているのは部活動と勉強のバランスです。長時間の厳しい練習でくたびれてしまったら、家で勉強する意欲も湧かなくなるでしょう。生徒たちにはあたりまえの青春を謳歌(おうか)してもらいたい。その上で、カラテと向き合ってもらえたらいいと思います」

 穏やかな笑みを浮かべてこう話す加藤教諭は、早稲田大学在学中に正道会館に入門し、全日本選手権最重量級で2001年から3年連続優勝した経歴を持つ強豪の空手家だ。05年には極真会館が主催するオープントーナメントの全国大会でも4位に入賞している。

 加藤教諭は大学でカラテに打ち込む一方、教員免許を取り、卒業後の02年に同校の英語科教諭となった。自らが全力で取り組んできたカラテを教育に生かせるのでは、と同好会をつくったのは07年だ。さらに、09年からは正式な部活動に昇格した。「カラテは武道なので、姿勢が良くなります。そして、カラテで技を磨くことで、心が鍛えられ、芯が強くなる。(りん)とした表情になり、自信に満ちあふれてきますね」と、加藤教諭は部活を通した生徒たちの成長を語る。

部活も勉強も限りある時間に集中して取り組む

カラテを安全に学ぶため防具を着用する生徒たち
カラテを安全に学ぶため防具を着用する生徒たち

 同部で指導しているのは、「フルコンタクト」と呼ばれる、直接打撃の組手を採用している流派だ。その点、子供をカラテ部に入部させるのをためらう保護者も少なくないと思われるが、「これまで13年間の活動で大きな事故やケガはありません。なぜならば、まずは防御をしっかりと教え、防具を着けて練習するからです。むしろ、緊張感を持って稽古するので、集中力が付きます」と加藤教諭は説明する。現在、部員は高校生のみで3学年合わせて毎年70~80人。男女比は3対7と、女子部員のほうが多い。特別進学クラスの生徒が多いのも特徴だ。

 練習は現在、週3日。従来は週4、5日行ってきたが、コロナ禍のために減らしている。また、ほかの部活動と練習場所を共有していることから、練習時間も「密」を避けるために1時間半から2時間に短縮しているという。

 中学の部活はバレーボール部だったが、高校からは先輩にあこがれてカラテ部に入ったという、特別進学クラスの松下紗蘭(さら)さん(高2)は、「今は紫帯ですが、次の審査会でもう一つ上の黄帯を目指しています。コロナ禍で日数も時間もカラテが練習できる時間は限られますが、その分、一日一日を、その時間に集中して感謝の気持ちを持って取り組んでいます」と話す。

 ただ、加藤教諭は「長時間かけてやらなくても、生徒たちに目標をしっかり定めてもらい、それを達成するためにはいつまでにどうすればよいか、逆算すればいいのです」と、この状況を積極的にとらえる。「授業でも部活動でも、集中できる時間は20分が限界。だから、ムダな練習はしません。メリハリを付けながら、短時間集中で練習するという今のスタイルがいいと思います」

短時間に集中して部活動に取り組む生徒たち
短時間に集中して部活動に取り組む生徒たち

 限られた時間に集中して取り組むことがかえって効果を上げる。それはカラテ部の練習に限らず、授業中の姿勢、勉強への取り組み方でも同じことだという。

 カラテ部員で、特別進学クラスの宮川智美(さとみ)さん(高2)は、中学1年の頃から現在まで、学年トップクラスの成績を修めている。「私は国立大の法学部を志望していて、将来は弁護士を目指しています。国公立の一般受験は科目数が多いので、効率的に勉強しなければなりません。勉強していて疲れたり、眠気が襲ってきたりしたら数分間休憩し、好きなMr.Childrenの曲を聴いたり、小説を読んだりして気分を切り替えます。1日何時間とノルマを決めずに、やりたいページまで進めています」

 松下さんも、「すき間時間をうまく使い、単語帳をおぼえたり、その日の小テストの勉強を忘れないうちに復習したりしています。普段の練習中にしっかりと緊張感を持っているので集中力が付き、時間をやりくりして、カラテと勉強の両立を図ることができます」と、効率的な時間の使い方を意識していることをうかがわせた。「まだ進路は決まっていませんが、このままカラテと勉強を両立させながら一生懸命やっていたら、きっと『これだ』という道が見えてくると思っています」

 「私自身、武道と勉学の両立を経験しました」と、加藤教諭は話す。「生徒たちに寄り添って、進路についても助言したり、相談に乗ったりしてあげたいと思います」

諦めない心を学んだ

 宮川さんは「カラテを始めてから、何事に対しても『諦めない心』を学んだことが大きかった」と振り返る。道着の帯が白から紫、そして黄、その先には黒帯がある。道着に着替えて帯を締めれば、凛とした表情に変わる。それは特別進学クラスで勉強に切磋琢磨(せっさたくま)する彼女たちの姿にも通じる。

 カラテ部の一糸乱れぬ「型」稽古を見ているうちに、使い古された感のある「文武両道」という言葉にさわやかな響きを感じた。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校)

 日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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2109232 0 日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校 2021/06/09 05:01:00 2021/06/09 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210607-OYT8I50057-T.jpg?type=thumbnail

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