ICTで集団学習と個別学習の両立を可能に…千葉明徳

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 千葉明徳中学校・高等学校(千葉市)は11月15日、「第3回ICT(情報通信技術)公開授業」を行った。同校は、2017年から本格的にICT活用に取り組み始め、今年度は、中高6学年でタブレット型端末「iPad」を1人1台使った授業を実現した。生徒一人一人に合わせた個別学習と集団学習を両立させるICT活用の展望と公開授業の様子を紹介する。

11教室のICT授業を一斉に公開

化石になった生物について調べた中1の理科の授業
化石になった生物について調べた中1の理科の授業
中2の技術では、プログラミングの学習が始まっている
中2の技術では、プログラミングの学習が始まっている

 この日の公開授業には、中高の教員や塾講師など約60人が見学に訪れた。午後12時半に、園部茂校長が「教育のICT化には多くのメリットがあり、さまざまな可能性を秘めていることを多くの人に知ってほしい」と開会のあいさつ。続いてICT推進委員長を務める梅澤俊秀副校長が同校のICT教育への取り組みについて概略を説明した後、中高合わせて11教室の5時限目の授業を一斉に公開した。

 教科は国語、数学、英語、日本史、道徳、総合などさまざまだが、いずれの教科も、教師と生徒の双方向授業を可能にする授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」をはじめとするアプリケーション教材、インターネット、教室に設置されたプロジェクター型の電子黒板などを駆使し、ICTの活用に工夫を凝らした授業となっていた。

 中1の理科の授業では、化石になった生物について生息地や年代を調べ、どんな生物の仲間で、どう進化してきたかを推測した。生徒たちがiPadを使っていろいろ検索しようとしていると、川村玄季先生が「インターネットに答えはないよ」「根拠を持って説明できるように」とアドバイスする。そこから生徒たちが班ごとに議論する声で教室は活気付いた。最後は学校向けクラウドサービス「Classi」のポートフォリオ機能を用いて、授業内容の要約や班で結論を導き出した過程を各自で記録した。また、知識の定着と思考力の向上のため、授業の振り返りも行った。

 中2の技術の授業では、2学期からプログラミング学習が始まっている。この日は教育用ロボットキット「レゴマインドストームEV3」について取扱説明書の制作と発表をペアで行っていた。このキットの基本モデルである2輪車両ロボットを初めて使う中学生を想定して取扱説明書を作るのが課題だ。生徒たちはこれまでの授業で、ロボットを思い通りに動かすことに挑戦してきた。その試行錯誤から学んだポイントを、ICT機器を使って適切に取扱説明書にまとめていく。先生に指名を受けたペアは順番に、読み手が分かりやすいようにプログラミング画面からコピーした画像を使ったりしながら、プロジェクターで資料を投映し、プレゼンテーションを行った。

ICTの多様な機能を楽しむ生徒たち

理科の授業でiPadを使って調査リポートを作成する
理科の授業でiPadを使って調査リポートを作成する

 中学生たちにICTを活用した授業や学びについて感想を聞いた。

 レゴマインドストームを使った公開授業に参加した中2の竹内海誠君は「ロボットの操作は同じところで何度も失敗して悔しかったけれど、それを踏まえて取扱説明書を制作するのは楽しかった。プログラミングは、思い通りに動くと大きな達成感がある」と笑顔で話す。また、「ゲーム感覚で楽しく競い合えるところがICTの良さ」だという。「僕は負けず嫌いなので、順位が表示されるものや得点を重ねていけるものだと燃えます」。例えば、オンライン学習ツール「Quizlet(クイズレット)」は、ライブモードにするとクラス全員で一斉に問題を解いて競い合える。「そういう授業だと、勝ちたいから予習や復習も頑張ってやります」

 中2の田中優奈(ゆな)さんは、「ロイロノート」などの匿名機能がうれしいという。「手を挙げて答えるのは恥ずかしいし、タブレットで回答する場合も名前が出るのは恥ずかしい。でも正解して褒めてもらいたいという気持ちもあって、匿名だと積極的になれるんです」。田中さんは、学校紹介ムービーを作るイベントに希望して参加するほど、ICTを活用した授業に強い関心を持っている。「将来の夢は中学の教員です。今、授業がとても楽しいので。明徳みたいにICTを積極的に活用している学校に就職して、より分かりやすくて面白い授業をやってみたい」

 中1の中村怜悧さんは、担任の先生やクラスメートと簡単に情報共有できる点をメリットだと感じている。課題管理ツール「Google Classroom」には投稿やコメントの機能があり、学外からでも質問が出来る。「翌日やる朝学習の内容を忘れてしまって予習できない時とか、学校にいなくてもクラスメートに聞けて便利です」

 この日の公開授業の最後には、「ICTの活用で生徒の学びはどう変わっていくのか」をテーマとしたトークセッションも行われ、梅澤副校長、聖徳学園中学・高等学校の品田健先生、近畿大学附属高等学校・中学校の乾武司先生が盛んな議論を交わした。

進化するICTの活用で能動的な学びを実現

ICT教育の取り組みについて話す梅澤俊秀副校長
ICT教育の取り組みについて話す梅澤俊秀副校長

 梅澤副校長が最初にICT活用の可能性を感じたのは、2010年に教育分野の展示会「EDIX」で電子黒板を見た時だという。板書する手間がかからないため、授業をスピーディーに進められる。投映した資料に直接書き込めるため補足が容易であり、強調したい部分の拡大もできる。「これを授業で使ったらどんなに分かりやすいだろう、とワクワクしました」。その後、他校でタブレットを使った双方向の授業を見たことで、ICT教育への意欲はさらに高まった。「衝撃でしたね。知識の定着、授業に取り組む主体的な姿勢、教員や生徒同士の情報共有など、従来のやり方では難しかったことが簡単にできるようになると思いました」

 同校は13年から段階的にプロジェクター型の電子黒板を導入し、現在は全教室に設置している。16年には教員にタブレットを配布し、操作方法の習得と授業での活用法を考案した。翌17年から生徒への配布も開始され、今春、全校生徒への配布を完了した。

 梅澤副校長は「最初、ICT活用の主なメリットは効率的な掲示にありましたが、それが徐々に双方向の授業へと発展し、生徒の能動的な学びが容易になりました」と、ICTを活用した授業の発展を語る。現在は「集団学習と個別学習の組み合わせがテーマになっています。生徒たちの理解力や学習進度には差があるため、クラスの全員が同じ授業を一斉に受ける集団学習には限界があります。この問題をクリアするには、個別学習の手段を用意する必要があるんです」

 そこで個別学習の手段として同校はAI搭載型の学習アプリを導入した。例えば数学学習アプリ「Qubena(キュビナ)」は、操作の履歴、計算過程、解答を分析することでつまずきの原因を特定し、学年や年齢にかかわらず生徒一人一人に合った課題を提供できるといい、高1生全員と理系選択の高2・3生の授業で同アプリを使っている。ほかにも「スタディサプリEnglish」など生徒の学習進度に合わせて学べるものを取り入れ、積極的に個別学習を進めている。「この手法が広がれば、いずれは学年という概念もなくなるかもしれません。そういう未来は、すぐそこに来ていると思います」

 一方で梅澤副校長は、「集団学習においてもICTの力は大きい」と強調する。「生徒にとって、電子黒板やタブレットなどのツールは、情報共有やコミュニケーションのハードルを下げるものではないでしょうか」

 同校のICT活用は一人一人の学習進度に合わせた個別学習とアクティブラーニング型の集団学習を両立させるところまで来た。次はどんな進化を見せるのか楽しみだ。

 (文:佐々木志野 写真:中学受験サポート)

 千葉明徳中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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969551 0 千葉明徳中学校・高等学校 2019/12/25 05:21:00 2019/12/25 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191224-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

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