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【特集】農業を切り口に「行動」へと促す探究学習…千葉明徳

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 千葉明徳中学校・高等学校(千葉市)は、中1と中2を対象に、農作業を取り入れた総合学習「土と生命の学習」を行っている。米や野菜の栽培を入り口として、食文化・社会・環境など多様な分野の探究学習につなげている。昨年度にはSDGs(持続可能な開発目標)を加味してプログラムの強化も行った。授業の企画運営を担う中2の担当教諭に話を聞いた。

農作業から食文化、社会、環境へ関心広げる

総合学習を統括する林直樹教諭
総合学習を統括する林直樹教諭

 「本校の教育理念は『行動する哲人』です。知識や判断力を身に付け、社会に対して発言するだけでなく、実際に行動できる人間を育てたいと考えています」。中学2年の担任を務め、総合学習を統括する林直樹教諭はこう話す。

 この教育理念を実現するために、2011年の中学開校当初から中学1、2年で実施しているのが総合学習「土と生命の学習」だ。「『行動』を起こすには、物事を『自分ごと』として捉える意識が必要です。そこで、暮らしの土台である毎日の『食』を切り口に世の中を学び、そこにある課題が自分とどうつながっているかを考えます。そのためのモチーフとしたのが農業です」

 学習の柱となるのは、中1で米、中2でトマトやナスなどの夏野菜を栽培する農作業だ。そこから食文化や社会の仕組み、環境などに関心を広げ、班ごとにテーマを設定して「まとめて・書いて・発表する」探究学習を行う。学習の成果は、例年9月に実施する文化祭「明実祭」でプレゼンテーションする。

1、2年の合同ゼミで「自分」「社会」「多様性」を考える

 昨年度は、さらなる「行動」への意識付けを狙い、プログラムの改定を行った。「それまでは、『明実祭』の発表終了後は座学中心の学習に移り、『行動』への落とし込みが弱い部分がありました。そこで、生徒が大人になる2030年の世界を考えるSDGsの発想を組み合わせることで、生徒たちがより『自分ごと』として取り組めるのではないかと考えました」

 1年生は米、2年生は夏野菜を栽培するという構成は変わらないが、2年生は昨年の経験を踏まえて1年生に米栽培のアドバイスをするなど、協働作業の要素を強化した。また、6~8人単位の2学年合同ゼミを設け、SDGsの考え方を踏まえて作物栽培から発展したさまざまなテーマの探究学習を、1年次から2年次前半にわたって継続的に行うようにした。

1、2年の合同ゼミでグループワークを行う生徒たち
1、2年の合同ゼミでグループワークを行う生徒たち

 また、年度前半では、各ゼミクラスが「自分」「社会」「多様性」のジャンルで各二つのテーマについてゼミ学習を行うようにした。その成果は「明実祭」で発表する。年度後半では、1年生はそれまでの内容に2年次で手がける農作物の要素を加味して、ゼミ学習を継続する。2年生はプログラムを離れ、3年次に自由テーマで取り組む1人約8000字の「課題研究論文」に向けての準備学習を行う。

 「自分」のジャンルは貧困・飢餓問題や労働・経済などを考える狙いがある。「苗作りに挑戦」では、気候変動に対応した食糧生産を念頭に、風害に負けない稲づくりの実験などを行う。「水漏れしない田んぼづくり」では、手近な物で簡易な農機具を作り、あぜや土手づくりに挑戦する。

 「社会」のジャンルは経済成長やまちづくりなどを考える。「明徳米ブランド化計画」では、栽培した米のPR動画やパッケージデザインを制作する。「明徳米で地域貢献」では、収穫物で多彩な料理やお菓子を作り、「明実祭」などの機会に地域の人々に振る舞う。

 「多様性」のジャンルは不平等の是正や生産・消費などに関するテーマを取り扱う。「 世界中の誰でも食べられる米料理」では、宗教上の戒律などを踏まえた料理を創作する。「誰でもどこでもできる農業」では、高齢者や障害者も取り組みやすい農作業の仕組みや環境を考える。

 ただ、林教諭によると、今年度は5月末までコロナ禍のために休校となり、プログラムの短縮を余儀なくされたという。「5月の分散登校日に、田植えと野菜の苗植えを取り急ぎ実施しました。また、1年生に探究活動の紹介動画を配信してゼミクラスの希望を取り、6月に登校を再開してからは短縮版のゼミ学習に取り組んでいます」

昨年の文化祭発表ポスター
昨年の文化祭発表ポスター

 発表用のポスターは2枚組とした。1枚目は、現2年生が昨年度後半に取り組んだ班学習の成果報告。2枚目は、SDGsの達成年限である2030年にちなみ、『10年後の未来』をテーマとしている。先行研究を調べた上で10年後の社会状況についての仮説を立て、「自分たちに何ができるか」という観点でアクションプランに落とし込む構成としている。

 「調べたことの羅列ではなく、目標や活動内容、結論の流れが読み取れることを求め、うまくできていない班には作り直しも含めて修正を指導しました」と林教諭は話す。

 あるゼミ班のポスターは「世界中の誰もが食べられる非常食」をテーマとした。1枚目は「口がパサパサしない非常食」を目標に、ギョーザを元にして試作した過程を紹介した。2枚目は、10年後にグローバル化やアレルギーへの配慮が進むと想定した上で、先行研究を踏まえてラスクを素材にした非常食作りについて報告した。ラスクが「本当に理想的な非常食になるのか」「10年後に求められるか」についてを今後の課題としている。

 また、「明徳米」のパッケージ作りに取り組んだゼミ班では、1枚目で商品ロゴの書体の研究成果を報告し、2枚目で10年後の高齢化や環境配慮の高まりを予測し、見やすい大きな表示や素材の改善が求められると結論付けていた。

 発表の舞台となる「明実祭」も新型コロナの影響で10月1日に延期となったが、生徒たちはこれまでの成果を堂々とプレゼンテーションし、ポスター展示も行われた。

生徒の「行動」が学校の歴史を作る

「土と生命の学習」で米を栽培する生徒
「土と生命の学習」で米を栽培する生徒

 同校ではこうした総合学習をはじめ、さまざまな機会に生徒に「行動」を促す教育を行っている。「授業でスピーチやプレゼンテーションを頻繁に行っているので、生徒は発言することに慣れており、思いついたことをどんどん口にします。私たちは興味を持って彼らの話に耳を傾け、『どうしたら実現できるか』『そのアイデアが世の中をどうよくするか』を考えるよう促します」と林教諭は話す。

 数年前の総合学習では、学校のキャラクターが誕生したという。「学校の最寄り駅が複線になればいい」という希望を発端に、ある生徒が「その第一歩として、学校や地域を有名にする」という課題に取り組み、デザインしたものだという。「それが今も親しまれており、クラウドファンディングでグッズを作る話に発展しています。『明実祭』でも、寄付を呼びかけるイラスト入りのうちわを配布します」

 「今年収穫した夏野菜についても面白い展開がありました。本校にシェフ出身の教員がおり、生徒たちに『彼と料理対決をしては』と持ちかけたところ、生徒たちは大乗り気でチームを組んで料理のアイデアを出し、先日、対決が実現しました。校長にも審査員を務めてもらい、生徒チームが教員より高いポイントを取って優勝しました」

 こうした活気あふれる生徒たちの活動は、既に「校風」になっていると林教諭は話す。「本校は開校10年目の若い学校なので、生徒の行動がそのまま学校の歴史を作ると考えています。生徒たちにもそうした自覚があり、さまざまな活動に挑戦しているのでしょう」

 活気にあふれ、探究心に満ちた生徒たちは、すでに「行動する哲人」という理念のスタートラインに立っている。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:千葉明徳中学校・高等学校)

 千葉明徳中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1652107 0 千葉明徳中学校・高等学校 2020/11/27 07:00:00 2020/11/27 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201125-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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